3月21日、政府は「共謀罪(テロ等準備罪)」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を閣議決定し、国会に上程した。277もの犯罪について計画段階で処罰できるようにするもので、安倍政権は今国会での成立を目指している。
恣意的な捜査を可能にし、個人の内面にまで踏み込む共謀罪は、特定秘密保護法や安保法制などとともに、安倍政権が進める「戦争遂行法制」の一環であると言える。共謀罪はその内容から「平成の治安維持法」などと呼ばれるが、改正治安維持法が施行されたのは1941年3月。日本軍による真珠湾攻撃のわずか9ヶ月前である。現在の日本は、まさに「戦争前夜」と言える状況にあるのだ。
ただ、先のアジア・太平洋戦争と決定的に異なるのは、日本は今回は米国の従属国として、最前線で使い捨てにされる可能性がある、という点である。
2013年6月、元CIA職員のエドワード・スノーデン氏によって行われた暴露が世界を驚かせた。これまで秘密のベールに包まれていたNSA(米国家安全保障局)が、「PRISM(プリズム)」と呼ばれるプログラムなどを通じ、全世界で大規模な盗聴を行っているというのである。
NSAによる盗聴は、「同盟国」である日本もまた例外ではなかった。しかし日本政府は米国に抗議することもなく、スノーデン氏による暴露以降も対米従属をますます深めているありさまである。
特定秘密保護法、安保法制、そして共謀罪によって米国とともに戦争をする国になるのか。それとも、米国に対してはっきりと「No!」を突きつけるのか。スノーデン氏による暴露は、私たちが日本という国の自主独立について改めて考える、格好の機会となった。
そんなスノーデン氏に日本人として初めて単独インタビューを行い、その成果を著書『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』として刊行したのが、ジャーナリストの小笠原みどり氏である。2016年12月、私は小笠原氏に単独インタビューを行い、スノーデン氏の発言内容を聞くとともに、NSAが今もなお全世界で行っているとされる諜報活動の実態を聞いた。
今月の「IWJ特報!」では、その小笠原氏へのインタビューのフルテキストをお届けする。世紀の暴露を行ったスノーデン氏は、はたして日本に対しどのような認識を持っているのか。ぜひ、最後までお読みいただきたい。(岩上安身)