菅総理会見 2021.08.25 岩上安身は「検査」と「隔離」をさぼり「公助」で手を抜いてきた菅総理は、総裁選でライバルたちに勝てるのかとお思いかと、質問状! 2021.8.27

記事公開日:2021.8.27 テキスト
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 8月25日午後9時から、菅義偉内閣総理大臣による記者会見が総理官邸で行われました。

 IWJ代表の岩上安身は、抽選により会見に出席することはできましたが、挙手し続けるも、残念ながら今回もまた、質疑で当てられることはありませんでした。

 当てられなかった記者は、質問をメールで送るように指示があり、岩上安身は、以下のような質問を、総理官邸あてに送付しました。回答が届き次第、お伝えいたします。

 菅総理は、①感染阻止対策、②医療体制の構築、③ワクチンを3本の柱としてやってきた、と会見で繰り返されました。ワクチンの接種推進はさておくとして、他の2本の柱は、十分なものだったでしょうか?

 ①の感染阻止対策で、力点が置かれたのは国民への行動制約です。本日、発出された非常事態宣言もまん延防止措置重点措置も、国民に行動制約を求めるものであって、政府が、自ら、積極的な感染防止策を打ち出したわけではありません。

 感染阻止対策は、「検査と隔離」が基本中の基本です。しかし、それは、ずっとサボタージュされたままです。日本は100万人当たりの検査回数で、世界の中で143位です。もちろん先進国の中では最下位です。以前の質問メールでも触れたことですが、それに対する回答の中には、自国内の「前年比」で増えた、という回答しかありませんでした。感染者数がケタ違いに増えているのに、「前年比」増では意味がありません。世界各国との比較でも、なぜこんなに過小な検査数のままなのか、その合理的な説明もありません。

 また、「検査と隔離」は、一体であるべきです。自宅待機および自宅療養という名の自宅放置者の増加は、元気な無症状者ならば動き回って、感染を広げる原因にもなりますし、体調が悪化している人ならば、急変の際、命を救えない原因ともなります。隔離が必要です。

 東京都1400万都民の世帯は、その半数が一人暮らしの世帯です。自宅で急変しても、救急車を呼んでくれる同居者がいません。私自身、狭心症の発作で経験したことがありますが、一人暮らしの自宅内で急変した場合、先に意識が遠のいてしまい、助けを呼べない恐れはぬぐえません。

 今、5人に1人が自宅で亡くなっており、そのうち半数が50代以下の若い層です。陽性が判明したら、中等症以上は病院に、軽症者・無症状者であっても、自宅ではなく、施設に隔離し、医療者の目の行き届くところにおくべきです。目標とすべきは「自宅放置ゼロ」のはずであり、自宅を「病床にする」という方向ではないはずです。

 ②医療体制の構築にも、安倍政権以降、引き継がれてきた問題点が解決されずに、菅政権に引き継がれ、今に至っています。

 まず、国公立の病院はいったい何をしているのか、という問題です。本日、会見で国立病院機構がコロナ病床を東京で200床拡大するというお話がありましたが、いったい何床あるうちの200床なのでしょうか?

 国立病院機構(NHA)は140の病院を傘下におさめ、地域医療機能推進機構(JCHO)は57病院を擁しています。あわせて197病院のうち、どのくらいがコロナ患者を受け入れに治療にあたっているのでしょうか?

 我々が、厚労省の担当部局に直接取材をした際は、数を言わず、実際公表もしていません。一部の報道ではコロナ病床はたった5%だと言います。これは事実でしょうか?

 なぜ実数を公開しないのでしょう?国公立の病院に対しては、災害や公衆衛生上重大な危害が生じている時には、厚労大臣が必要な業務の実施を求めることができると国立病院機構法とJCHO法の各21条に定められています。コロナは災害であり、公衆衛生の重大な危害です。厚労大臣は「命令」ができるのですが、いまだに「命令」を下したとは聞いておりません。ずっと「お願い」ベースであると説明されています。

 厚労大臣が命令を下して、この197病院に全力を尽くしてコロナ患者を受け入れよ、と言えば、入院できずにいたコロナ感染者はかなりの程度、入院し、治療を受けられるはずです。厚労大臣が渋っているならば、総理がリーダーシップを取ればいいだけの話です。

 これひとつをとっても、安倍・菅政権は、政府は全力を尽くさず、つまり「公助」はベストを尽くさず、「自助」のみを強調して、民間に行動制約や事業の制約を押し付けているだけである、ということになります。

 医師会が求めている「野戦病院」(臨時病院)の設置についても、総理は少し触れましたが、求められている規模のものを設置するとは断言されませんでした。聞き取りずらかったのですが、酸素吸入ステーションのような立ち寄りの設置を拡充するとお答えしたように聞こえました。

 立ち寄りのステーションと、入院・宿泊医療を受け入れる「臨時病院」とはまったく違います。陽性者がその施設に立ち寄るため市中を往来すれば、市中感染を増やしてしまいます。

 菅総理は、コロナ対策の柱である医療体制の構築に全力を尽くしたのか、と言えば、そうとは言えないのではないかと、言わざるをえません。

 ここまでは質問の前提となる事実の指摘であり、ここからが質問です。

 菅総理は、総理総裁を続投されるご意向のようですが、総裁選において自民党内のライバル、あるいは総選挙において野党が、コロナ対策の3本柱のうち、(1)感染阻止対策(検査の拡充と隔離の徹底。検査数を人口100万人当たり143位から例えば10位以内にすること等を目標に掲げ、実行する)、(2)医療体制の構築(国立病院機構と地域医療機能推進機構の197病院の大半をコロナ病床にあて、同時に「臨時病院・臨時隔離施設」を設置して、「自宅放置ゼロ」を目指す)という改革目標を掲げて戦いを挑んできた場合、選挙に勝てるとお思いですか?

 以上、菅総理にお答え願います。

 なお、尾身会長にも、JCHOの理事長として、どうしてもっと積極的にコロナ患者の受け入れをなさらないのか、厚労大臣からの「命令」が必要ならば、それを下してもらうべく、働きかけないのか、そこもお答え願います。

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