大量の死票を生み出し、有権者の声が反映されない小選挙区制に疑義~宇都宮健児氏らが「国民が主権者であることを実感できる」公正な選挙制度の構築を呼びかけ 2015.2.2

記事公開日:2015.2.6取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

※2月6日テキストを追加しました!

 公職選挙法の抜本的改正と公正な選挙制度の確立を10年越しでめざす「市民に選挙をとりもどすプロジェクト実行委員会」が2月2日(月)、参議院議員会館でシンポジウムを開催した。

 講演したのは、自由法曹団・選挙制度改革対策本部事務局長の山口真美氏と、日本弁護士連合会・2010-2011年度会長を務めた宇都宮健児氏。講演後にはワークショップが開かれ、公職選挙法と選挙制度について、参加者がグループに分かれて活発な議論を展開し、発表した。まとめられた内容は後日、このプロジェクトを運営する「市民参加への模索連絡会」のホームページで掲載される予定だという。

■ハイライト

  • 講師 山口真美氏(弁護士、自由法曹団・選挙制度改革対策本部事務局長)、宇都宮健児氏(弁護士、日本弁護士連合会2010-2011年度会長)

小選挙区の是非を検証する時期

 戦前からある弁護士集団の自由法曹団は、1994年の小選挙区導入時から、これに反対している。小選挙区が20年を経て導入の是非が検証できる時期がきたと山口氏は言う。

 昨年2014年の衆議院選挙は、政権与党による延命の為の党利党略の都合に合わせた選挙だったことから、選挙を道具にしてしまう最大の原因は小選挙区制度だと山口氏は指摘した。

民意が反映され国民主権が実感できる選挙制度の必要性

 山口氏は、国民主権や参政権の実質化の観点から、制度設計する必要があると述べる。主権者である国民の選挙活動の自由を保障することや、政治への積極的な関与、民意の反映を保障する必要性をあげている。

 そのためには、憲法を基盤に国民意思と国民に選ばれた代表意思の事実上の類似が求められると主張。政権の選択や政治の安定は政治の技術的問題であり、選挙制度とは質が違うと指摘し、国民主権というスタートラインから考えて、民意の反映が犠牲になってはいけないと山口氏は言う。憲法が示している「選挙制度は、国民が主権者であることを実感できる制度」だと語った。

前回の総選挙における死票は2540万票

 衆議院における選挙は、議席全体の61.5%を占める小選挙区中心の制度である。参議院は、選挙区中心の制度で、選挙区の約半分が実質的に小選挙区だ。山口氏は、小選挙区制の危険な本質として、得票率と獲得議席との差が虚構の多数を作り、大量の死票を生み出すと言う。

 前回の総選挙における死票は、実に2540万票にのぼる。また、供託金の問題から個人では立候補が難しいため、小選挙区で立候補できるのは政党だけという問題も生じ、有権者は選択の自由が奪われることになる。加えて、1票の価値の平等も実現できていない。1996年、初めて小選挙区制が導入から、すでに2.32倍の格差が生じているという。

自民党に有利な小選挙区制の実態が明らかに

 2014年12月に行なわれた総選挙が小選挙区ではなく、比例配分で行なった場合の比例代表の得票率を使ったシミュレーションでは、自民党以外の政党は皆、議席を増やすことになる。そして、与党である自民党の議席数は実際の獲得議席と比例配分の差では133議席も水増しされていると山口氏は説明。

 これは、自民党に有利な小選挙区制度であることを象徴している。さらに、このシミュレーションでは、自民党、民主党と第三極、非保守諸党とを三分割に分けて見ると、議席数は均衡しているという。

 山口氏は、このような議席配分だった場合、今の一強多弱な国会とはかなり違った政策に対する論戦の様相がみえてくるのではないかと推察する。

 2013年7月の参院選も衆院選と同様、1人区の選挙区では無所属2名を除いて全て自民党が勝っており、。2~3人区では自・民で票を分け合い、4~5人区では多党化が顕著になる特徴だったという。

能力・経験の低さだけでなく、話題性や知名度、キャラクター重視になる政治家

 小選挙区制が生み出す議員は、当選倍率の低下により選挙の風に左右されやすく、能力・経験の低下が指摘されている。選挙に受かるために話題性や知名度、キャラクター重視になり、選挙資金・政党助成金を割り振ってくれる政党執行部に顔を向けてしまう傾向がある。国民の声を汲み取る努力をして、経験を積み重ねる候補者がいなくなり、政治・政治家の劣化を生むと山口氏は言う。

衆議院は比例代表制、参議院は大選挙区制

 求められる選挙制度の要件として、山口氏は、適切な規模の選挙単位、適切な議員の定数、政党政治の発展と個人の立候補の自由の保障、二院制の有効性の発揮をあげた。具体的には、衆議院はブロック単位の比例代表制により1票の格差も是正される17ブロック定数20~30人、参議院は定数の大きい大選挙区制で7ブロック定数20~45人を提案した。

チラシの印刷・配布の制限の問題

 続いて、2度の都知事選を経験した宇都宮氏が、選挙の経験から見えた公職選挙法の問題点を語った。

(…会員ページにつづく)

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「大量の死票を生み出し、有権者の声が反映されない小選挙区制に疑義~宇都宮健児氏らが「国民が主権者であることを実感できる」公正な選挙制度の構築を呼びかけ」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    大量の死票を生み出し、有権者の声が反映されない小選挙区制に疑義~宇都宮健児氏らが「国民が主権者であることを実感できる」公正な選挙制度の構築を呼びかけ http://iwj.co.jp/wj/open/archives/229811 … @iwakamiyasumi
    どうすればいいのだろう?今こそ、一人一人が考えるとき。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/564042503586734080

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