2021年9月15日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で、自由民主党の石破茂元幹事長による記者会見が行われた。この日、国会内で開かれた「水月会(石破派)」臨時総会での結論を受けたもの。
会見冒頭、石破氏は「私はこの度の自由民主党総裁選挙にあたり、河野太郎氏を支持することといたします」と述べ、自らは総裁選立候補を断念したことを明らかにした。
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- 日時 2021年9月15日(水)
- 場所 衆議院第1議員会館 多目的ホール(東京都千代田区)
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IWJ記者の質問と石破氏の回答は次の通り。
IWJ記者「他候補、高市早苗さんの外交・安全保障政策、これについて、質問させていただきたいと思います。
高市さんは9月10日、テレビ朝日系のお昼の番組『ワイドスクランブル』に出演され、中国との向き合い方について『衛星の捕獲ですとか、向きを変えるとか、強い電磁パルスですとか』、この強い電磁パルスというのは核爆発によるものだと考えられますけれども、『いろいろな方法でまず相手の基地を無力化する』という『敵基地無力化論』をご提示されました。
高市氏が唱える『敵基地無力化論』の中身ですけど、これにはまず日本が核保有することが必要となりますし、しかも中国内陸部まで届くミサイルを保有して高高度で爆発をさせること、それを敵から攻撃される前、先制攻撃ですね、奇襲攻撃をするということ、この3点が含まれると考えられます。
13日、岸田候補の会見で、私共は『このようなことをテレビでペラペラしゃべってしまうと、日本が中国や他の第三国からも無用の警戒を呼ぶのではないか』と、その軽率さについて指摘をさせていただきました。
で、その結果が、今日の北朝鮮のミサイル発射につながったのではないか、という現実的な危惧もございます。
このような高市さんの防衛政策、安全保障論について、石破さんのお考えをお聞かせください」
石破茂氏「このEMP爆弾というものは、ご指摘の通り、核爆発を伴うものであります。人は殺傷しませんが、そういう電磁的な、電子的ないろいろなシステムを破壊するというものが、このEMPの本質であります。
あるいは衛星捕獲の問題は、宇宙条約との整合性を考えていかなければなりません。
核爆発を伴うEMPというものは、今のNPT(核兵器不拡散条約)体制というものをどう考えるのか、ということに直結するものであります。
私はNPT体制というものに、いろいろな問題があることは良く承知をいたしております。しかし、唯一の被爆国が核を持つということになれば、NPT体制は、あっという間に瓦解するでありましょう。それがよい世界の在り方だとは、私は思いません。
そして、先制攻撃というのを、彼女は言っていないと思います。
これは(防衛庁)長官時代に何度も答弁をしたことでありますけれども、被害が出てからでは遅すぎる。おそれの段階では早すぎる。じゃあ着手をした時だ、ということを申し述べましたら、その着手の判別が極めて難しい状況にあります。
私はやはり、自衛権行使の3要件というものは、守っていかなければならないと思っております。
そこにおいて、精緻な答えというものは必要ですが、先ほど申し上げましたように、いかにして拡大抑止の信頼性を増すか。そしていかにして、シェルターの整備状況、こんなことでいいとは私はまったく思わないんです、シェルターをきちんと整備をする、そしてミサイルディフェンスの実効性を上げる、ということだと思っております。
EMPに対しては『ブーストフェーズ・インターセプト(ミサイル上昇時の迎撃)』ということを考えなければなりません。
重力に逆らって上昇しているときは、姿勢の制御もできません。スピードも遅い。それを『ブーストフェーズにおいて、いかにして破壊するか、ということは、日米ともにもっと協力していくべきだ』ということは、トランプ政権が発足したときから、私はアメリカ政権に申し上げていることでございます。
高市さんの政策をすべて承知しているわけではありませんが、今のご指摘に対してお答えするとすれば、条約との整合性、あるいはNPT体制との整合性、そういうことを全部念頭において、抑止力を相乗的に高めることが必要だと考えております」
IWJ記者「すみません、それに関連してなのですけれども、どちらにしましても、そのような形になれば、相手方のミサイル攻撃、これは必然的になろうかと思います。
そうだとすると、防衛上、一番重要な問題は、現在日本の国内に原発が稼働している、これがやはり標的にされるのではないかという危惧が、最も現実的ではないかと思うのですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか?」
石破氏「原発が、海岸部に多く配置されているということは事実であります。
私はすべての国について実地に行ったわけではありませんが、原発を軍隊が守っていないという国は、極めてまれだという風に思っております。
いかにして、原発が攻撃されないか、ということについては最大限の配慮をしていかなければなりません。
私は、原発は可能な限り減らすべきだと思っております。そこに至る手法において、もっと詰めた議論が必要だと思います。
わが日本国は、例えば地熱のポテンシャルにおいては世界第2位なんですね。これを最大限に生かしているか、ということです。
いろいろな規制があります。もちろん規制はそれなりの理由があってあるものですが、世界第2位のポテンシャルを持っている。
あるいは水力でも、大規模なダムを造るだけが水力ではありません。スイスにおいては小さな規模の水力発電というのが全国に多くございます。
それを本当に検証してみたか、ということであって、原発をいかに減らすかということ、原発をいかに攻撃から守るかということとあわせて、考えていくことが必要であります」