【IWJブログ】慰安婦問題・朝日の吉田証言訂正への反応を概観する 〜女性の意思に反して、性行為を強要した「広義の強制性」は消えない 2014.8.15

記事公開日:2014.8.15 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・調査:藤澤要・平山茂樹、文責:岩上安身)

 歴史修正主義がはびこっている。この傾向は1990年代から目立ち始め、今日、公人の口からも堂々と語られるようになった。

 NHK会長の籾井勝人氏が、2014年1月25日のNHK会長就任記者会見において、従軍慰安婦は「どこの国にもあった」と発言した。それに続くかのように、NHK経営委員の百田尚樹氏が2014年2月の東京都知事選の応援演説で「南京大虐殺はなかった」などと公然と断言した。

 日本維新の会の中山成彬議員は、慰安婦問題に関する河野談話の見直しを政府に求める署名運動を行っている。2月20日には日本維新の会の山田宏議員が、衆院予算委員会で元従軍慰安婦への聞き取り調査について政府がチームを作って検証してほしいと述べ、2月28日に菅義偉内閣官房長官が河野談話の検証を行うチームを作ると発言した。

 河野談話とは、第二次世界大戦中の慰安所が、「当時の軍当局の要請により設営された」ものであること、慰安婦の移送について「旧日本軍が直接あるいは間接に関与した」のものであることを認めた談話である。

 それを見直せと、かくも執拗に迫るのは、どういうことなのか。侵略戦争や植民地支配の「罪」の軽減をはかり、戦前の国家体制への復帰を部分的にでも願ってのことなのか。日本軍の軍靴に蹂躙された韓国・中国の警戒心を招くのは当然のことだ。中韓だけではない。米国も歴史の修正は受け入れられない

 このよう安倍政権内やその周辺で沸き上がる歴史の修正や否定の野心の表明に対して、ニューヨーク・タイムズは3月2日に「安倍氏の危険な修正主義」と題する社説を掲載し、批判を展開した。

 南京大虐殺や従軍慰安婦を「なかった」ことにする歴史修正主義の考えは、どこから生まれ、どのような論法をもちいているのか。証拠となる史料を積み重ねて、南京大虐殺や従軍慰安婦の否定論の論破をこころみる哲学者・能川元一氏に話をうかがった。

 能川氏は、歴史修正主義者がもちいる論法を、「球がゴールに入ったはずなのに、ゴールポストを下げて入っていないことにする」、証拠資料を捏造と主張する、抵抗できなかった被害者が悪いとする、「何々できるはずがない」と語る等々と、痛烈に批判しながら、その思想の根本に侵略戦争の肯定思想のみならず、レイシズムやセクシズムも根を張っていることを指摘した。

■以下、岩上安身によるインタビューの実況ツイートのまとめに加筆・訂正をしたものを掲載します。

【IWJブログ】南京大虐殺・従軍慰安婦を「なかった」ことにする歴史修正主義者の「嘘」を一次史料にもとづき徹底論破する~岩上安身による能川元一氏インタビュー第2部

【IWJブログ】南京大虐殺・従軍慰安婦を「なかった」ことにする歴史修正主義者の「嘘」を一次史料にもとづき徹底論破する~岩上安身による能川元一氏インタビュー第3部

■インタビュー本編はこちら

「歴史修正主義者達は、自分自身の民族観に怯えて虐殺を必死に否定している」~岩上安身による能川元一氏インタビュー 第一部~南京大虐殺

「慰安婦問題はレイシズムとセクシズムと歴史修正主義の三位一体」 ~岩上安身による能川元一氏インタビュー 第二部

「極右」的な人物が少なくない権力階層

岩上安身(以下、岩上)「能川さんは『週刊金曜日』に、『NHK経営委員のベストセラー作家の素顔 百田尚樹のドンビキなウヨク度』という記事を書いています。百田さんの発言は勢いがあるので、そうなのか、と思ってしまう人も多い。ところが、この記事は、百田さんの話にずいぶん事実と違うことが入っているとして、ひとつひとつ論破していく内容だった」

能川元一氏(以下、能川・敬称略)「百田さんのツイートを、1年分、読み直しました」

岩上「百田さんは、NHKの経営委員であり、まぎれもない公人。かつ、ベストセラー作家で、多くの人に影響を与えています。にもかかわらず、先日の都知事選では、自分が応援する田母神候補以外の候補者を『人間のクズ』と罵倒。国内はもちろん、アメリカ政府からも厳しい批判が寄せられました。

 百田さんの発言で、NHKはケネディ駐日大使のインタビューを拒否されるなど、外交に支障をきたすような事態にまでなっている。さらには、『南京大虐殺は幻だ』などとも発言している。安倍総理や百田氏をはじめ、閣僚では稲田朋美氏や下村博文氏、民主党では松原仁衆議院議員など、権力を担う層に『極右』的な人物が少なくない現状です」

能川「特に下村氏は、文科省という、歴史教科書にタッチできる立場にいるので、非常に深刻だと思います。稲田氏は、2007年、映画『南京の真実』製作記者会見に出席し、南京で2人の日本軍少尉が、どれだけ人を殺せるかを競ったという『百人斬り競争』は虚構だ、と主張しました。

 この『百人斬り』事件は、南京大虐殺における、ある種のシンボルです。当時の日本では、『百人斬り』は武勇伝として報道された。戦後、2人の少尉は戦犯裁判で有罪となり、処刑されました」

岩上「この事件を『なかった』とすることで、あたかも南京大虐殺そのものが、『まるごとなかった』と歴史を修正しようとする人たちがいる。下村氏は、歴史教科書、慰安婦、南京大虐殺の問題に関し、否定的な立場をとる『日本の前途と歴史教育を考える議員の会』に参加している、筋金入りの歴史修正主義者です。民主党の松原仁議員は、2007年5月25日、衆院外務委員会で『30万というロットでなくて、大虐殺そのものがなかったと、きわめて客観的に考えている』と発言した」

能川「せめて、野党が批判的な立場であれば安心できるのですが、野党にも、松原議員のような考えの人がいる。河村たかし名古屋市長も、南京大虐殺に否定的な立場をとっています。河村氏は『自分の父親が戦後、南京を訪れた際、とても親切にされた。もし、南京大虐殺があったのなら、日本人に対してそんな態度をとるわけがない』と主張する」

岩上「恩を仇で返すような話です。『とんでもない虐殺があったにもかかわらず、親切にされた。このようなことが、二度とないようにしよう』というのが通常の思考だと思います」

能川「戦後、広島に来た米兵が日本人に殺されないからといって、原爆がなかったことにはなりません」

論理破綻している百田尚樹NHK経営委員

能川「百田さんが、このようなツイートをしています。『意外に知られていないことだが、南京陥落当時の日本と中国は国際的に戦争状態ではなかった。だから当時の南京には欧米のジャーナリストやカメラマンが多数いた。もし何千人という虐殺が起こっていたら、その虐殺行為は世界に配信されていたはずだ。しかし実際にはそんな記事はどこにもない』。

 ……ひとつのツイートの中に、よくこれだけの間違いを詰め込めたな、と思います。これは、日中双方とも、米国の中立法を気にして宣戦布告はしていない、ということを言っている。つまり、国際法的には戦争状態ではなかった。日本側も当時は『支那事変』と呼んで、戦争とは呼ばなかった」

岩上「事変とは、宣戦布告なき戦争状態ですね」

能川「さらにおかしいのが、宣戦布告をしていなかったことが、ジャーナリストがたくさんいた、という根拠になっている点です。ジャーナリストにとっては、宣戦布告があろうとなかろうと、銃弾が飛んでくるような状況は危険に変わりありません。論理的に破綻している。日本軍が南京を占領するのは、1937年12月13日なのですが、それまでに、多くの外交官やジャーナリストが南京を退去しています。わずかに残ったジャーナリストたちも、そのあと、すぐに南京を離れているので、百田氏の発言は嘘になる。

 また、百田氏は『南京大虐殺に関する記事はない』と言いますが、実際には存在します。『南京事件資料集1・2』には、目次で3ページ分、記事そのものは380ページから554ページにわたって、当時、報道された記事が収録されている」

岩上「ニューヨーク・タイムズや、シカゴ・デイリー・ニューズなども報じているわけですね」

文藝春秋と歴史修正主義

能川「このツイートに対し、『事件直後、アメリカの新聞に大きく報道されたのを知らないようですね。秦郁彦の「南京事件」くらい読みましょう』というどなたかからの返信があり、百田氏は『根拠も証拠もない伝聞記事が載ったのは知っていますが』などと応じている。

 最初に『記事がない』と言いながら、指摘されると『伝聞だけはある』とするのは、論理的に成立しない。球がゴールに入ったはずなのに、ゴールポストを下げて、入っていないことにする論法で、歴史修正主義者によく見られる手法です。しかし、このあとに『多くの資料を調べ、「南京大虐殺」は、ほぼ捏造の産物であると確信した』などというツイートもしています」

岩上「『『南京大虐殺」のまぼろし』は鈴木明氏の論文で、文藝春秋の『諸君!』に連載されていた論考ですね。その後、文藝春秋から単行本として発刊され、大宅壮一ノンフィクション賞も受賞しています。文藝春秋は、歴史修正主義を語る際にキーになります。過去には、ホロコーストの内容を否定した西岡昌紀さんの記事を掲載した同社発刊の雑誌『マルコポーロ』が、ユダヤ人団体から抗議を受けて、廃刊に追い込まれる事件もありました」

能川「当時、『マルコポーロ』の編集長だった花田紀凱氏は、文藝春秋を退社し、現在『WiLL』という雑誌の編集長を務めています。その雑誌で安倍総理と百田氏が対談して、本になっている。(『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』ワック刊)

 今、『アンネの日記』が破られる事件が話題になっていますが、かつて、ホロコーストを否定する記事で雑誌を潰した編集長のところで、現役の総理とNHK経営委員が対談した、ということは、誰も話題にしていません。これは深刻な問題です」

岩上「私は、かつて、文藝春秋発行の『Emma』(エンマ)という雑誌で契約記者をしていたことがあって、当時の副編集長が花田氏だった。安倍総理の学生時代の愛読書は、文藝春秋から発刊されていた(現在は休刊)保守系論壇誌『諸君!』だったそうです。『諸君!』を読んで、自身の思想を形成したという。今の、安倍総理の靖国参拝や、戦後レジームからの脱却などの思想を形成したのは、文藝春秋の雑誌だった。雑誌の影響は凄い」

「日本人は残虐行為をしないが、中国人はする」論法

ここから会員限定

岩上「百田氏は、『通州事件(*注1)で被害にあった方々の写真が、南京大虐殺の証拠としてでっちあげられたのは有名な話です。犯人は蒋介石国民党軍。遺体を陵辱するなどの行為は支那人特有のものですね』というコメントに対し、『そうです!中国人は昔からやります。日本人にはない特性です』と答えています」

(*注1)通州事件(つうしゅうじけん)。1937年(昭和12年)7月29日、当時の中華民国の通州において、中国人部隊(冀東防共自治政府保安隊)が駐留する日本軍を攻撃した事件。駐留日本軍は壊滅し、日本人居留民および軍関係者に多数の犠牲者が出た。同年7月7日に蘆溝橋事件が勃発して以来、中国軍と日本軍との衝突は頻発していた。

能川「このように、『日本人は残虐なことをしないが、中国人はする』という論法も、否定派からはよく聞かれます。民族には固定した特質があるかのような語り方です」

岩上「人間は、民族を問わず、置かれている状況次第で、残酷にも寛容にもなりうる。そういうことをすべて切り捨て、どんな状態でも変わらない固定的な本質がある、という考え方ですね」

能川「戦国時代などの専門家が見たら、腹を抱えて笑うか、怒ってしまう考え方です。アジア資料センターには、南京攻略の際の意見案が残されています。この中には、国際法で禁止されている毒ガスの使用や、無差別大量爆撃などの計画案も記載されています」

岩上「こういう計画を立てる人たちが、残虐な行為をしないと、誰が言えるのでしょうか」

能川「そこが、歴史修正主義者が、虐殺を否定する鍵。虐殺や従軍慰安婦を認めると、『日本人は野蛮な民族、と認めることになってしまう』と考えている。今日、国際社会が慰安婦問題などで日本を非難したとしても、『日本人という民族が、本質的に性暴力主義者である』と主張しているわけではありません。しかし、歴史修正主義者たちは、自分自身の本質主義的な民族観に怯えて、虐殺を必死に否定しているのです」

岩上「これらを認めてしまえば、古今のすべての日本人の名誉にかかわる、と思っているわけですね」

能川「中国人は残虐行為をする、というレイシズムが、結局は自分たちにはね返ってくる。このような発想をするから、事実を認められないのです。本質主義的な民族観を見直す必要がある」

たくさん残っている強制連行と虐殺の証拠

能川「慰安婦問題について、慰安婦団を作った目的は(兵士による一般女性への)強姦の防止だと正当化する人がいるが、『岡村寧次大将資料(上)―戦場回想編―』(原書房)という資料には、『慰安婦団を同行しながら、強姦罪は跡を絶たない有様である』との記載があります」

岩上「よく、慰安婦問題に国家は関与していなかった、と主張する人がいますが、この資料には『長崎県知事に要請して慰安婦団を招き』という記載があります。軍が主体となって、行政に働きかけて招いた証拠ですね。軍と行政が絡んでいた証明です。

 当時、外務省で東亜局長を務めていた石射猪太郎の日記には、『上海から来信、南京に於ける我軍の暴状を詳報し来る、掠奪、強姦めもあてられぬ惨状とある』と記されています。現地が、いかに酷い状況にあったかが見てとれます」

能川「第10軍の法務官、小川関治郎の日記には、『同城付近掠奪相甚だしく又無益の殺傷その惨を極め到底此の侭にては非常の問題を起こす恐れあり』とあります。戦闘行為とは関係のない、無益な殺傷が蔓延していたということでしょう。

 さらに、不穏な動きがあるとして、中国人部落で射殺惨殺が行われたという事件について、『その間上官に十分連絡せざるのみならず一つの好奇心より支那人を殺害せんとの念に基づくとも認められる』と、好奇心による殺害があったとも記されています」

被害の矮小化は、犠牲者への冒涜だ

岩上「これだけの資料に記録が残っていると、歴史修正主義者たちはグウの音も出ないんじゃないですか?」

能川「実際には、なかなかそうはいかなくて。彼らはこういう資料を提示されると、『信用できない』と否定します。また、『結局、犠牲者は30万人ではないじゃないか!』と言い出します。これが非常に多い。どんどんゴールポストを後退させていくわけです。『最終的に、中国側が主張する30万人ではないのだから、問題だ』と。しかし、歴史上の大虐殺で、被害者数がはっきりわかっているほうが、むしろ稀です。

 ポルポトの虐殺でも、ルワンダやダルフールでも、被害者数を正確に推定するのは簡単ではない。本来、証人になりうる人が殺され、証拠が破壊されてしまうからです。平時と違い、何十万人も殺された時は丁寧に調べられず、必然的に犠牲者数がはっきりしません」

岩上「南京での虐殺を知った当時の外務省や官僚、軍のエリートには、『人道に、もとることをした』という認識がある。だからこそ、現場は証拠を隠滅する。なのに、『証拠が残ってないんだから、やっていない』『数がそろわないんだから不確かだ』と。そのうち、先ほどの松原仁議員のように『なかった』と言い出す」

能川「犠牲者数の問題で言えば、たとえば、広島原爆で即死したのは7~8万人で、1945年中に約14万人が亡くなったというのが常識です。しかし、放射線の影響は100かゼロかでは言えず、時間が経つほど曖昧になる。即死された7~8万人は確実として、それ以降に放射線の影響で亡くなった人のうち、どこからどこまでを原爆の犠牲者か。

 もし、米国が『科学的に原爆のせいで死んだと判断できる人間だけを、犠牲者にしろ』と言い出したら? 広島市の原爆死没者名簿には約28万人の名前がある。被爆して亡くなった方の遺族から申し出があれば、すべて登録されますが、米国から『数を増やしすぎだ』と言われたら、われわれは追悼のための『28万』という数字を不適切だと思えるでしょうか」

岩上「被曝して、あとで具合が悪くなった人もいる。被爆者手帳をもらえなくても、もらえた人と同様に、苦しんで亡くなった人もいる。そうした人々を含めると大きな数になり、みな同じ犠牲者です。もし、原爆を投下していながら、被害を最小に見積もろうとする人間がいれば、冒涜だと感じます。

 これと近いことが、南京虐殺にも言える。中国の人から見れば、侵略しておきながら、その過程で多くの犠牲を出したことを過少に見積もろうとする、大日本帝国の子孫がいることを、中には『親父や祖父らは、そんな酷いことはしていない』と言い出す者まで現れたことを、どう思うでしょう」

南京虐殺否定派のイデオローグ、東中野修道氏

能川「否定派が、記念館の展示写真などに『捏造だ』と文句をつけることもよくあります。東中野修道氏の『南京事件「証拠写真」を検証する』という本の中で、『私の従軍中国戦線―村瀬守保写真集 一兵士が写した戦場の記録』という本に登場する写真が検証されています。

 たとえば、揚子江の岸に多くの死体が流れ着いた写真。東中野氏は『戦死者の死体が流れてきているのではないか』というが、中には後ろ手に縛られた死体もあります。これは、日本軍が捕まえた中国人を後ろ手に縛って連行して殺した、という証言と符合する。

 後ろ手に縛られた死体が、通常の戦闘の戦死者である蓋然性はありません。武装解除した捕虜を殺し、集積したものだと考えるのが妥当。彼らがニセ写真と主張するものの中にも、実は、まぎれもなく虐殺の証拠になっているものが存在するのです」

岩上「東中野さんとは、どういう方ですか?」

能川「彼はもともと、歴史学者ではなく、思想史の専門家だったと思うんですが、1990年代後半ぐらいから、いわゆる否定派の指導的なイデオローグとなった人です。

 中国の有名な生存者に、夏淑琴(シア・シュウチン)さんという方がいます。虐殺の直後、南京に残留していた米国人神父が被害の様子を撮影しました。その写真の中に写っている女の子です。銃剣で刺されたが、生き残った。

 同時に彼女は、家族を殺され、かつ、姉や母親はレイプされた、被害者遺族でもある。彼女は日本の証言集会などでも話しているんですが、その夏淑琴さんの証言を、東中野氏が自著の中で『嘘だ』と書き、名誉毀損で訴訟に発展した。最終的に、東中野氏と出版社の敗訴が確定しています。判決では、東中野氏のその著作に対し、『学問研究の成果というに値しない』という、非常に厳しい言葉が使われました」

岩上「南京虐殺の検証については、東中野氏は学者と言えるような検証方法をとってない、と批判されたということですね。

 話を少し戻します。南京虐殺について、資料に基づいた膨大な証拠がある。となると、『資料はない、ずさんな捏造ばかり』と断言する百田尚樹さんこそ、自分の発言に責任をとらねばならない。軍人や役人が残した記録など、それらの証拠すべてが捏造であることを証明しない限り、そういう発言はできないはずです」

能川「でなければ、彼自身の発言が、捏造だということになってしまう」

岩上「そうですね。まったくのウソ。虚言を吐いていることになる」

(第一部終わり)

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

■お買い求めはこちらから

「【IWJブログ】慰安婦問題・朝日の吉田証言訂正への反応を概観する 〜女性の意思に反して、性行為を強要した「広義の強制性」は消えない」への2件のフィードバック

  1. 居残り佐平次 より:

     尖閣問題の棚上げについてもそうですが、慰安婦のことが公文書として政府や軍部が残す類いのことではないと容易に考えが至ると思うんですが、慰安婦などなかったとしたい人たちにはそんなことすら考えられないんですね。
     いろいろな格差(だけではないでしょうが)から生じる社会のいらだちを、右翼的な傾向で発散させようという安易な流れはもうこりごりです。

     今日は終戦記念日ですが、「終戦」ってあまりにも言葉として簡単すぎないか?日本の内外を問わず、すさまじい数の人たちを巻き込んで、人生を狂わせてしまったのに。敗戦記念日とまでしろとはいいませんが、あんな戦争を国家も、国民も進めてしまったことに深い反省がなかったことが残念。(終戦直後の苦しい時代を過ごした方々の苦労は想像するに余りありますが)
     太平洋戦争を経験された方が高齢化してますが、8月15日ぐらいはすべてのテレビ局が朝から晩まであの戦争を考え直すような番組をやってもいいと思います。

     つい先日、東京大空襲を扱った番組を見て、小学校4年の次男が「これ日本であったこと?」と聞いてきました。そろそろ戦争の話を聞かせたいと思います。

  2. まじめな男 より:

    この記事は、具体的な証拠を上げずに、一般的な、いわゆる評論を行っているにしかずぎず、具体性がないのもかかわらずあいまいな根拠に基づき日本を批判する結論を述べているという点で見るに値しない記事というべきであると考える。
    ”狭義の強制性”と”広義の強制性”という朝日新聞の言葉に基づき、”狭義の強制性”はなかったが”広義の強制性”はあったということを述べている。
    ポイントは2点。
    一点目は、いわゆる慰安婦問題は、”狭義の強制性”を指す言葉であり、この記事では”狭義の強制性”はなかったと語っているため、米国の”慰安婦の像”問題により、不当な差別を受けている方々および日本国民に対する配慮は必要であろう。
    2点目は、”広義の強制性”といわゆる慰安婦問題を同列に論じており、結論として従軍慰安婦問題はあったと主張をしている。いわゆる従軍慰安婦の問題が広義の強制性と大きく異なる点は、従軍慰安婦問題が、日本固有の問題であるのに対して、広義の強制性は、他の日本を批判している国々にも同様に合った問題であるという意味で一線を画すべきであろうと思う。

    最後に、広義の強制性について、秦郁彦氏の著書を例示しながら、http://www.asahi.com/articles/ASG827G22G82UTIL020.html 等における氏の見解について述べていないのは甚だ中立性に問題があるのではないだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です