2016年10月23日、衆議院東京10区補選の投開票が行われ、20時の時報とともにNHKは、自民党公認候補である若狭勝氏の当選確実を報じた。
当確の報を受け、小池百合子都知事はマイクを握り、「地域の皆さまがたが、引き続き東京大改革を小池百合子にさらに前に一歩進めろと、そして、地域のことは若狭さんに任せようと、そういう決断をしていただいた結果だと思っています」などと、語った。
マスメディア、特にテレビの情報番組、ワイドショーは、連日各局とも「築地市場の豊洲問題」だけを取り上げ、その「主役」として小池知事を位置づける。マスメディア全体が、オーケストラのコーラスを担当し、その中央で小池氏が歌い、踊る「小池劇場」が、これでもか、これでもかと続く。
そんな異常な状況の中で行なわれた東京10区補選。都知事選で小池氏を推し、今回は小池氏に推される立場の若狭勝候補の圧勝は、あらかじめ予想されていたものだった。実際、街宣の様子を取材していると、サポーターのおばさまたちが、熱狂的な応援を繰り広げる。若狭氏に、というより、小池氏に風が吹いていると実感させられたものだが、しかしフタをあけてみると、史上最低の投票率。
東京都選挙管理委員会によれば、投票率は34.85%で(男33.98%、女35.71%)で、これまでで最も低かった2014年12月の衆議院選挙の53.56%から、さらに18.71ポイント下回った。
東京10区の有権者たちは、野党共闘の候補ともいえない、中途半端な鈴木ようすけ候補にも失望し、同時に、小池・若狭コンビにも案外にシラケていたことがわかる。
テレビでの空騒ぎにだまされてはいけない。サイレント・マジョリティーといわれる多くのモノ言わぬ有権者たちは、「小池劇場」の空虚さをすでに見透かしているのかもしれない。