韓国ネットメディアの報道に「真偽はわからないが、経産省や政府は金に糸目をつけずに海洋放出をやろうとしている事実はある」~7.3 賄賂を渡して汚染水を海洋投棄するな! 日本政府によるIAEA贈賄糾弾! 汚染水投棄中止! 2023.7.3

記事公開日:2023.7.6取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年7月3日午後4時30分より、東京都千代田区の外務省前にて、「賄賂を渡して汚染水を海洋投棄するな! 日本政府によるIAEA贈賄糾弾! 汚染水投棄中止!」集会が行われた。

 冒頭、主催である「東京民主実践連帯」の西田尚史氏が、外務省によるIAEA(国際原子力機関)への贈賄疑惑について、その経過と問題点について、時系列で、次のように説明した。

西田氏「韓国の市民メディア、『ザ・探査』がIAEAに対する賄賂問題について、最初に報道したのは6月22日です(※IWJ注・実際は21日)。6月22日、外務省幹部『A』が、ANAインターコンチネンタルホテルで、5月30日に会談をした『浅川メモ』と題する、今、配っているビラにもありますけども、『社外秘』、それから『席上回収』、その場で回収というのが入った、この文書を、韓国の市民メディア『ザ探査』が報道しました。

 テーマは、福島の汚染水放出に関することで、内容は次のようなものです。

 『IAEAに派遣されている中国や韓国の専門家は飾りに過ぎない。フリーマン担当官と率直なコミュニケーションを取るために、相当の努力をした。つまり、お金を使った。少なくとも、100万ユーロ以上の賄賂を贈った』。

 100万ユーロ、1億5000万円ぐらいです。これは個人に対してです。IAEAの幹部に。

 『国際専門家よりも先に、日本政府がIAEA最終報告書を手に入れる』。

 これは、要するに、試験問題を教えてもらっているのと同じです。試験問題不正ニュースと同じです。というような情報提供が、韓国の小さな、まだ毎日の視聴者が10万人ぐらいですけども、その『ザ・探査』という市民メディアに通報されたわけですよね。(中略)

 このことが最初に報道されました。で、翌日です。その翌日に、外務省が『外国でデマの報道がありますけども、これはまったくのデマです』と言う声明を出したんですね。ところが、内容についてはまったく説明はありませんでした。

 これですね。本当、従業員10人ぐらいの小さなメディアが報道したことを、翌日にデマだと報道するってことを、外務省が毎日、どのメディアに対してもされているのかお聞きしたいんですけども、これ、放っておけばいいのに、なんで、こんな急に、たった1日後に、デマだというふうに外務省は言ったんでしょうか?

 それから2日たって、6月25日、内部告発の方が、第二次の情報を提供します。その中身はですね。外務省は、職員の無断でのマスコミ接触を禁止した。断わらなければマスコミに会えないという体制ですね。それから、IAEAと外務省の間のすべてのチャットを削除した。

 で、この時に、6月の末には、IAEAのグロッシー事務総長が来日することが決まっていたんですけども、これが流れた。そして、その次が何よりも重要で、その時点で、外務省が、IAEA(国際原子力機関)の最終報告書をもっていてはならないんですね。

 なぜなら、IAEAが日本に来て、報告書を出して、『問題ないですよ。だから、いわゆる処理水を放出してもいいですよ』というのが流れなのに、日本政府が先に持っていたっていうのは、試験問題を不正に入手していたことになるんですよ。

 そして、その報告書で何が書いてあるかっていうサマリーを公開したんですね。そのことが韓国で報道されました。すると、外務省の中がどうなったかというと、次の6月27日の第3次の情報提供で、6月25日の放送の後、多くの外務省の職員は徹夜で対応に追われた。そうなんですかね? ぜひ、お聞きしたいです。

 そして、グロッシーIAEA国際原子力機関の事務局長の来日が7月4日に延期された。このことは、マスコミにも報道されて、マスコミの報道と一致します。

 つまり、その後起きたことは、IAEA最終報告書のこの本、というか、冊子、これの写真が公開されたんですね。というような経過です」。

 西田氏の説明は、問題点も明確に提示されており、非常にわかりやすいものだった。しかし、ひとつ疑問が残る。

 日本の、外務省内の内部告発者が、原発問題を追久し続けている日本のメディア、市民団体、野党議員などではなく、今、この問題が韓国で大きなニュースとなっているとはいえ、なぜわざわざ、韓国のネットメディアにだけリークしたのだろうか?

 「日本は外圧がないと変われない」ということがよく言われるが、内部告発者がそういったことを考慮していたかどうか、おそらく、これは、告発者に直接確かめるしかない問題である。この点について、西田氏は次のように語った。

西田氏「韓国語がまったくわからない(外務省の)内部告発者の方が、おそらく、韓国語はわからないが、ここ(『ザ・探査』)だったら伝えてくれるんじゃないか、ということで、伝えたことが、今、大きな問題になっている。

 集会には、経産省前テントひろば・再稼働阻止全国ネットワークの木村雅英氏も参加しており、この問題に対する氏の考えを次のように述べた。

木村氏「日本で反原発運動を続けている木村雅英と申します。皆さん、この汚染水の海洋投棄に反対の声を上げていただいて、本当にありがとうございます。先ほどおっしゃった報道については、読売新聞、および、毎日新聞で報道されています。

 政府は、これはフェイクニュースだと言いながらですけれども、そういう報道が韓国であったという事実は報道されています。

 私には、この真偽は確認できません。それだけの金を受け取ったのかどうか。これは、私にはわかりません。しかしながら、経産省や私たちの政府は、この『金に糸目をつけず』に、海洋放出をずっとやろうとしている。その事実はあると、それを、私はずっとこの6年間ウォッチしてきて、見ています。そのことはお伝えします。

 大事なことは、毒物、放射性物質、こういうものは希釈しても拡散しても解決にはならないということです。(中略)

 ですから、この海洋放出という名の海洋投棄は、明らかに、『ロンドン条約』違反であり、あるいは、『国連海洋法条約』違反です。

 IAEAも、経産省も、東京電力も、みんな原子力をずっと続けようとして、放射性物質を地球上にまき散らそうとしています。みんなで力を合わせてこれを止めましょう。頑張りましょう。よろしくお願いします」。

 木村氏の言うとおり、それが賄賂による報告書の改竄であれ、何であれ、重要なのは、原発汚染水の海洋放出事業が、ちゃくちゃくと進められているという事実であり、海洋放出の是非を決めるプロセスに、国民が不在だということではないだろうか。

 抗議集会の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2023年7月3日(月)16:30〜
  • 場所 外務省前(東京都千代田区)
  • 主催 東京民主実践連帯

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