東京都の舛添要一知事は12月5日、都庁で定例の記者会見を行ない、都の人権週間キャンペーンについて説明した。質疑応答では、同月14日投開票の衆院選で、各紙が自民300議席獲得の見出しを掲載したことについて論評した。
(IWJ・石川優)
東京都の舛添要一知事は12月5日、都庁で定例の記者会見を行ない、都の人権週間キャンペーンについて説明した。質疑応答では、同月14日投開票の衆院選で、各紙が自民300議席獲得の見出しを掲載したことについて論評した。
■ハイライト
今月12月4日から10日まで、東京都の人権週間でテレビやラジオによる啓発活動のCMが放送される。12月の東京都広報では、この人権週間についての取り組みの紹介などを掲載しており、舛添知事のメッセージ欄では、知事が何度も言及してきたヘイトスピーチの問題に触れた。
オリンピック憲章では、人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別を禁じている。2020年の東京五輪を控える都のトップとして、舛添知事は、このオリンピック憲章に反するヘイトスピーチは「あってはならないこと」と言及。この日の会見で舛添知事は、「機会あるたびに、この問題については言及していきたい」とヘイトスピーチの問題を改めて強調した。
新聞各紙は、今月12月14日投開票の衆院選で、自民党が300議席を獲得すると、世論調査などの結果を踏まえた情勢分析を掲載している(自公で300議席の社も)。
こうした報道に舛添知事は、安倍自民党政権が圧倒的に有利な情勢であると強調。次のようにコメントした。
「政権についている側が、よほどの失政がない限りは、有利であることは当たり前。 失政続きで内閣支持率が2割3割と落ちているというのは別。これだと政権交代みたいなことが起こる。支持率が高めを維持していて、皆が許しがたいという失政がないということはある意味、支持率が高くなっている。メディアへの露出というのは、圧倒的に内閣総理大臣が一番多い。露出は政権を担っている方が多い。それだけでも有利です」
しかし、安倍総理自ら「アベノミクス解散」と命名したという話もあるなか、アベノミクスで円安となり、食料品とりわけ輸入ものの値上げが続き、今月12月2日に厚生労働省が発表した10月の毎月勤労統計調査では、実質賃金は16ヶ月連続減という結果が出るなど、必ずしもアベノミクスで国民の生活が潤ったとはいえないのも現状だ。
こうした現状は、「アベノミクスは失政」だという評価の表れであり、舛添知事の「よほどの失政がない限り」という安倍政権を評価する発言は、アベノミクスの負のデータを無視した発言だと言わざるを得ない。