2014年11月19日(水)14時30分から、原子力規制庁庁舎にて田中俊一規制委員会委員長定例記者会見が行われた。今後、原子力発電所の審査書案に対するパブコメは「コミュニケーションを常に考えながら改善していく」との考えを示した。
2014年11月19日(水)14時30分から、原子力規制庁庁舎にて田中俊一規制委員会委員長定例記者会見が行われた。今後、原子力発電所の審査書案に対するパブコメは「コミュニケーションを常に考えながら改善していく」との考えを示した。
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「火山活動のモニタリングに関する検討チーム」は8月25日に第一回、9月2日に第二回が開催され、その後は音沙汰がない。その間の9月10日に川内原子力発電所1、2号機の新規制基準への適合性に係る原子炉設置変更が許可され、火山の監視、モニタリング体制についての議論が求められているところだ。
第三回目はいつ開催するのか、論点は何かと、記者が質問した。田中俊一委員長は、「中身はよく承知していないが、九州電力から出された(火山の)監視の方法を議論、評価するだろう」と述べ、いつまでに結論を出すというチームではなく、測定データの評価などを継続的に行っていくことになるだろうとの考えを示した。
さらに、記者からは、カルデラ噴火の影響を考えると、議論の場を内閣府や気象庁に移すことや、内閣や気象庁を巻き込んで大きな議論をすることは有効だという考えないかと質問が飛んだ。委員長は、国を挙げて行うことだという思いがあり、「火山学会も単なる原子力ではなく、国全体、国の存続の問題であることを、ようやく外に向かって言い出した気がする」と評価。それを国がしっかり受け止めなければいけないとの見解を述べた。
19日午前に開催された第40回原子力規制委員会の議題審議終了後、田中委員長は、高浜原発の審査書案へのパブコメ実施の是非を問うた。結果的に全委員が実施に賛成し、パブコメを行う方針が決まった。
これは、川内原発の審査書案の作成方針を決めた時と同様に、委員会会合の議題に挙がらず、委員長の発案で突如決められた。会見では、記者が、こういう手続きは審査が始まる前に決めるべきものではなかったのかと質問した。
委員長はパブコメについて、法的なものではなく、行わなくても良いものだという認識を示した上で、国民、住民が納得できるようなプロセスは踏んだほうが良いだろうとの考えから、パブコメ実施を判断したと答えた。
また、川内原発の時に行ったパブコメの成果は、「技術的なところで考え違い、ミスがあったことを見ていた方がいたことには感謝したい」とコメント。今後、各プラントのパブコメを行うかどうかは、パブコメの経験を踏まえ、工夫しないといけないが、「今日みたいなことをいつもやるわけではない。コミュニケーションを常に考えながら改善していく」と述べた。
建設中の発電所であるJ-Power(電源開発株式会社)大間原子力発電所の審査は、「今行っている原発と同じだ。立地適合性から全部見ていく」との考えを示した。大間はABWRでMOX燃料を使う予定であることから、「フルMOXはよく考えないといけない」と述べた。
設置許可申請では、使用済み燃料の処分を明記する必要がある。ところが、使用済MOX燃料を処理できる再処理施設は現状ない。
「どうするのか?」という記者の質問に対し、田中委員長は、「MOX燃料を処理できる新しい再処理工場を造らないといけないので、今の政策では新しい再処理工場をつくることになる」と言う。それは現実的か、と問われた田中委員長は、「それは私が答える立場にはありません」と回答した。
たとえ再処理工場を新設し、再処理しても、そのMOX燃料を軽水炉で使うのは効率が悪すぎて実用的ではない。「だから高速増殖炉を運転しない限り、処理したMOXは使えない、そういう理解の方がいいと思う」と田中委員長は説明した。
東電福島第一原子力発電所は現状”特定原子力”という扱いだが、今後、”廃止措置”を目指すことになる。これは異なる法律の適用範囲であることから、「福島第一に関しては、今の『特定』扱いのまま最後まで行けるのか、廃止措置の計画を立てなければならないのか」と記者が質問した。
”通常の原子炉の廃止措置”ではなく、事故を起こして特定になっている”福島第一の廃炉”が法的にどういう扱いになるのか。最後まで「特定」のままなのか、最後のある段階で「廃止措置」に移るのか。
田中委員長は、「どのタイミングで特定施設から廃止措置条項に移行するかは、1Fの進捗状況による」「廃止措置は特定施設が最後まで全部包含して行かざるを得ない」と説明。
政府ロードマップの廃炉工程40年をどう考えているのか。規制委としては廃止段階にあるかどうかの認定をするだけだと田中委員長は答え、廃止計画が思った通りに進んでいない、随時見直していくという認識を示した。