大学や研究機関における軍事研究に反対する研究者らが参加する軍学共同反対連絡会は、2017年1月31日に東京都千代田区にある参議院会館で記者会見を開いた。
同会の共同代表で名古屋大名誉教授である池内了氏は、「防衛装備庁は『安全保障技術研究推進制度』を廃止する」「各大学・研究機関は同制度への応募を行わない」といった内容を各方面に要請する緊急署名を、2016年末から開始したことを発表した。
(取材・文:青木浩文)
※2月11日テキストを追加しました!
大学や研究機関における軍事研究に反対する研究者らが参加する軍学共同反対連絡会は、2017年1月31日に東京都千代田区にある参議院会館で記者会見を開いた。
同会の共同代表で名古屋大名誉教授である池内了氏は、「防衛装備庁は『安全保障技術研究推進制度』を廃止する」「各大学・研究機関は同制度への応募を行わない」といった内容を各方面に要請する緊急署名を、2016年末から開始したことを発表した。
■ハイライト
「安全保障技術研究推進制度」とは、大学などの軍事転用可能な研究に助成金を出すとして、防衛省が2015年から開始した制度である。
池内氏は、同制度の2017年度当初予算として110億円が計上されたことについて触れ、「2015年度は3億円の予算に対して109名の応募者だったのに対して、2016年度には6億円の予算に対して44名と半減した。にもかかわらず、2017年度予算を16倍以上に増加させた」として予算増額の異常さを指摘し、怒りをあらわにした。
そのうえで池内氏は、この背景には「軍産学共同体に発展させるという意図が明白に読み取れると思う」という見方を示し、「このような大量な資金が大学に流れ込んできた時に、はたして研究の自由、大学の自主が担保されるのか、大きな危惧をもっている」と警鐘を鳴らした。
続けて池内氏は、2015年に新潟大学が軍事研究には協力しないという態度を表明したことに触れ、さらに2016年12月に関西大学が、2017年には明治大学、法政大学などが相次いでこの制度に応募しないことを宣言したことを紹介。「大学にとって市民の信用を失うことは致命的。『安全保障技術研究推進制度』は、3月より募集開始される予定だが、軍事研究の協力拒否を宣言する大学が多く出てくることを願っており広く訴えたい」と、語気を強めた。
池内氏にはIWJ代表の岩上安身が単独インタビューを行っている。防衛省が企む「研究者版『経済的徴兵制』」、そして「科学者の社会的責任」などについて語った同氏のインタビューを、ぜひあわせてご視聴いただきたい。