2020年6月9日(火)午前8時20分より、千代田区永田町の厚生労働省会見室にて、加藤勝信厚生労働大臣定例記者会見が開かれた。加藤厚労大臣より2件の報告がなされた。
最初に、6月5日にシステムの不具合によって運用を停止した雇用調整助成金等オンライン受付システムについて、その詳細と対応が報告された。申請の迅速化を目指して導入されたオンライン受付システムは稼働初日の5月20日に不具合が起きて閉鎖され、整備を行なったうえでの再開初日が6月5日であったが、またも運用停止となった。
具体的には、ある事業者の申請書類の内容が他の申請者に閲覧されてしまったという。ユーザーが申請作業中に、前の画面に戻る操作を行なうと、適切な画面ではなく、別の1社のデータを表示してしまったという。そのなかには役員と労働者の個人情報、事業者の銀行口座情報が含まれていたという。厚労省は関係者に陳謝し、外部専門家による監査と徹底的な究明に努めるという。
もう一件は、新型コロナの影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案が改正される旨の報告であった。この改正では、いままでの雇用保険法では休業手当を受けることができなかった労働者への新たな給付制度のほか、失業手当の給付日数の延長、雇用保険制度の安定的財政運営のため失業給付等に要する経費を一般会計から繰り入れることなどが講じられている。
その後の質疑応答において、IWJ記者は加藤大臣に、「現在新型コロナウイルス感染症対策の専門家会議の議事録を作成する、しない、ということが話題になっていますが、2010年、11年の新型インフルエンザの専門家会議の議事録は残されており、厚労省のホームページでも拝見でき、これは後年のため大変有用な資料だと思われますが、新型コロナ専門家会議の議事録が作成されない、あるいは議事概要(発言内容の要約箇条書き、発言者不明の書式)というものに留まることについて、厚労省としてのお考えをお聞かせください」と質問した。
加藤大臣は、「いま、ふたつのお話があったと思います。新型インフルエンザ専門家会議も新型コロナ専門家会議も基本的には内閣官房が主催されてますから、資料はそこで保存されるということであります。また、この専門家会議等の議事概要などをどうするかについては、先日西村大臣から具体的な説明があったと思いますので、我々もそれに則ってやられるものだと承知しております」と回答するのみだった。