「自民党が変質した理由の一つに『小選挙区制』の問題がある。私は小選挙区制の導入に関わった人間ですが、“贖罪”の意味を込めて、小選挙区制度の導入が悪かったのではないかという気持ちを持ち続けているんです」
自民党総裁や衆議院議員議長、外務大臣を歴任した河野洋平元衆議院議員が2015年10月15日、日本外国特派員協会で会見を行い、今国会で成立した安保関連法制や近年の自民党の変質、さらには近隣諸国とのあるべき関係についての私見を語った。
河野氏は、「日本の国会、政治家は、民意からかけ離れていってしまっているのではないか。もし、そうであるとすれば、これはとんでもないことだ」と現状を憂慮した。
河野洋平氏「政治がとんでもなく民意とかけ離れてしまっている」
▲「政治がとんでもなく民意とかけ離れてしまっている」と語る河野洋平元衆議院議長
「この国会は非常に重要な国会だった」――。
河野氏は、安保法制の成立を受け、「戦後の内閣が一貫して守ってきた『二度と戦争をしない』という日本の大事な思いを、憲法にまで書き込んである精神を変えてしまった」と述べ、険しい表情をみせた。
一方で、今回の安保法制への反対の動きには、新たな発見もあったという。
「私は古い議員ですから、かつての安保闘争で、国会の周りを多くのデモ隊が通過した時のことを覚えていますが、今回は労働組合や政党の支部などが組織した安保闘争とは違い、買い物帰りにきた人、子どもを連れてきた人、初めてこういう場に参加した人など、一人ひとりが自発的に集まって、あの人数になったんです。これはもう、たいへん大きな驚きでした」
ピーク時には10万人を大幅に超える市民が国会周辺に集まったと言われている。また、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」の高田健氏によると、8月末の連休には、全国の1000ヶ所以上の地域でデモや抗議行動が行われたという。
河野氏は「古い話をして恐縮ですが」とことわり、かつての国会の姿を振り返る。
「昔は予算委員会などに内閣法制局長官が呼ばれ、『これは違憲』『これは合憲』と言えば、みんなが納得したものでした。しかし、今は内閣が人事に介入し、恣意的に法制局長官を選んだものですから、長官の発言がほとんど説得力を持たない状況になってしまった。結果、違憲か合憲かもわからないまま、法律が成立してしまったんです」
そのうえで河野氏は、「私は心配しているのです」と胸の内を語る。
「もしかすると、日本の国会、政治家は、民意からかけ離れていってしまっているのではないか。もし、そうであるとすれば、これはとんでもないことだと思います」
政治が劣化した背景に「小選挙区制度」と経団連の「政治献金」
さらに河野氏は、戦後の日本が一貫して守ってきた「平和主義」の方向性について、「特定秘密保護法や、武器輸出3原則の緩和、ODA大綱の改正、集団的自衛権行使の閣議決定、安保法制などで、ずいぶんとベクトルが変わってきてしまっているのではないか」と指摘した。
背景には、「日本の政治の劣化」があり、劣化の原因には、「小選挙区制の導入もその原因の一つかもしれません。あるいは、政治資金規正法が緩んできたことがあるかと思います」と分析する。
「これも古い話ですが、かつて経団連の平岩外四(がいし)会長は、自民党との長い付き合いの中で、苦心しながらも、『企業の政治献金はできるだけ抑制しよう』と説かれました。ですが、今の経団連は、積極的に自民党への資金協力を呼びかけています。これらが武器輸出三原則の緩和などに影響があってはなりません」
「あってはならないこと」と言っても、河野氏の懸念は実際問題として存在する。経団連の政治献金は民主党への政権交代を契機に廃止されていたが、昨年、5年ぶりに安倍政権下で復活した。
10月13日、経団連は企業の政治献金の判断基準となる「政策評価2015」を公表。今年も昨年に続き、TPPの大筋合意や外交、安全保障政策、原発再稼働を理由に「(自・公両与党は)高く評価できる」と明記した。同日、記者会見した榊原定征経団連会長は、加盟企業に対し、政治献金を2年連続で呼びかけることを正式に表明し、「安倍政権を経済界が支える」という方針を傘下の1300社に改めて伝えると明かした。
続いて、メガバンク3行をふくむ大手銀行も、政党への政治献金の再開の検討に入ることが明らかになった。全国銀行協会の佐藤康博会長が15日の記者会見で発表した。大手行の政治献金が再開すれば、1997年以来、18年ぶりのことになる。
榊原会長は「何か見返りを求めて献金を呼びかけるわけではない」というが、数十億円にものぼるとみられる(2014年分は未公表)政治献金が政策に強い影響を与えることは明白で、「政治を金で買う」行為に他ならないとの批判が上がるのは当然のことである。
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「もう一つの心配事は近隣国との関係です」と、河野氏は語った。
小選挙区制は安倍晋三の父親の名前も出てくるリクルート事件を始めとした、自民党の金権腐敗体質への反省から出てきたものでだ。リクルート事件を始めとした国会議員の特権的な金儲けの話が立て続けに起きて、国民の多くが嫌気がさしていた。中には時効を理由に小額の罰金で済まされた金丸巨額脱税事件と云うものもあった。
それまでの選挙制度だと政権交代が事実上無いので、腐敗体質の原因の一つである長期一党独裁をしにくくする為に政権交代をしやすくしたのが小選挙区制で、これは同時に選挙の為に選挙区でばら撒かれるおカネを減らすという目的も有った。当時は有権者が国会議員にたかるのは当たり前で、盆踊り、祭り、色々な集会などに国会議員が訪問したときには必ず現金やモノを差し入れするのが常識だった。その為現在でも町内会の掲示板には議員に金品を求めてはいけないと云うポスターが時々貼られている。当時は一部野党の議員でさえ、祭りを訪問したらカネやビールの差し入れをするのは常識で、しない議員は非常識とされた。しかし、当時から共産党はそういうことは絶対にしない党だった。これは常に当局から狙われていたからでもあるが。
ここで、絶対に間違ってはいけないのはごく一部の議員が小選挙区制を決めたワケではないと云うことだ。共産党や民社党などの弱小政党は反対し自民党と社会党は賛成したのだが、当時のマスコミ報道を見る限りほとんど全ての国民が賛成していたような印象を受けた。そういう状況でスタートしたのが小選挙区制で、企業や団体の献金を禁止すると云う目的で始まった政党助成金も金権腐敗体質への反省から出てきており、自民党に対する企業献金の禁止と社会党に対する団体献金の禁止がセットになっている。当時の二大政党に力が集中するのを防ぐと云う目的は有ったと思う。
どうしてアベの低知能がわからないのでしょうか
【自民党への企業献金13%増の22億円/共産党のみが”資本主義”という歪んだ「政党助成金制度」が民主主義を破壊している】
http://www.myvi.ru/watch/aM96_bfFtkCufNhhySLm5g2
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