沖縄三連敗に次ぐ四連敗回避が至上命題の安倍政権! 菅官房長官暗躍(野党の鷲尾英一郎衆院議員切崩し工作)説も浮上するも苦戦の模様 10.28投開票の新潟市長選でも首相嫌いの公明支持者(創価学会員)が離反か!? ~フリージャーナリスト・横田一氏による報告 2018.10.27

記事公開日:2018.10.27 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・文:横田一)

 8万票差をつけた圧勝で玉城デニー知事が誕生した「沖縄県知事選」(9月30日投開票)で日本の政治の潮目が変わり、安倍政権の終わりが始まったようにもみえる。

 玉城知事を支援した翁長雄志前知事の支持母体「オール沖縄」は、県南で保守地盤が強いとされる「豊見城市長選(10月14日)」でも支援候補が勝利し、1週間後の「那覇市長選(10月21日)」でも辺野古新基地反対も訴えた城間幹子市長が当選。自公推薦候補は県知事選・豊見城市長選・那覇市長選で三連敗を喫したのだ。

 官邸としては「安倍首相が選挙の顔では来年の統一地方選や参院選は戦えない」という声を封じ込め、悲願の憲法改正の加速化をはかりたい。そのため、今後の政権運営には、地方選挙での連敗を食い止め、沖縄三連敗の悪い流れを断ち切ることが不可欠である。そこで与野党の支援候補を含む新人4人が争う「新潟市長選」(10月28日投開票)で、菅義偉官房長官が暗躍し始めたというのだ。

 立候補しているのは、元経産官僚の飯野晋・元北区長、吉田孝志・元市議、そして自民党支持の中原八一・元参院議員の保守系3候補、そして野党5党(立憲民主・国民民主・社民・共産・自由)が支持する小柳聡・元市議である。保守系3候補が一本化できなかった保守分裂の構図である。

 世論調査では飯野氏を除く3候補が、ほぼ横一線の三つ巴状態となっていた。

 そこで自民党は「勝てる可能性が高いのは中原氏」と判断して「中原氏支持」を決定。自民党国会議員が現地で応援演説をする一方、6月の新潟県知事選勝利の立役者である菅官房長官が再び水面下で動き始めたというのだ。

▲写真中央が中原八一氏(10月26日に行われた個人演説会にて、横田一氏提供)

▲10月26日に行われた中原陣営の個人演説会で演説する中原八一氏(横田一氏提供)

▲10月26日に行われた中原陣営の個人演説会で演説する中原八一氏(横田一氏提供)

 「前回の総選挙で新潟は6小選挙区のうち4選挙区で野党系国会議員が自民系候補に競り勝ちましたが、その中でも最も右寄りの鷲尾英一郎衆院議員(元民進党)が、新潟市長選で自民支持候補の集会に駆けつけ、支援表明をしたのです。新潟日報にも報道されましたが、『水面下で菅官房長官が暗躍、将来の自民党入りを約束した』という密約説が地元で流れているのです」(地元事情通)。

▲鷲尾英一郎衆議院議員(横田一氏提供)

 「鷲尾氏は野党系国会議員というより『隠れ自民党』」という見方は以前から流れていた。野党統一候補の森ゆう子参院議員(自由党)が僅差で勝利した3年前の参院選でも、鷲尾氏の裏切りが判明して「野党共闘から追い出すべきだ」という声が出る事態となった。

 そのため今でも森氏とは犬猿の仲で、菊田真紀子衆院議員と森氏が仕切った6月の新潟県知事選でも、鷲尾氏は野党統一候補の池田千賀子・元県議の応援演説を3回しかせず、「サボタージュなどで自公推薦候補の花角英世知事を当選させようとしている」という裏切り説が囁かれていた。その背景には、森氏への反発もあったとみられている。

▲新潟県知事選で野党統一候補を応援した鷲尾英一郎衆議院議員(横田一氏提供)

▲新潟県知事選で野党統一候補を応援した鷲尾英一郎衆議院議員(横田一氏提供)

▲新潟県知事選で野党統一候補を応援した鷲尾英一郎衆議院議員(横田一氏提供)

 そんな野党系国会議員の軋みに目をつけたのが、菅官房長官であるといわれている。

 実は、6月の新潟県知事選でも菅官房長官は暗躍していた。懇意な佐藤浩・創価学会副会長が「『名護市長選方式』(自公で合同選対を組んで企業団体や創価学会員に期日前投票などの要請をする)を持ち込みたい」と提案したのに対して、新潟自民党県連の柄沢正三幹事長が難色を示したことで、佐藤氏が激怒。公明党が自主投票寸前になったことがあったが、ここで素早く関係修復に動いたのが、危機管理能力が抜群の菅官房長官なのである。

 官邸で柄沢幹事長を叱責して謝罪させた後、公明党は自主投票を撤回して県内外の創価学会員がフル稼働し、自公推薦の花角知事誕生に大きく貢献したのだ。

▲2018年の新潟県知事選で花角氏を応援する柄沢正三幹事長(横田一氏提供)

 そして県知事選で野党連携の一角を崩すのに一役買った鷲尾氏についても当然、水面下の動きが得意の「策士」の菅官房長官は注目していたに違いない。そこで今後の政権運営を左右する新潟市長選で、野党国会議員の顔をして自民党に協力をする「鷲尾カード」を再び活用しようとしたようにみえるのだ。

三つ巴の戦いから小柳氏と吉田氏の一騎打ち状態となった理由

 しかし菅官房長官の思惑通りには推移していないようだ。選挙戦最終盤になって三つ巴の戦いから、小柳氏と吉田氏の一騎打ち状態になりつつあるというのだ。

 原因とみられるのは三つ。

 菅官房長官と佐藤副会長が産み落とした「名護市長選方式」の要とされる「期日前投票要請」への反発。2月の名護市長選や6月の新潟県知事選では「勝利の方程式」と絶賛されたが、先の沖縄県知事選と同様、企業団体締め付け選挙に対する反発が強まっているというのだ。

▲2018年の沖縄県知事選で佐喜真淳候補(左から2番目)を応援する菅義偉官房長官(右から2番目)と小泉進次郎衆議院議員(左)(横田一氏提供)

▲2018年の沖縄県知事選で佐喜真淳候補(中央)を応援する菅義偉官房長官(右)と小泉進次郎衆議院議員(左)(横田一氏提供)

 二つ目の誤算は、自公推薦候補だった花角知事の全面支援がないこと。

 「県知事選の支援を受けた恩返しに自民支持の中原候補の応援演説をするに違いない」と見られていたが、「花角知事は有力3候補の競う市長選で特定の候補に肩入れをすると、残りの2候補陣営に恨みを買って今後の県政運営にマイナスと考えたのでしょう」(地元関係者)。

 中央の安倍政権への悪影響よりも、花角県政を優先した判断のように見えるが、別の言い方をすれば、「安倍政権(首相)は見放された」というようにもとれる。

▲花角英世氏。写真右は柄沢幹事長(2018年の新潟県知事選にて、横田一氏提供)

 公明党支持者(創価学会員)の離反も見て取れる。

 吉田氏は保守系3候補乱立に加えて、自民党からも「勝てる候補ではない」として支持見送りとなったのに、自民党支持の中原氏と同等以上の戦いをしているからだ。現職市長との一騎打ち状態となった4年前の市長選で、厳しい市政批判で善戦した実績に加えて、沖縄県知事選で露呈した創価学会員の造反心理も働いている可能性があるという。

 「こんな葛藤が少なからぬ公明党支持者にはあるようです。『沖縄県知事選で示された辺野古新基地反対の民意を無視、憲法9条改正に突き進む強権的な安倍政権が支持する中原候補には入れたくないし、かといって共産党も応援する小柳候補が勝つのも嫌だ』というわけです。二つの拒絶反応が、自民党から見放された吉田候補支持につながっているようなのです」(政治アナリスト)。

 一方、保守分裂でリードしてもおかしくない野党統一候補の小柳氏は、立憲民主党主導の選対に国民民主党支持者が反発、共産党の動きが鈍かったなどの問題を抱えていたが、最終盤になって選対体制が強化されて勢いが出てきた結果、小柳氏と吉田氏とが競り合う展開となってきたという。

 28日の投開票は投票率によって結果が左右される可能性はあるが、公明党支持者(創価学会員)がどんな投票行動をするのか、自民党支持の中原氏が敗れて四連敗となるのか否かが注目される。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です