2015年6月4日に行われた衆議院の憲法審査会で、憲法学者の長谷部恭男氏、小林節氏、笹田栄司氏の3人全員が「安保法案は憲法違反」と表明。政府・与党が進める、集団的自衛権の行使を可能にするなどの安全保障関連法案の動きは、これによって「潮目が変わった」と見る向きが多い。
つまり、この「違憲表明」で、安倍晋三政権の非立憲型政治に対する憲法学者らの怒りが目立つものとなり、「憲法学者 v.s. 安倍政権」の構図が、国民から見えやすい場所に作られたと言える。6月14日のテレビ朝日「報道ステーション」で発表された、憲法学者を対象にした安保法案に関するアンケートの結果では、回答者151人のうち84.1%が「安保法制は違憲」としている。
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憲法学者だけではない。6月15日には、「(安倍政権は学者に)喧嘩を売ってきた」との山口二郎法政大学教授の発言が印象的だった、「安保法案に反対する学者の会」の記者会見が東京都内で開かれ、長谷部氏らの表明が広げた波紋を無駄にすまいと、専門分野の垣根を越えた2700人超の学者・研究者が安保法案に反対していることが発表された。
そして2015年6月24日、東京・永田町の参議院議員会館。今度は、安保法案に反対する14の研究団体が、共同アピールを行った。「国会審議の前に、米国に法案成立を約束して、国民主権や議会制民主主義を蔑ろにした」など、各団体の代表者らは代わる代わるマイクを握り、安保法案は違憲だと訴えた。