種苗法改定は「改悪」! 「国産品種の流出防止」は農水省の怠慢をごまかす論点のすり替え! 「日本の種子を守る会」は農家を脅かす種苗法改悪の阻止を目指す!~10.26 種苗法改定案審議入り前 緊急院内集会 情報共有と意見交換会 2020.10.26

記事公開日:2020.11.6取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・文 千浦僚)

 2020年10月26日(月)13時半より参議院議員会館講堂で開催された「種苗法改定案審議入り前 緊急院内集会」には、多数の参加者が詰めかけた。

 2020年通常国会では審議入りすることなく終わった種苗法改定案が、この日10月26日から始まる臨時国会で審議入りするとみられている。「日本の種子を守る会」は、農水省の説明に疑義を抱き、拙速な審議採決を将来の日本の食と農に対する脅威だとして、この集会を主催した。

 集会では、安田節子氏(「食政策センター ビジョン21」主宰人)、印鑰智哉氏(農業ジャーナリスト、「日本の種子を守る会」アドバイザー)、山田正彦氏(元農林水産大臣)、山本伸司氏(「日本の種子を守る会」幹事長)らが登壇した。

 また、日本共産党の紙智子参議院議員、田村貴昭衆議院議員、立憲民主党の川田龍平参議院議員、社民党党首の福島瑞穂参議院議員ほか、多数の国会議員が挨拶に立ち、連帯の意を示した。

 農水省は「種苗法改正で自家増殖を禁じられるのは登録品種のみ。在来種も含めた一般品種の自家増殖までは禁じていないので、多くの農家に影響はない」と説明している。

 これに対し、安田節子氏はパワーポイント資料を使い、サトウキビ、サツマイモ類、イチゴ等や米の自家増殖は広く行われていることを指摘。また、登録品種の許諾制は現在もあるが、登録品種と一般品種の違いを把握している農家は極めて少なく、この改定案が現実にそぐわない点を批判した。

 また安田氏は、「多国籍化学企業による農産物は、遺伝子組み換えやゲノム編集といった分子生物学技術を使った人工的生産物であり、一方これまでの国の農研機構と各自治体で研究開発されてきた品種改良は、作物自身の自然能力を活用した伝統的育種技術であり、自然生態系とマッチした貴重な農業生産技術だ。この種苗法改定はその点を見ずに国外の巨大農業複合企業による農業食料産業の浸食をうながすもの」と述べた。

 また、農水省は、種苗法改定の目的を、海外への種苗の流出防止にあるとし、シャインマスカットなどの日本のブランド品種が違法に海外に持ち出され、開発者に無断で栽培されていると説明している。

 これに対して、鹿児島県種子島でサトウキビの栽培をおこなっている山本伸司氏は、「この改定案に関して強調されている、『日本国産品種が流出し、中国や韓国で無断栽培される』という問題は、作物の新品種の保護に関するUPOV条約(Union Internationale pour la Protection des Obtentions Végétales:植物の新品種の保護に関する国際条約)加盟国どうしならば、現地で登録すれば無断栽培できない。中国、韓国もこれに属しており、正式な手続きを踏めば充分対応できる。それをしない農水省の責任が問われるべきなのに、農家の自家増殖に焦点をすり替えている。自家採種、自家増殖を禁じ、高額な罰金を科すことは農家を圧迫する」と述べた。

 これに関連し、山田正彦氏は質疑応答のなかで、05年に山形産のさくらんぼ「紅秀峰」のオーストラリアへの流出が裁判によって停止されて解決された例を紹介し、政府の唱える種苗法改定の根拠に異議を示した。

 この集会において実際に農業に携わる方々から述べられたのは、その土地で育んだ作物からまた種を採り、育てることの喜びと、土地と暮らしにもとづいた農の有機的な合理性であった。また、幾人もの登壇者が繰り返し「この種苗法改定を今国会で通さない」「ゆくゆくは廃案に」と訴え、そのたびに会場には賛同の拍手が沸き上がった。

 集会の後には山田正彦氏がプロデュースした、この種苗法改定を巡り、北海道から沖縄まで様々な農業の現場を取材したドキュメンタリー映画、『タネは誰のもの』(20年 65分 監督原村政樹)の完成披露試写が行われた(著作権の関係によりIWJの取材では撮影せず)。『タネは誰のもの』は11月1日よりオンライン配信を開始、上映会の申し込みも受け付けている(問い合わせ先 一般社団法人 心土不二 info@shindofuji.jp)。

※ハイライトは準備が整い次第、アップします。しばらくお待ちください。現在、会員様のみ全編動画(2時間27分)をご視聴いただけます。ぜひ、IWJ存続のため会員登録でのご支援をよろしくお願いいたします。→ 会員登録はこちら

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入より御覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 330円 (会員以外)

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です