「発端は、日・米・インドによる海上共同演習『マラバール2016』(6月10日~17日)で、インドの軍艦が沖縄に来たことだ。当然、中国軍は監視に来る」──。
今年6月、尖閣諸島周辺で起こった一連の中国軍の海域侵入事件について、中国の政治情勢に詳しい横浜市立大学名誉教授の矢吹晋(やぶき すすむ)氏は、このように解説する。ところがマスメディアは、「マラバール2016」の実施や、先にロシア軍艦が「接続水域」を航行していたことなどを一切報じなかった。また、外務省の斎木昭隆事務次官(当時)は、中国大使を夜中の2時に呼びつけたにもかかわらず、ロシアに対してはひと言も文句を発していない。この「二重基準」は何なのか。
2016年7月3日、岩上安身は、横浜市立大学名誉教授の矢吹晋氏にインタビューを行い、この事件の真相、背景について詳しくうかがった。
さらに、元航空自衛隊空将の織田邦男氏がネットメディア「JBpress」に掲載した、「東シナ海で一触即発の危機、 ついに中国が軍事行動 中国機のミサイル攻撃を避けようと、自衛隊機が自己防御装置作動」と題する、中国軍の戦闘機が東シナ海上空で空自戦闘機に攻撃を仕掛けた、という記事についても、見解をたずねた。
日本のマスメディアは、参議院選挙が直前に控えていたということも背景にあるのか、この事件をことさら中国脅威論と関連づけて報道した。中でも夕刊フジは、「尖閣すでに戦争状態 中国機『攻撃動作』6月に複数回 空自機を正面から威嚇」と、扇情的な見出しで報じている。
タブロイド紙とはいえ、「すでに戦争状態」という大見出しは、読者を大きく揺さぶる。事実でなければ(もちろん交戦が行われたわけではないので事実ではないのだが)戦争煽動そのものである。
ロシア軍も、中国軍も、今回は領海を侵犯したわけではなく、「接続水域」という公海上の航行だ。これまでに、米軍はもちろん、ロシア軍も何度も航行していた水域であるのに、中国軍の航行だけを俎上に上げてとがめるのは、国民に「日本は中国によって侵略されつつある」というイメージを刷り込み、安保法制を強行採決して、今度は改憲に着手しようという、安倍政権をアシストする選挙前のプロパガンダであるとしか言いようがない。
政府の偏った姿勢も問題だが、これに足並みをそろえて「洗脳報道」としか呼びようのないマニピュレーション(情報操作)を行う日本のマスメディア、とりわけNHKの腐敗は度しがたい。
矢吹氏は、「中国封じ込めのために『マラバール2016』があり、すでに6月9日に事件が起こっていた。にもかかわらず、NHKは1週間後に、その因果関係を隠してようやく報道した。NHKが、ここまで腐った御用報道局だとは思わなかった」と憤りを隠さなかった。
しかし、問題はそれだけではない。
中国軍艦の海域侵入は、6月15日に再び起こった。中国海軍の情報収集艦が、トカラ海峡を通過したことに対して、中谷元防衛相が、「無害通過には当たらない」と抗議したのだ。中国側は「国際海峡を通った」とし、通過通航権(*注)を主張した。
*注
- 無害通航:沿岸国の平和・秩序・安全を害さないことを条件として、沿岸国に事前に通告をすることなく、沿岸国の「領海を他国船舶が通航すること」
- 通過通航権:「国際海峡の定義」から始まる。国連海洋法条約第34条では「国際海峡水域」を定め、第36条は「国際海峡内の公海」又は「航路」部分について規定。
日本では、宗谷海峡、津軽海峡、対馬東水道、同西水道、大隅海峡の5ヵ所を国際海峡としており、他国の艦船、航空機、潜水艦も潜航したまま、通過通航権で自由に航行できる、としている。実はここには日本政府の米国への「配慮」がある。日本政府は核搭載のアメリカ艦船が通ることを見越して、「非核三原則」に抵触しないように、本来の沿岸12カイリを3カイリに縮小して領海法を制定した。狭い海峡なのに、自国の領海の範囲をわざわざせばめて、「公海」のスペースを作り出し、「非核三原則」のうちの「持ち込ませず」に核を積んだ米艦船が引っかからないようにしたのである。
これに対し、これまでは、中国軍もロシア軍もこの「後任」スペースを艦船が通過したことはないという。しかし、日米印の合同演習が引き金となり、そうした「暗黙の了解」が破られることになった。
今回、中国は、「米軍はもとより、ロシア軍やインド軍の艦船も通ったのだから、トカラ海峡も国際海峡だ」とし、通過通航権を主張。かつ、南シナ海でアメリカ軍が展開する「航行の自由」作戦への安倍総理の支持を逆手に取って、今後は堂々と日本の5つの国際海峡を航行する意向だ、と矢吹氏は推測。「この事件は、そのための伏線ではないか」と分析を述べた。
また、尖閣諸島の「接続水域」侵入での日本の抗議は、中国国防省に、「釣魚島(ちょうぎょとう)は中国固有の領土であり、中国の軍艦が自国の管轄海域を航行するのは合理的かつ合法である』(6月9日)と言わせてしまった。それまでは暗黙の了解で、日本が実効支配していたことが、これで反故になったのである。つまり、安倍政権は、中国につけ入る隙を与えるという失態を演じたのだ。
日本はまるでヘボ将棋指しのように、手を打つそばから逆手をとられている感がある。
自衛隊機と中国空軍機の一触即発を記事にした織田氏について、矢吹氏は、「彼はプロ中のプロ。イラク派兵時の空自の指揮官で、事実上、ナンバー2の空将だった。その彼が、中国空軍機が逃げなかったことに対して抱いた危機感は正しい」と明言する。
織田氏は、今回の事件で中国軍の変化を強調している。これまで中国軍機は、東シナ海の一定ラインから南下せず、空自機のスクランブルに対しても、敵対行動をとることはなかった。ところが、今回、そのラインをやすやすと越えて南下、スクランブル機にも攻撃動作を行った、としている。織田氏は、空自創設以来、初めてのドッグファイト(空中戦)になる危険があったと懸念し、「外交交渉が必要だ」と警鐘を鳴らしている。
矢吹氏は、「安倍政権は、織田氏を封じ込めようとしているようだ。特定秘密保護法での逮捕もあり得るかもしれない。そうなれば、危機的だ」と話し、岩上安身は、「安倍政権はプロパガンダで国民を煽り、中国との戦争は避けられない状態にあるのだと思い込ませようと洗脳している。そうした危機感から国民が改憲による緊急事態条項の導入に国民投票で賛成し、導入されてしまえば、終わりだ」と危惧した。
- インタビュイー 矢吹晋氏(横浜市立大学名誉教授、中国研究)
- タイトル 岩上安身による矢吹晋・横浜市立大名誉教授インタビュー
- 日時 2016年7月3日(日)16:00〜
- 場所 IWJ事務所(東京都港区)
空では一触即発、中国軍機と自衛隊機が空中戦!? 海では中国軍艦とロシア軍艦が尖閣諸島で領海侵犯!?
▲矢吹晋氏
岩上安身(以下、岩上)「中国軍機と自衛隊機が、あわや空中戦という、一触即発の事態が発覚しました。また、尖閣諸島近海における、中国軍艦の日本海域の『接続水域』への『進入』、さらにロシア軍艦も航行したという事件も起きました。
参議院選挙前のせいなのか、右派メディアは、それ見たことかと煽動的な見出しを並べたてる。それに乗じて論客たちは、『戦争だ、中国軍が攻めてくる、だから安保法制が必要、安倍首相が適任だ』と短絡的なプロパガンダで煽る。しかし、私たちは、それを真に受けず、事件の真実と背景を冷静に見定めなければいけません。
本日は、中国研究で著名な横浜市立大学名誉教授の矢吹晋氏に、今回の事件に関してお話をうかがいます。
まず、事件の概要についてですが、6月9日未明から16日にかけ、中国海軍の軍艦による日本への領海侵入と、『接続水域』への進入が3件、続けて起きました。日本政府は、中国海軍が本格的に太平洋に進出しようとしていると分析しました。
※中国公船による接続水域内入域及び領海侵犯の詳細
2016年6月9日には初めて中国海軍の艦艇「江凱型フリゲート」が尖閣諸島の接続水域に入域した。これに対し日本政府は午前2時に程永華駐日中国大使を外務省に呼んで斎木昭隆外務事務次官による抗議がなされた。
なお、その6日後の同月15日には中国海軍の情報収集艦が口永良部島の領海を侵犯し、翌16日にも同じ船が北大東島の接続水域に入り、同日金杉憲治外務省アジア太平洋州局長により劉少賓駐日次席公使に対して「一方的にわが国周辺海域での行動をエスカレートさせている最近の中国軍全般の活動に懸念する」との伝達がなされた。
(ウィキペディアより抜粋)
ところが、周辺海域では、日米印3ヵ国の海上共同演習『マラバール2016』(6月10日~17日)が行われており、演習参加艦艇を追跡する形で、中国軍艦が航行していた。 この演習に関しては、NHKはじめ、マスメディアは一切報じませんでした。中谷元・防衛相は、自分たちには原因がないかのごとく、『中国軍が一方的にエスカレートさせている』というニュアンスで発言しています。
そして、元航空自衛隊空将の織田邦男(おりた くにお)氏(64)が、6月28日、ネットメディアのJBpressに、『東シナ海で一触即発の危機、ついに中国が軍事行動』と題した記事を発表しました。東シナ海上空で、中国軍の戦闘機が空自戦闘機に対して攻撃動作を仕掛け、空自機が自己防御装置を使用して離脱した、という内容です。IWJは織田氏に取材を申し込みましたが、関係者に迷惑がかかるとして、ノーコメントという回答を返してきました。
この件について、毎日新聞は『政府関係者は事実関係を認めている』。産経新聞は『防衛省関係者は大筋で認めたが、実際にどこまで中国機が空自機に迫ったかが問題だ』と報じた。夕刊フジは、記事の内容は産経新聞とほぼ同じですが、見出しを『尖閣すでに戦争状態 中国機「攻撃動作」6月に複数回 空自機を正面から威嚇』と非常に扇情的に書いている。これは問題です。
この件について、萩生田光一(はぎうだ こういち)官房副長官は会見で、『攻撃をかけられたという事実はない』(6月29日)と否定。織田氏の記事に関しても『内容については、個人的には遺憾だ』と述べました。
元自衛官の泥憲和(どろ のりかず)氏は、今回の織田氏の言い分、毎日、産経新聞の政府のコメント、萩生田官房副長官の言い分を検証し、『こういうスクランブルは起こりえる。政治的対話がないことが問題だ』と、ブログで私見を述べていました」
中国軍とロシア軍の行動の原因は日米印共同訓練「マラバール2016」でインド軍艦が沖縄に来たため
矢吹晋氏(以下、矢吹・敬称略)「まず発端は、中国の侵攻を防衛するための日米印共同演習『マラバール2016』で、インドの軍艦が沖縄に来たことです。当然、中国は、それを監視に出てきますよ。ロシアも同様です。
マラバールとはインド半島の西南海岸の交通の要所で、そこでインドとアメリカは20年近く、共同軍事演習をやっていました。その演習に、2015年から日本がオブザーバーとして参加した。そして、突然、(米軍、インド軍が)沖縄に来たんです。中国が警戒するのは当たり前でしょう。
日本が、米軍とインド軍を沖縄に連れて来た。かつて、安倍総理が構想した『セキュリティ・ダイヤモンド』を、今回、実際にやってみせたのではないでしょうか。中国封じ込めのために『マラバール2016』をやり、6月9日に事件が起こっていたにもかかわらず、NHKは、やっと1週間後に、因果関係を隠して報道しました。NHKが、ここまで腐った御用報道局だとは思わなかった」
▲セキュリティ・ダイヤモンド構想
矢吹「尖閣諸島の『接続水域』に関しては、2012年に民主党政権が国有化しましたが、中国はそれを認めず、中国の海警局(海上保安庁にあたる)の公船が頻繁に出入りをするようになりました。マスメディアはいつも、『海保と海警の争い』と報じていますが、双方の後ろには自衛隊と中国海空軍が控えているんです。
尖閣諸島の領海の外12カイリを『接続海域』と呼びますが、公海です。誰が航行しようとかまわない。でも、日中の艦艇は、そこにお互いに入らないようにしよう、という黙約がありました。安倍政権になっても、空自と中国空軍で話し合っていたんです」
中国軍艦の領海進入第1幕。ロシア軍には文句を言わず、実効支配していた尖閣諸島に、中国軍が取り入る隙を与えた安倍政権の大失態!
岩上「6月8日午後9時50分、ロシア軍艦が久場島と大正島の間の接続水域を通りました。海上自衛隊の護衛艦『はたかぜ』がこれを追いかけ、『接続水域』に入った。これを受け、中国軍のジャンカイ I 級フリゲート艦も接続水域に入りました。今回、なぜ、ロシア海軍が海域に入ったのですか?」
矢吹「ロシアは、アメリカの動きにしか興味がないからです。おそらく、今までも航行していたのでしょう。
外務省の斎木昭隆(さいき あきたか)事務次官は、程永華(チェン・ヨンホウ)駐日中国大使を、6月9日午前2時に外務省に呼びつけて抗議した。これは、中国に無礼ではないでしょうか。しかも、中国には文句を言うのに、ロシアにはひと言も言っていません。これはおかしくないですか?」
岩上「斎木事務次官は『ロシア軍艦が、なぜ、あの時間に、あの海域にいたのか、推測を述べることは控えたい。ロシアは(領有権を主張)していない。中国とは区別して対応していく』とコメント。続けて、岸田文雄外務大臣は、6月9日の会見で『非常に深刻な懸念』と語った」
矢吹「白々しいこと、はなはだしい。まったく説得力に欠ける。ロシアが航行した水域は公海です。中国軍にとっても、航行は自由なんです。さらに、最初は『厳重な抗議』(斎木事務次官)だったのに、『懸念』(岸田外相)にトーンダウンした」
岩上「この『抗議』と『懸念』の言葉の使い分けは、恣意的なんでしょうね」
矢吹「当初は、首相官邸の指示で、厳重に抗議しろ、と。ところがよく調べると、日本が先に『接続水域』に入ったことがわかった。だから、トーンダウンしたんです。でなかったら、午前2時に大使を呼びつけますか? 参議院選挙前の宣伝でしょう」
岩上「これに対し、中国国防省が発表したコメント(6月9日)は、『釣魚島(ちょうぎょとう)は中国固有の領土であり、中国の軍艦が自国の管轄海域を航行するのは合理的かつ合法である』と。
これを、中国に言わせてしまったんです。それまで日本が実効支配していたのに、安倍政権は、中国につけ入る根拠を与えてしまった。失態じゃないですか!」
中国軍艦の領海進入第2幕。南シナ海で展開するアメリカ軍「航行の自由」作戦を逆手にとった中国軍
岩上「中国軍艦の領海進入第2幕。6月15日午前3時半頃、中国海軍のドンディアオ(東調)級情報収集艦が、鹿児島県口永良部島西の領海を航行。海上自衛隊の哨戒機P3Cが確認しました」
矢吹「『マラバール2016』演習の終わり頃、トカラ海峡を中国軍が通過したので、日本が抗議した。ここでの問題は、中谷防衛相が、『これは、無害通過にはあたらない』と文句を言ったことです。海洋法上、『無害通航権』と『通過通航権』があります。『無害通航権』は、他国の船が領海を通ってもいいが、潜水艦は洋上航行しろ、諜報活動は禁止などの縛りがあります。
中国側は、国際海峡を通ったのだから、と『通過通航権』を主張しました。日本は、国際海峡として、宗谷海峡、津軽海峡、対馬東水道、同西水道、大隅海峡を『特定海域』としています。しかし、トカラ海峡については定義していない。中国は、ロシア軍も米軍もトカラ海峡を通過し、今回はインド軍も周辺を航行したと、『通過通航権』で反論したんです」
岩上「日本政府はロシア軍を黙認し、インド軍も航行させた。中谷防衛相は、説得力のある説明ができませんでした。さらに、安倍総理は南シナ海の状況については、中国に対し、『我々の同盟国の普遍的な価値感に基づくルールで、航行の自由をアメリカは行使している』と述べ、米軍の航行を支持している。だとしたら、『東シナ海において、中国も自由に航行しますよ』という主張には、どう対応するのでしょうか」
矢吹「国際海峡間の領海の幅を、通常の12カイリでなく、3カイリ(1カイリ約1.85km。3カイリ=約5.6km)と狭くしています。なぜ、3カイリに決めたのかというと、1977年、領海法を決める際、アメリカの核兵器を搭載した原潜や空母が通過する際、非核三原則に抵触しないようにしたからです。他の国際海峡も同様です。そこは、空は航空機も、潜水したままの潜水艦も通れるのです」
岩上「つまり、アメリカに便宜を図ったのですね。今までロシア軍は、どこに核兵器を搭載した米軍の原子力潜水艦が潜んでいるかもしれないので、通らなかった。しかし今回、中国は南シナ海のゴタゴタを逆手にとって、その小細工のほころびをついてきたんですね。非核三原則のために、3カイリにしたのが仇になってしまった」
矢吹「安倍内閣はお手上げでしょう」
米軍など同盟軍だけOKのロジックは通用しない! 中国は日本の対米偏重外交を巧みに利用、5つの国際海峡にまで通過通航権を主張する!?
岩上「今回の事件を記事にした、織田邦男氏について、矢吹先生は評価していますね」
矢吹「彼は、プロ中のプロです。自衛隊のイラク派兵の時、空自の指揮官。事実上、ナンバー2の空将です。もし、トップの空幕(航空幕僚長)が不在になったら、とって代わるような大幹部です。今回、その彼が、中国空軍機が逃げなかったことへの危機感を示したのは、正しい判断です。それを、ド素人である萩生田官房副長官が批判するのはおかしい」
岩上「ただし、矢吹先生は、織田氏のブログの内容の一部には疑問を呈しています。
それは、『中国国防省はトカラ海峡は「国際航行に使われている海峡」で、自由に航行できると正当性を主張している。だが日本政府は、屋久島や奄美群島付近のトカラ海峡は国際的な船舶航行がほとんどなく、国連海洋法条約で定める「国際海峡」には該当しないと反論し懸念を示した。国際法上、領海内の無害通航は認められている。
ただ中国は自国の領海においては、無害通航についても事前承認を求めている。今回はダブルスタンダードの非難を避けるために、あえて『国際海峡』を主張したものと思われる』とのくだりです」
矢吹「『ダブルスタンダードの非難を避けるために、あえて国際海峡を主張した』のではなく、中国側は、米軍とインド軍がトカラ海峡も通過した、もしくは近寄ったことから、津軽海峡と同様の国際海峡だという、新しいコンセプトを提示したのです。確かに、日本はトカラ海峡を国際海峡に定義していない。中谷防衛相の『無害通航にあたらない』との主張は的外れです」
岩上「それは、3カイリ外にした、5つの国際海峡の問題ですね。国際法上、合法にもかかわらず、米軍など同盟軍だけに航行を許すロジックは通用しない。中国は、今回、トカラ海峡で問題提起をした。それを5つの国際海峡(宗谷海峡、津軽海峡、対馬東水道、同西水道、大隅海峡)にも波及させ、通過通航権を主張し出すと、大きな問題になるということですね」
中国海軍に対してのみ抗議し、ロシア海軍の行動は不問にした矛盾~中国脅威論をプロパガンダしたい安倍政権