イランで頻発する火災や爆発! いったい、何が起きているのか? ナダンズのウラン濃縮施設の爆発は米国とイスラエルによる1年がかりの秘密作戦!? なぜこれが「テロ」と呼ばれないのか!? 2020.9.3

記事公開日:2020.9.3 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ編集部 文責:岩上安身)

特集 中東

 8月23日、イラン原子力庁のベフルーズ・カマルバンディ報道官は、7月2日のイラン中部のナタンズのウラン濃縮施設で起きた爆発について、安全保障調査を行った結果、破壊工作だったことが証明されたと述べた。

▲イラン原子力庁のHP

ナタンズのウラン濃縮施設爆破は米国とイスラエルの秘密作戦!?

 カマルバンディ報道官は、国営イラン通信を通じて、ナタンズで爆発があったことは確かだが、どのようにして起きたのか、どのような爆弾が使われたのか、などの詳細については、安全保障担当者が適切な時期に発表するだろうと述べた。

 この7月2日のナタンズの爆発については、7月15日付のニューヨーク・タイムズが、米国と中東の情報当局者の話として、米国とイスラエルによる1年がかりの秘密作戦だったと伝えている。この爆発でイランの核開発計画は、2年は遅れると情報当局者たちは語ったというのである。

 ナタンズの爆発について、15日付ニューヨーク・タイムズは、次のように伝えている。

 「ナタンズのイラン最大の核施設で起きた爆発事故は、遠心分離機を組み立てていた建物を損傷させた。そしてこの爆発はイスラエルの破壊工作が原因であるとされている。

また、2つの発電所での爆発、化学工場での塩素ガス漏れ、テヘランの軍事施設のミサイル製造工場での爆発もあった」

■ナタンズのウラン濃縮施設(Wikipediaより)

軍事施設以外にも、経済インフラを支える重要拠点で、詳細不明の火災や爆発が頻発!

 イランでは6月26日にテヘラン近郊のミサイル製造施設での爆発が報じられて以降、今回のナタンズの核関連施設での爆発以外にも、7月19日には中部イスファハンの発電所で爆発と北西部タブリーズ近郊の工場での火災がそれぞれ報じられた。

 軍事施設に加え、造船所や石油化学工場、発電所などの経済インフラを支える重要拠点で、詳細不明の火災や爆発が6月26日から7月20日のほぼ1ヶ月間に10件以上発生しているのである。

 7月15日付のニューヨーク・タイムズは、7月15日に発生した造船所の火災について、次のように伝えている。

 「複数のビデオやイラン・メディアの報道によると、7月15日の水曜日にイラン南部の港湾都市ブシェールの造船所で大規模な火災が発生し、船舶7隻を燃やし、街のスカイライン(輪郭)の上に黒煙を上げた。

 この火災はイラン市民を動揺させている過去3か月間の数十か所に及ぶ森林、工場および軍・核施設の火災および爆発に続いて起こった。イラン当局者は、これらの事件のいくつかは破壊工作の可能性があるが、天候、事故、設備故障が原因のものもあると述べている」

イランでは、森林火災も1,100件以上も起きている!

 7月15日付のニューヨーク・タイムズによれば、イランでは軍事・産業施設以外にも、過去3か月で森林火災が1,100件以上も起きており、150平方マイル(388.5平方km)以上の森林を焼き尽くしたという。

 多くのイラン人と当局者は、こうした火災や爆発は、新しい核取引の交渉圧力をかけたり、軍事的対立を挑発したりするための、米国とイスラエルの共同の秘密作戦だと疑っている。

イランの火災と爆発は米国とイスラエルによるテロ!?

 イランでの爆発や火災は、大きく分けて、ナタンズのような核関連施設と、造船所や石油化学工場、発電所などの経済インフラを支える重要拠点、森林火災といった3つに分けることができる。

 ニューヨーク・タイムズの言うように、これらに米国とイスラエルが関与しているとしたら、その目的はなんなのだろうか。狙われた施設がナタンズのウラン濃縮施設であることから、目的のひとつはイランの核開発計画の阻止である。さらには、火災や爆発が経済インフラに集中していることから、イラン社会の弱体化だろう。米国とイスラエルが関与しているなら、これは、テロと呼ぶべきものではないだろうか?

▲ネタニヤフ・イスラエル首相(Wikipediaより)

▲トランプ大統領(Wikipediaより)

米国イスラエルによるイラン敵視は11月の大統領選と絡んで戦争の危険性を孕んでいる

 現在のところ、イラン政府は、破壊工作の主体の名指しを避けるなど、慎重な構えを見せている。

 イランのこの一連の火災と爆発に対するスタンスを、15日付ニューヨーク・タイムズは次のように伝えている。

 「一部のイラン当局者は、少なくともいくつかの火災や爆発は、イランに対する米国とイスラエルの軍事作戦の一環ではないかと疑っていると個人的に述べている。しかし、これらの事件が何らかの国やグループと関連しているとか、なんらかの国やグループに非があると公式には述べた当局者はない」

 しかし、ナタンズの核関連施設での爆発などの一連の爆発と火災が、ニューヨーク・タイムズの言うように、米国とイスラエルの秘密軍事作戦だったことが明らかになれば、地球上で中国と覇権を争っている米国に覇権を唱える正当性は消失する。

 さらに、これらは軍事挑発の側面も持っており、11月の米大統領選に向けて、今後、ますますエスカレートする可能性もある。イランで頻発する火災や爆発には、今後も、注視する必要があるだろう。

 これまでにお伝えしてきた米国イスラエルとイランの戦争の危機については、以下の特集記事をご覧いただきたい。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です