「戦後70年間、海外で戦争をしなかった国を守るという責任が私たちにはある」——。
衆議院で強行採決され、参議院で審議中のいわゆる「戦争法案」。この廃案を目指し、九条の会事務局主催・民科法律部会協賛による、法学者と学生・市民のつどいが8月12日(水)、東京しごとセンター地下講堂(千代田区飯田橋)で行なわれた。
集会には約200人が参加し、参加者の質門に答える形で、憲法学、国際法学、刑事法学の専門家と、「戦争法案」の問題点について話し合った。
(取材:城石裕幸・細野香、記事:細野香)
「戦後70年間、海外で戦争をしなかった国を守るという責任が私たちにはある」——。
衆議院で強行採決され、参議院で審議中のいわゆる「戦争法案」。この廃案を目指し、九条の会事務局主催・民科法律部会協賛による、法学者と学生・市民のつどいが8月12日(水)、東京しごとセンター地下講堂(千代田区飯田橋)で行なわれた。
集会には約200人が参加し、参加者の質門に答える形で、憲法学、国際法学、刑事法学の専門家と、「戦争法案」の問題点について話し合った。
■ハイライト
参加者の学生である中央大学の高倉さんからは、「集団的自衛権は必要なのか?」という質問が出た。
これに対して、国際法学者で神田外語大学講師の城秀孝氏は、「国際法を歴史的に見ると、集団的自衛権はおまけのように国連憲章に入れられている。というのは、国連は(国際間で衝突が起こった時)基本的にはみんなで話し合いをし、平和的な解決方法として裁判を導入している。このような手段をとらずに、いきなり軍事的措置が出てくるのは国際法上無理がある。集団的自衛権は権利であって使わなくてもいい」と答えた。
城氏はそのうえで、安倍政権の権利(集団的自衛権)の行使の仕方に疑問を呈した。
「もし中国に脅威があるのなら、国連に話を持って行くべき。領土問題があるなら裁判をやるべき。トラブルが起こった時にいきなり相手を殴っていうことを聞かせるのは、国連憲章が意図しているところではない」
参加者の学生である一橋大学の原田さんからは、「今後の運動をどのように焦点化したらよいか」という質門が出た。
9条の会事務局で一橋大学名誉教授の渡辺治氏は、反対運動がかつてないほど盛り上がっている事に対し、様々な運動団体の間の「協働」が生まれたからだと指摘した。
(※)「協働」とは、複数の主体が何らかの目標を共有し、ともに力を合わせて活動すること。
「90年代以来、自衛隊の海外派兵に反対する運動は様々な形であったが、それらの間の協働はできなかった。それが今回、日本の国の岐路に関わるという意識のもと、戦争法案に反対するという1点で協働ができた。例えば集会に、民主党、共産党、社民党のそれぞれの代表が一同に介してアピールをした。このようなことはこれまでなかった」
渡辺氏は他にも、協働の成果として「総がかり行動実行委員会」が生まれ、日比谷の野音で開かれた集会に、5月12日は2800人、7月14日には2万の人が集まったことを挙げた。
「法案を廃案にするには安倍内閣を退陣に追い込むしかない。運動次第では安倍内閣の支持率を落とし、退陣に追い込むことができる。困難な闘いかもしれないが、戦後70年間、海外で戦争をしなかった国を守るという責任が私たちにはある」
渡辺氏の訴えに、会場からは拍手が起こった。
憲法学者で明治大学教授の浦田一郎氏は、「政府は憲法の解釈変更を基本的な論理と当てはめによって行なっており、その議論の理解が容易でないところに本質がある」と指摘した。
(…会員ページにつづく)