「8月6日の新聞で『核兵器を日本は運ぶことが可能だ』って書かれている日本が悔しい」――。
SEALDsの奥田愛基さんが2015年8月7日、安保関連法案に反対する国会前集会で悔し涙をにじませた。
中谷元(げん)防衛大臣は5日の安保法案の国会で、他国軍への核兵器の運搬について、「全く想定していない。あり得ない」と強調しながらも、「法文上は排除していない」とし、核兵器も運搬が可能であることを認めた。
翌6日の紙面には、「広島原爆投下から70年」の見出しの横に、「核兵器も輸送可能」の見出しが並んだ。同日、広島の平和記念式典でスピーチした安倍総理は、1994年以降、毎年言及されてきた「非核三原則」に触れず、会場からは大きな野次が飛んだ。
「なんでおれたちの国ってこうなんですかね?」
奥田さんは声を荒らげる。
「単純におれは現実を変えたい。この法案を廃案にしたい。次の世代の人たちが、こんなことに悩まなくても済むように、『核兵器は武器か、弾薬か』とか、国会で悩まなくて済むように、もっと声をあげていきたい」
以下、奥田さんのスピーチ動画と発言を掲載する。
- 日時 2015年8月7日(金)
- 場所 国会前(東京都千代田区)
奥田愛基さんスピーチ全文
「このあいだも『何が武器で弾薬か』っていう基準が実は議論されていなかったってことがよくわかりましたよね。
手榴弾は武器ですか? 弾薬ですか? 『弾薬です』
ミサイルは武器ですか? 弾薬ですか? 『弾薬です』
え、じゃあもしかしたら核兵器はどうなんですか?
核兵器は『Nuclear weapon』ですが、武器じゃなくて『弾薬です』
まともに議論してない。新3要件の歯止めがあるってずっと政府は言っていますよね。『3要件あるから大丈夫だ』って。このあいだ、法律の専門家の人とみんなで勉強会しながらこの法案どうなってるんだ、って話し合いました。
新3要件の1個目についてはみんな議論しているんですけど、2個目、3個目は法案上、明文化されていない。これ国会で今すぐ議論してください。2個目、3個目の新3要件の要件が書かれてない。
こんなめちゃくちゃな法案で、全然、自国が攻撃されていないのに戦争に行くんですか? 日本は。アメリカに『運べ』って言われたら核兵器運ぶんですか?
悔しいですよ。8月6日の新聞で、『核兵器を日本は運ぶことが可能だ』って書かれている日本が悔しい。式典で日本の首相が挨拶して、ブーイングされるような国に生きているのが悔しい。高校生とか大学生も、大人の方も戦争に反対したら『利己的だ』と言われて、しかも国会議員から言われるような国に生きているのが悔しい。
これから長崎の式典もあるし、8月15日もくるし、そして安倍さんは談話を出すって言っているし…全然期待してないんですけど。なんでおれたちこんな生き方しているんですかね? なんでおれたちの国ってこうなんですかね?
負けてられないですよ!
いいですよ、こんなの理屈は聞きたくない。ネット・ウヨクがどうだとか、そんなのおれは聞きたくない。自民党がどうだとか聞きたくない。単純におれは現実を変えたい。この法案を廃案にしたい。
次の世代の人たちが、こんなことに悩まなくても済むように、『核兵器は武器か、弾薬か』とか、国会で悩まなくて済むように、もっと声をあげていきたい。
最近、インタビューとかでも、『これ通ったあとが大事だよね』とか、そんな話ばっかりで、まぁそれも大事なんだけど、次の選挙に勝つっていうのもね。だけどさぁ、まだ通ってないんだよ。
ふざけんじゃねぇぞ。怒ってるぞ。
おれは諦めきれないし、絶対に国民主権とか基本的人権の尊重とか平和主義を守ったほうがいいと思っている。誰がどう言ったってそれはそうだとおれは信じている。
8月15日の前の日、8月14日が今度の金曜日だけど、お盆の時期で人数も減ると思うけど、ちょっと実家帰らずに、今年は国会前にこようと思います。けど、実家帰って友だちと、今、大阪とか神戸とか色んな地元でやってるんで、そっちにもぜひ行ってください。
憲法守れ!(憲法守れ!)」
→ 【スピーチ動画掲載】自民党議員の「利己的個人主義」発言で「戦争法案だとバレた」SEALDs奥田愛基さんスピーチ(前編) 〜「安保法制反対」国会前抗議で 2015.8.7
この思いに、胸を打たれた。
ネット上ではあらゆる批難が書き込みされる。
誰がなんと言おうと、彼がスピーチしていることは永遠の正解だ。
誰も殺したくない、殺されたくもない。
この世に生まれた誰もが、その人の生を全うする権利を持っている。
その権利を阻害するのを許さないということ。
とてもシンプルなことだ。
自国を守るために他国と争うことが、愛国主義みたいなことを言う人がいる。
自分を大切にしない人が他者を大切にすることはできない。
この世に不満を持ち、自分の人生を生きることができない人が戦争をしたがる。
そういう人がいることは否めないし、ある意味仕方がない。
だが、他者をまきこむべきではない。
どうしても自殺したい人は、止められないかもしれないが、他者を、他国をまきこむべきではない。
個人の嗜好として好戦的なひとは存在するが、国同士での戦いに発展させるべきではない。
自殺したいひとは、単に治療が必要。
他者巻き込むべきではない。