「産経新聞の誤報により、私たちの運動がいかに傷ついているか」~「従軍慰安婦」問題をめぐりシンポジウム、歴史修正主義の動きに警鐘 2014.11.13

記事公開日:2014.11.18取材地: テキスト動画
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(IWJ・薊一郎)

 「従軍慰安婦」問題を考える「週刊金曜日」シンポジウムが11月13日、文京区民センターで開催された。

 「週刊金曜日」の平井康嗣編集長は、最近の右派による攻勢が止んでいるとしながらも、「決して安心できない。右派は舞台を米国に移し、『誤解』を正そうとしている。今、従軍慰安婦問題が消されようとしている」と懸念の意を表明した。

記事目次

■ハイライト

  • 講演 金富子氏(大学教員)、西野瑠美子氏(「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター共同代表)、能川元一氏(非常勤講師)、梁澄子氏(韓国語通訳・翻訳)

「慰安婦問題は、草の根右派やネット右翼にとっての登竜門」

 大学非常勤講師の能川元一氏は、「草の根右翼・ネット右翼による日本軍『慰安婦』問題へのバックラッシュ:『慰安婦』問題パネル展を中心に」と題する講演を行い、日本各地の「右派」団体による従軍慰安婦問題否認を目的とするパネル展について報告した。

 現在慰安婦問題は、草の根右派やネット右翼にとっての「メインストリーム」となっていると指摘する能川氏は、例として兵庫県西宮市で11月23日と24日に開かれる凛風やまと・獅子の会主催のパネル展「~検証~いわゆる従軍慰安婦展」を挙げる。

 この展示会には、自民党の山田賢司衆議院議員が来演する予定だ。

 この展示会のチラシには、「『従軍慰安婦』の”嘘”にメスを入れる!」「慰安婦は居たが、性奴隷はいなかった」などと書かれ、これまでの慰安婦問題をめぐる歴史認識を覆す内容となっている。

 能川氏は、こうした展示会が右派団体にとって、右派国会議員とつながる「登竜門となっている」と指摘する。

 また、いわゆる右派団体の従軍慰安婦問題についてのパネル展では、展示内容が「朝鮮半島全般を攻撃するものであったり、反中国プロパガンダ、原発推進、さらには憲法改正がセットになっている」と能川氏は語る。

 「(地方各地の草の根従軍慰安婦問題パネル展は)右派勢力が価値観全体を取り戻そうとする動きの一環と見る必要がある」

 能川氏は、右派勢力の動きを警戒すべきと強く訴えた。

「産経新聞の誤報により、私たちの運動がいかに傷ついているか」

 韓国語通訳・翻訳の梁澄子氏は、「産経新聞の『誤報』と『慰安婦』問題解決運動の実態」と題して講演を行い、「産経新聞の誤報により、私たちの運動がいかに傷ついているか」と訴えた。

 講演で梁氏が問題としたのは、1992年にソウルで開かれた「アジア連帯会議」に参加した舘雅子氏を取材した、今年2014年5月25日付の産経新聞の記事だ。

 この記事の中で、舘氏は、「活動家とみられる日本人女性や韓国人女性が、(チマチョゴリを着た)元慰安婦女性たちの振り付けをし、シナリオ通りに言わせようとしていた」現場を見た、「日本だけが悪いというストーリーを作り上げていた」などと語り、この時のアジア連帯会議が「慰安婦問題で事実にもとる日本の悪評を広める出発点になった」と主張していた。

 その上で、この記事によれば、会議の翌年に出された河野洋平官房長官談話が、この会議の「反日決議とそっくり」であるとしている。

 この記事に対して、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動と第12回アジア連帯会議実行委員会は2014年8月6日、産経新聞に対して記事訂正要求書を提出した。

  • 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動・第12回アジア連帯会議実行委員会(2014年8月6日) 産経新聞に訂正要求書

 訂正要求書では、記事に掲載されている写真が、実際の会議の模様を写したものではないことや、日本人参加者らが「元慰安婦女性たちの振り付け」をしていたなどということは、事実に反すると主張し、訂正または取消しを要求している。

 産経新聞は、舘氏の「元慰安婦女性たちの振り付け」の話と整合性をとるために、「意図的に異なる、(元慰安婦女性たちがチマチョゴリを着た)集会の写真を使った」と梁氏は憤る。

 また、この訂正要求書は、この記事が舘氏ひとりの証言に基づくものであることも批判している。

 2014年9月18日に産経新聞は回答書を提示し、写真の間違いを認め、翌9月19日付の訂正記事で写真を取消した。しかしながら、同回答書で産経新聞は、「元慰安婦女性たちの振り付け」の話は、「改めて取材先である舘雅子氏に確認」し、「舘氏自身が経験として述べておられる内容であって、事実であると認識」していると主張したという。

 さらに、10月14日の2回目の回答書でも、産経新聞は舘氏の証言以外の根拠を示すことを拒否したと梁氏は報告した。

「私たちは20年間被害者とともに意識を深めていった」

(…会員ページにつづく)

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