2022年11月22日、午後12時より、東京・NHK放送センター西口前にて、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会(以後、『求める会』)」により、街宣行動「前川喜平さんを次期NHK会長候補に!」が行われ、往来の人々、そして、NHK職員に向け、NHKの問題点などを訴えた。
この街宣は、11月4日に、東京・衆議院第二議員会館にて開催された記者会見に続く、『求める会』による2回目の行動である(※)。
国立音楽大学名誉教授で元NHK経営委員の小林みどり氏、法政大学社会学部教授で元NHK記者の大﨑雄二氏、ジャーナリストで元NHKのチーフプロデューサーの長井暁(さとる)氏、そして、NHK元ディレクターの池田恵理子氏らが登壇し、NHKの現状、そして、前川氏を次期NHK会長に推す理由についてのスピーチを行った。
前川氏自身もスピーチを行い、NHKのあり方について、そして、メディア、さらに民主主義に対する思いを訴えた。(15分ごろから)
前川氏「おはようございます。前川喜平です。はからずも、NHKを大変心配している市民の方々に要請を受けまして、市民が推薦する次期NHK会長候補ということになったわけでございまして、経営委員会が私を選ぶ可能性はほとんどないとは思いますが、しかし、『本来市民に開かれたNHK』であれば、私が自分で言うのは変ですけれども、有力な候補になり得るのではないかと思っております。
メディアと教育。私は、教育行政をずっとやってまいりましたが、メディアと教育は民主主義の基本なんです。メディアと教育が崩れれば、民主主義は崩れます。いま、崩れかけているんです。今、世界が専制主義か、民主主義かという岐路に立たされている。
民主主義が危ない。アメリカだって危ない。日本はもっと危ない。民主主義がつぶれた国もたくさんある。香港もミャンマーも。民主主義はどこから崩れていくか? メディアと教育から崩れていきます。
この2012年に第2次安倍政権ができてから、もう10年になりますが、この10年の間に、この民主主義の崩壊はかなり、音を立てて進んできたと思います。何とかここで食い止めなければならない。そのためには、もちろん、教育が大事です。
これは、教育の現場にいる教師たちがどれだけ頑張ってくれるか、ということが大事になってくるわけで、逆に言うと、文部科学省や教育委員会が余計なことはしないということが大事なのですが。
同じように、メディアが非常に危ない。このメディアが国民の『知る権利』に本当に奉仕する力になっているのか?
この『報道の自由』と『教育の自由』、そして、『学問の自由』。これは民主主義を支える両輪だと言っていい。『知る権利』と『学ぶ権利』が実現されて初めて、民主主義を支える、賢明な主権者も育つわけです。
メディアが政府のウソばっかり垂れ流していたら、真に国民は本当のことを知ることができません。本当のことを知ることができなければ、間違った政治を正すこともできません。
そういう状態で、もうどんどんどんどん進行しているのが、今現在の状況だろうと思います。そうやってメディアをコントロールすることによって、(自民党の)長期政権というものが実現してきたんだ。
これを何とか逆転させなければ、本当に日本の民主主義が危ないと私は思っております。
そういう思いがあるからこそ、突然のご依頼でございましたけれども、このNHK会長候補というのをお引き受けしたわけでありまして、もし、万が一NHK会長になった暁には、これは本当に私はNHKをもっともっと明るく、自由な場所にしていきたい。
自由に番組を編集する。自由に取材し、自由に報道する。NHKの会長が一番やらなければいけないことは、その組織の中の自由を確保することです」
前川氏は、NHKや国という大きな組織の中で働くこと、そして、その中で生きていくことについて、NHKで働いているであろう人々に向けて、次のように呼びかけた。
前川氏「私は文部科学省に勤めている間は、『面従腹背』というのを、実は座右の銘として、公言はしませんが、自分の心の中で、おかしな命令には心の中ではあらがう。表面上は従わざるを得ないことが多いと思いますが、しかし、心の中ではあらがう。こういうつもりで、仕事をしていたんです。(中略)
恐らく、そういう思いで仕事をしているNHKの職員がたくさんいらっしゃるはずです。
私は、出口のないトンネルはない。春の来ない冬はない。こんなNHKがいつまでも続くわけがない。いつか、皆さんが自由に、本当に市民のために仕事ができる。そういう時代が必ず来ると。それを信じてくじけずに頑張っていただきたい。
心の中の自由は決して売り渡してはいけない。自由があるからこそ、本当の公共性というものが生まれます。精神が隷属した人間には、本当の公共性を実現する力はありません。
本当の自由の中からこそ、本当の公共性も生まれる。だから、くじけずに頑張っていただきたい。時に、心ならずも、しなければならないことがあるでしょう。そのときには仕方がないと思って、諦めてやることも仕方がない。そういう場合もあると思うんですよ。
しかし、魂を売ってはいけない。自分の魂をなくしてはいけない。これは強く訴えたいと思います。魂を売ってはいけない。
今、一時的に貸すことはあっても仕方がない。一時的に貸すことがあっても、貸した魂は後でちゃんと取り返す。貸した魂は取り返す。そして、自分の魂を大事にする。本当の自由を大事にする。絶対に売り渡してはいけないです」
「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」は現在、賛同署名に取り組んでいる(※)。また、12月1日(木)には、NHK経営委員会に申し入れ書と賛同署名を提出し、前川喜平氏、金平茂紀氏、上西充子氏ほかが登壇するシンポジウムを開催する予定だ。
- 市民とともに歩み、自立したNHK会長を選んでください!(change.org)
街宣行動の詳細はぜひ全編動画をご視聴ください。