健康被害の可能性が指摘されている、PFAS(有機フッ素化合物)による地下水等の汚染が、各地で報告されている。
東京・多摩地区では、住民団体が、多摩全域30市町村の住民791人に行った血液検査で、ほぼ全員からPFASが検出された。
特に4種のPFASの合計では、「健康被害の恐れがある」とされる米国アカデミーの指針値20ng/Lを超える値が、立川市で74.4%、国分寺市で93%という極めて高い割合で検出された。また、地下水等の調査で、立川市の横田基地を中心に高い汚染値が見られた。
このため、東京都や国による早急な対策が望まれている。
血液検査で9割以上が高いPFAS濃度を示した国分寺市にある、都立多摩図書館で、2024年4月7日、PFAS汚染研究のオーソリティである小泉昭夫・京都大学名誉教授による講演と、国や都への働きかけを進める国会等の議員、市民団体などの報告集会が、「PFAS汚染と都政を考えるつどい~小池都政の課題」と題して行われた。主催は、住民の血液検査や地下水等の調査を行った「多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会」(以下、明らかにする会)である。
小泉名誉教授は、「PFAS環境汚染にどう立ち向かうか?」と題して講演した。PFASの概要や、国内各地の汚染と対策の状況を解説するとともに、特にPFAS汚染に対する「社会的処方」の重要性を強調した。
「社会的処方」について小泉氏は、アフガニスタンで医療以前の問題として農業振興を重視し、水路を拓いた中村哲医師の例を挙げて説明した。PFAS汚染に立ち向かうためには、医療的ケアや除染などと共に、「平和への取り組みで基地をなくす」ことが必要などと訴えた。
小泉氏は、立川等の地下水等の汚染源が「横田基地であることがほぼ間違いない」が、日米安保条約や地位協定のために、汚染源解明が阻まれ、除染の責任を負わない状態になっていると主張した。
また、「経済安全保障」のために国が、台湾企業TSMCの半導体工場を熊本に誘致した例を挙げ、経済産業省は、半導体製造で使用されるPFASについて語らない等と指摘した。
小泉氏はさらに、内閣府の「リスク評価書」や、東京都の取り組みの問題点、医療的対処法の現状など、様々な切り口から、PFAS対策について解説した。
後半では、立憲民主党の大河原まさこ衆議院議員、日本共産党の宮本徹衆議院議員をはじめ、各党の都議会議員、市議会議員や、多摩各地で活動する市民の方々からの報告が行われた。
さらに、明らかにする会による「都政が実現すべきPFAS政策~都民がつくるPFS政策の提案」の発表が行われ、最後に参加者の質疑が行われた。
詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。