岩上安身は2021年5月14日の菅義偉総理の記者会見に参加し、質問のため挙手したが当てられなかった。フリー枠で入った数人のうち、岩上安身だけが指名されなかった。
官邸側は、その場で質問できなかった記者に対し、質問をメールで受け付けるとしたため、岩上安身は質問内容をツイートで公表するとともに、官邸に送信した。
総理会見終了直後の岩上安身の連投ツイートを以下に掲載する。
本日(と言っても日付を跨いだから昨日)5月14日、官邸での総理会見に抽選で当選したので出席してきた。フリー枠で入った数人のうち、僕だけが指名されずに取り残された。手を挙げ続けたのになぁと思っても、もう毎度のこと。「安全な質問はしない奴」という認識は、官邸内で共有されているのだろう。
ただ、最後に、「メールで質問を送ってもいいですか」と私が聞くと、司会の女性がただちに「発言しないでください」と遮るのを、菅総理が、「メールだって」とその女性に向けて指示をし、メールでの質問が今回も許された。なので、帰社後、さっそく用意していた質問を官邸報道室に送った。
なので、ここで、その質問を公開しておく。官邸のホームページに出た質問と違いがあれば、官邸が検閲したものだと思ってください。
以下、私の質問
「今から1年2か月前、2020年3月14日に、当時の安倍総理に対し、コロナ対策のために行う特措法による緊急事態宣言と自民党の改憲案4項目の中にある緊急事態条項との違いを私は質問いたしました。
そうしたところ、コロナ対策に対して用いられるのは、特措法にもとづく緊急事態宣言であり、報道の自由も守られる等々とお答えになり、同時に特措法による非常事態宣言と、改憲による緊急事態条項は、まったく別のものである、と安倍前総理は明白にお答えになりました。
しかるに菅総理は5月7日の会見で産経新聞記者の改憲による緊急事態条項についての質問に、『コロナの感染が拡大する中で海外の国を見ると強制的な執行を私権制限がない中でできる』とか、『コロナ禍の中で、緊急事態(これは改憲による緊急事態条項という意味だと思われます)への国民の皆様の関心は高まっている』とお答えになっており、コロナ禍を理由として、改憲による緊急事態条項の導入と発令に前向きともとれる姿勢を示されました。
5月3日のビデオメッセージでも同様のことを話されています。
自民党内の有力政治家も同じように、コロナと改憲による緊急事態条項を結びつける発言を次々とされています。石破茂さん一人を除いては、です。
菅総理は、安倍前総理とまったく違う姿勢を見せたわけですが、その違いについての理由をお聞かせ願いたいと存じます。
実際には、感染症対策は、法レベルで対処可能であり、改憲による緊急事態条項は国家権力の過度の集中を招き、有害であると多くの憲法学者ら有識者が批判しています。
まして自民党の改憲案4項目の緊急事態条項は、他国の国家緊急権とは比べものにならないほど制約のない危険なシロモノであり、ナチスの全権委任法に匹敵する、万能で、期限を定めず、解除の規定もない、半永久的な戦時内閣独裁条項であり、憲法秩序を心肺停止にさせるものです。
コロナ対策に必要で、かつ相変わらず不足しているのはPCR検査の拡充であり、独裁条項がコロナ対策のために必ず必要であるとは到底思えませんし、そう称してコロナ禍を奇貨として『スガ独裁』の準備を押し進めようとされるのであれば、国民が苦しんでいる今のコロナ禍を政治的に悪用していると批判されてしかるべきではないでしょうか。
お考えをお聞かせください」
以上が、14日の会見で準備していて、発言できなかった私の質問。
ちなみに、当夜は、フリーを含めて、たくさんの記者が指名され、質問したが、コロナ禍を奇禍として改憲による緊急事態条項導入に結びつける菅総理の政治手法を批判するなり、問いただすなりした記者は一人もいなかった。国会ですでに国民投票法改悪案が衆院を通過しているのに何の危機感もない。唖然。