2014年11月26日17時30分から、第42回原子力規制委員会臨時会合として、四国電力の千葉昭社長との安全文化向上に向けた取組みについて、意見交換会が行われた。千葉社長は規制行政について効率性に注目し、優先審査の先例を挙げ、今後の審査は効率性が発揮できるだろうと期待感を述べた。
2014年11月26日17時30分から、第42回原子力規制委員会臨時会合として、四国電力の千葉昭社長との安全文化向上に向けた取組みについて、意見交換会が行われた。千葉社長は規制行政について効率性に注目し、優先審査の先例を挙げ、今後の審査は効率性が発揮できるだろうと期待感を述べた。
記事目次
■意見交換会
■ぶら下がり
安全文化醸成に向けた取組みの一環として、千葉昭・四国電力代表取締役社長と、原子力規制委員会との意見交換会が開催された。10月29日に開催された瓜生道明・九州電力代表取締役社長との意見交換会に続くもの。
千葉社長は、伊方原子力発電所のハード面ソフト面について、中央操作室を総合デジタル化したことや、原子炉容器の一体取換補修などを行い安全性向上に努めてきたこと、グループ会社とともに業務管理システムを運用、保修管理業務を一元管理できることを挙げた。経営面では、企業規模の小ささを逆手にとって「スモールメリット」と言い、現場と経営層との顔が見えること、きめ細かい執行管理、スピード感のある意思決定ができることを挙げた。また、伊方方式と呼んでいる情報公開方法論を継続、地元との信頼構築に努めていることを挙げた。 これらの安全性向上の取組みの結果、78~88%という、全国平均より高い発電所稼働率を達成したことを成果として挙げた。
田中俊一委員長は千葉社長の説明を受け、「事故が起きた時は社長が自らやるんだという覚悟を出していただいたのは、大変喜ばしいことだと思っています」とコメント。 安全確保に取り組んだ結果、世界でもトップクラスの稼働率を確保していることで、「結局安全の確保っていうのは、お金がかかるということよりも、最終的には利益も事業者に戻ってくるし、住民の方にもとっても非常に大事なことだということを実証されてきたんではないかと、認識しています」と称賛した。
中村佳代子委員は、原子力事業者はさまざまな分野の人を育てていかなければならないとしながらも、人口も減り、人が育ちにくい分野だとコメント。人材育成、リクルートに何か工夫はあれば教えてほしいと質問した。千葉社長は、非常に悩ましい話だと答え、今後の新入社員採用についての考えを答えた。 石渡明委員は、伊方原発の立地は、南海トラフ地震のリスクや中央構造線に近いことから、自然、科学をもっと一人一人が勉強し、自然のリスクを理解して、何か起こった時の状況をよく把握した上で対応できるようにしてほしいと、教育・啓発面に対してコメント。千葉昭社長は、組織の風土として対策を取っていきたいと返答した。 田中委員長は、福島の事故の教訓は、サイエンスをもっと勉強し、状況を把握した上で原子力のテクノロジーを使うこと、そういう取組みを行ってほしいとコメントした。
千葉社長は、原子力規制委員会の規制行政のあり方の中に、効率性もあると自らの考えを表明。規制委員会が九州電力・川内原発を優先審査対象として集中して審査したことを称賛した。また、今後の審査で効率性が発揮できるのではないかと、審査途中の伊方原発を含め、審査が早く進むことへの期待感を示した。
田中委員長は、JANSI(一般社団法人 原子力安全推進協会)とNRA(規制委員会)の関係が、米国のINPOとNRCみたいな関係になるようにJANSIをいい意味で育ててほしいと注文。 千葉社長は、「委員長からこうしてほしいという話があれば、むしろ自分の立場上、JANSIをそういう組織に育てる責任がある」と返答した。