過去の歴史の清算をしないまま、次の戦争の準備に向かうのか~安倍首相訪米前緊急シンポジウム「慰安婦」問題、解決は可能だ!! 2015.4.23

記事公開日:2015.4.26取材地: テキスト動画
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(IWJ・青木浩文)

特集 戦争の代償と歴史認識

※4月26日テキストを追加しました!

 「安倍首相訪米前 緊急シンポジウム「慰安婦」問題、解決は可能だ!!」が2015年4月23日、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動と日本の戦争責任資料センターの共催により参議院議員会館1階講堂で行われた。

 登壇者は、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表の梁澄子(ヤン・チンジャ)氏、日本軍「慰安婦」サバイバーの金福童(キム・ボクトン)氏、韓国挺身隊問題対策協議会代表の尹美香(ユン・ミヒャン)氏、東京大学名誉教授で「女性のためのアジア平和国民基金」元専務理事の和田春樹氏の4名。

 司会は、関東学院大学教授で日本の戦争責任資料センター研究事務局長の林博史氏と、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表の渡辺美奈氏が務めた。

■ハイライト

「『慰安婦』問題の解決は無理だ」という雰囲気を憂慮

 冒頭、林博史氏が、シンポジウムの目的を説明した。

 「現在、日本は安倍政権の下で慰安婦問題という重大な人権侵害の歴史的事実を否定するような動きが強まっています。他方、韓国では、憲法裁判所の判決以降、韓国政府が動き始めています」と、両国の異なる動向を説明した。

 2011年8月30日、韓国の憲法裁判所は「第2次世界大戦の時に日本軍に連行されて行った韓国人慰安婦が日本政府に対して正当な賠償請求権を有しているにもかかわらず、韓国政府が日本政府とこれに関する交渉を進めないのは違憲だ」、という判決を下している。

 林氏は、「しかし、韓国政府が具体的解決策を出しているかというと、そうでもない。一方、日本の状況を見ると、『この問題は日韓の対立が激しくて、解決は無理だと』という雰囲気も感じます」と、難しい現状を語りつつ、こう続けた。

 「しかしながら、昨年(2014年)6月に開催された第12回日本軍『慰安婦』問題アジア連帯会議において、 『日本政府への提言』というものを議決しました。これは、現時点において、おそらく日本政府、韓国政府、そして被害者の方々、多くの支援団体、全体が受け入れ可能な解決案だと考えています。この提言を実現していこうというのが今回のシンポジウム開催の主旨です」

「河野談話」を継承・発展させる「日本政府への提言」とは

 「日本政府への提言」は、旧日本軍の慰安婦への関与と強制性を認めて謝罪した1993年の「河野洋平官房長官談話」を継承・発展させる形で、まず次のような事実と責任を認めることを求めている。

  1. 日本政府および軍が軍の施設として「慰安所」を立案・設置し管理・統制したこと
  2. 女性たちが本人たちの意に反して、「慰安婦・性奴隷」にされ、「慰安所」等において強制的な状況の下におかれたこと
  3. 日本軍の性暴力に遭った植民地、占領地、日本の女性たちの被害にはそれぞれに異なる態様があり、かつ被害が甚大であったこと、そして現在もその被害が続いているということ
  4. 当時の様々な国内法・国際法に違反する重大な人権侵害であったこと

 その上で、次のような被害回復措置をとることを求めている。

  1. 翻すことのできない明確で公式な方法で謝罪すること
  2. 謝罪の証として被害者に賠償すること
  3. 真相究明:
    • 日本政府保有資料の全面公開
    • 国内外でのさらなる資料調査
    • 国内外の被害者および関係者へのヒアリング
  4. 再発防止措置:
    • 義務教育課程の教科書への記述を含む学校教育・社会教育の実施
    • 追悼事業の実施
    • 誤った歴史認識に基づく公人の発言の禁止、
    • および同様の発言への明確で公式な反駁等

 この提言は、河野談話後に発見された公文書など資料529点とともに、2014年6月に内閣府へ提出されている。

アメリカが安倍首相と親しいのであれば、その友人を正して欲しい

(…会員ページにつづく)

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