ミャンマー抗議デモの主役「Z世代」から、「日本の同世代にも真実を知ってほしい、日本政府は国軍を政権と認めないで!」 〜軍事クーデター渦中のミャンマーと中継をつなぐ「報道ではわからないミャンマーのリアルを聞く!」オンライン会議取材(その1) 2021.3.26

記事公開日:2021.3.26 テキスト
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(文・六反田千恵、文責・岩上安身)

 ミャンマーでは、2021年2月1日にミャンマー国軍による軍事クーデターが勃発して以来、武力で政権転覆を狙う国軍に対する市民の抗議デモと、国軍による弾圧が激化している。

 3月15日、ロイター通信が、ミャンマー国軍のクーデターに抗議する市民デモを鎮圧するとして、国軍・警察などの治安部隊がデモ隊に発砲するなどして、警官1名の他、少なくとも 38名が犠牲になったと伝えた。

 最大都市ヤンゴンの郊外にある中国資本の工場が放火されたことを受け、治安部隊がデモ隊に発砲、少なくとも22人が死亡した。国軍が運営するテレビ局「ミャワディ」は、衣料品工場4つとの肥料工場1つが放火され、約2000人が消防車の通行を妨害したと伝えているという。

 1日あたりの犠牲者数としては2月1日のクーデター以来、最悪である。NPOの人権団体、政治支援協会(AAPP、ASSISTANCE ASSOCIATION FOR POLITICAL PRISONERS)によると、15日の時点での治安部隊との衝突で死亡した人は126名に上ったとしている。

 「SAC(ミャンマー国軍の最高意思決定機関である『国家統治評議会』、State Administration Council)の非人道性は、日に日に悪化し、武装していない学生や若者を含む平和的な抗議者の銃撃をしている」(3月14日)

 AAPPは、さらに、3月18日の時点で、2月1日の「軍事クーデター未遂」に関連して、224名が殺害されたとし、「実際の死傷者数ははるかに多い可能性があります。今後も随時追加していきます」と、ホームページ上で宣言している。

 AAPPによれば、2258名が逮捕、起訴され、15名が有罪となった。そのうちの1938名がいまだに拘留されており、国軍の非人道的な弾圧が激化しているという。AAPPは、拘留者に対する拷問が行われ、それによって亡くなった市民もおり、報道の自由も完全に奪われていると訴えている。

 「ビルマのメディアの自由は完全に否定されています。非合法的な軍事政権は、5つの地元の報道機関のメディア免許を取り消し、事務所を襲撃し、数名のジャーナリストらを逮捕および拘留しました」

 ミャンマーで何が起こっているのか。3月14日(日)15時から17時半ごろにかけてオンラインで開催された「報道ではわからないミャンマーのリアルを聞く!」を取材した。ミャンマーの人々を応援する有志の会(JAPAN VOLUNTEERS FOR MYANMAR)が主宰し、現地と日本を繋いで、予約者限定でYoutube中継された。

※「報道ではわからないミャンマーのリアルを聞く!」(ミャンマーの人々を応援する有志の会、2021年3月14日開催、申込者限定配信とした主催者の意図を鑑み配信URLを省きます)

記事目次

  • ミャンマーZ世代の声「家を出る時には死ぬかもしれないと思う」
  • ミャンマーZ世代の声「NLDへの支持ではなく、不当なクーデターと、自分たちの人権を侵害されたことに抗議している」
  • ミャンマーX世代が見るクーデターの影響「ミャンマーへの投資は減少し経済は悪化、国民生活には強い抑圧がかかるだろう」
  • Z世代の声、「国営放送が本当のことを言っているとは限らない。SNSを見ないと真実はわからない」

ミャンマーZ世代の声「家を出る時には死ぬかもしれないと思う」

▲「軍事クーデターに対抗してミャンマー政府を支援する夜の集会」(撮影:Macau Photo Agency、unsplashより、「報道ではわからないミャンマーのリアルを聞く!」とは関係ありません)

 イベントの主催者「シンジさん」は、ミャンマーで起きていることを「より多くの人に知ってもらいたい、まずは真実を知ってほしい、日本社会に暮らす人間としてどう向き合っていくのか、それぞれが考える機会にしたい」と挨拶。「シンジさん」は国際政治学を専攻する大学生だということである。

 司会の「ミサトさん」は、もともと、ミャンマー人は、寄付に熱心で、ボランティア活動や助け合いが活発であるが、今回の抗議デモでは「Z世代」が中心になっており、「民主化前とはまったく違う市民の姿があった。支配から完全に脱する『最後の戦い』というメッセージが現地から届いた」という。

 「Z世代」とは、1990年代後半から2000年代生まれの世代を指す。10代の後半から20代前半の若者たちである。

 アヤナミさん(仮名、ミャンマー人)と、アスカさん(仮名、ミャンマー人と日本人のハーフ)という 2人の「Z世代」の女性が、現地からミャンマーの現状を語った。

アヤナミさん「ネットの接続が5日に切られて以後、ネット環境は非常に悪く、友人家族の間でも通信が困難な状態が続いている」

アスカさん「いつ拘束されるかわからないのが一番不安です。多くの人が拘束されている。帰ってくることができた人の中には、暴行されている人もいる。その暴行で命を落とした人もいる。両親が不服従運動をすることによって経済的に困っている人もいる。

(…会員ページにつづく)

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