新型コロナウイルスの感染が全国に拡大し、安倍総理の掛け声で日本全国の小中学校が春休みまで休校となり、不要不急の外出自粛が呼びかけられる中、安倍昭恵総理夫人が大分県の神社参拝ツアーに参加していたことが『週刊文春』で報じられた。
▲安倍昭恵総理夫人(Wikipediaより)
記事によれば、昭恵夫人は「ドクタードルフィン」「変態ドクター」などと自称するカルト医師・松久正氏の主催する怪しげなツアーに途中から合流。神社参拝だけ行動を共にしたとの事だ。参拝では昭恵夫人他、ほとんどの参加者がマスクをつけていなかったことが目撃されている。
不要不急の外出自粛を押してまで、総理夫人が参加した神社参拝ツアーを主催した松久氏とはどのような人物なのか。今年3月末に出版されたばかりの松久氏の著書を開くと、そのあきれた内容に驚きを禁じえない。
「コロナウイルスは罹ることを心配する人が罹る」と主張する松久氏は「コロナウイルスを愛の波動に変える」とまで言い切っているのである。
さらにこのカルト本を宣伝するYouTube動画では、「コロナウイルスって天照大御神さんよ」とまで言い出す始末。
この松久氏主催のツアーに昭恵夫人が合流したのは、安倍総理が記者会見で「現状は依然として警戒を緩めることはできません」と呼びかけた翌日だったのである。
「コロナウィルスは意識する人がかかります」注目のパンデミック対策を自己責任にすりかえる慶応卒の医師・松久正氏のカルト本の衝撃
2020年3月31日に松久正氏の『ウィルスの愛と人類の進化』がヒカルランドという出版社から発売された。
▲『ウィルスの愛と人類の進化』(松久正著・ヒカルランド)
松久氏は慶應義塾大学医学部を卒業した医師というのだが、「これが本当に医師なのか!? しかも難関であることで知られる慶應医学部卒の!?」と、目を疑う記述が随所にみられる内容である。
本の表紙カヴァーの折り返しには、次のような記述がある。
「567(コロナ)と369(ミロク)の超融合
コロナウィルスは、
意識する人、
罹ることを心配する人、
が、罹ります。
意識しない人には、
存在しないのと、同じことなのです」
最初から、つんのめりになるほど、つまずく。これまで、コロナウイルスに感染した人たちは皆、コロナウイルスの蔓延を意識し、感染することを心配した人だったのだろうか?
武漢から最初の感染者が出たとされる新型コロナウイルス。その人たちはのちのち 「COVID-19」と命名される新種のウイルスにのことを意識していたのだろうか!? 意識するためにはウイルスについて知らなければならない。最初の感染者たちは、新型コロナウイルスの存在を感染前に知り得たのだろうか!?
そんなことがあろうはずがない。
新型コロナは、誰にとっても「未知のウイルス」である。
初期の感染者は、自分の身に起きたことが何だか、わからなかったに違いない。松久氏自身も新型コロナについて、新種のウイルスであることが発表されて、初めて、このウイルスについて知ったはずである。ウイルスは、人が何をどう意識しようが、そんなことには忖度しない。ウイルスのことを人が意識しようとしまいと、そんなことにはお構いなしで感染してゆく。ウイルスには人の意識を忖度する感受性や頭脳もない。そもそもRNAしかもたない、生物細胞より原始的な構造の病原体なのである。
さらに表紙カバーの折り返しには、こうも書かれている。
「コロナウィルスを愛の波動に変える、
高次元ネオシリウスエネルギー曼荼羅付き」
369(ミロク)という語呂合わせは、仏教の弥勒菩薩(みろくぼさつ)が由来であろう。仏教の一部においては、弥勒は釈迦牟尼仏(仏教の開祖・ブッダ)の次に現われる未来仏を意味する。曼荼羅(まんだら)もまた、仏教の図像を意味する。
現代のスピリチュアル・ビジネスやカルトは、古くからある宗教から概念を「借用」してくるのが特徴だ。「シリウスエネルギー」と謳っているが、シリウスとは、宇宙の恒星の名称である。地球からみた場合、シリウスはもっとも明るい星である。シリウスという恒星は存在する。だからといって「高次元」な「シリウスエネルギー」が仏教の「曼荼羅」と結びつき、新型コロナを「愛の波動」に変えるわけがない。でたらめもはなはだしい。
「高次元星」「アンドロメダのエネルギー」「宇宙母船」「鳳凰」!! 何がどう大丈夫なのか!? 詐欺まがい健康商法のような書籍紹介!
松久氏は、『ウィルスの愛と人類の進化』(ヒカルランド)の書籍紹介HP上で、自身の宇宙との交信に関して、以下のような「事実」があったと主張している。
「ある日の鎌倉には、昨年の秋分の日に、
私ドクタードルフィンが、
宇宙の高次元星の構成組み換えをして、
地球を強力にサポートすることになった、
アンドロメダのエネルギーが、
宇宙母船(スペースシップ)エネルギーとして、
二隻、現れてくれた。
その二隻は、左右で、大きな翼を表現して、
大きな鳳凰を、描いた。
彼らが、伝えてきた。
『みんな、大丈夫だよ』」
「大丈夫だぁ」とは、新型コロナウイルスに感染し、急逝した志村けんさんの代表的なギャグであり、フジテレビ系列のテレビ番組『志村けんのだいじょうぶだぁ』のタイトルでもある。
宇宙から降りてきたと松久氏が「表現」したのは、亡くなった志村さんだったのではないのか? 志村けん氏を追想するうち、想像がオーバーランして、宇宙船とか鳳凰とかに見誤ったのではないのか? 一応、そう思ってみたい。夜空に宇宙船と鳳凰を「見た」あげく「みんな大丈夫だよ」とメッセージを与えてくれたというならば、それは「幻覚」症状であり、「幻聴」を疑わなければならない。松久氏は、ご自身も医師だそうだが、他科の専門医に診察してもらう必要があるのではないか。
多くの人を「だいじょうぶだぁ」と励まし、笑わせ、なごませて、勇気づけてくれた志村さんですら、新型コロナウイルスに、感染したら、「大丈夫ではなかった」のである。たったひとつ、かけがえのない命を落としたのである。無責任に「大丈夫だよ」と「宇宙船と鳳凰」からのメッセージを伝える松久氏には、こう問い返したい。「他の人の生命や健康を『大丈夫』など、無責任にうけおわないでもらいたい。新型コロナ感染の脅威は現実にある。それよりも、あなたの頭は大丈夫なのか?」と。