中間貯蔵施設対象外で福島県内の小中学校に置かれている汚染土、環境省が「きちっとしていかないといけない」~田中俊一原子力規制委員長定例会見 2014.10.29

記事公開日:2014.10.29取材地: テキスト動画
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 2014年10月29日(水)14時30分から、原子力規制庁庁舎にて田中俊一規制委員会委員長定例記者会見が行われた。中間貯蔵施設の対象にならない、法律ができる前の、法的に対象となっていない汚染土が運び出せずに福島県内の小中学校に置かれている状況について、田中委員長は、後で特措法ができたとしても、環境省が対応しなければならない問題だと答え、「子供達がいるところだから、きちっとしていかないといけない」と答えた。

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川内原発地元・薩摩川内市「同意」の受け止め

 九州電力川内原子力発電所の再稼働について、薩摩川内市長が10月28日に「同意」を表明した。このことに対して受け止めを聞かれた田中委員長は、「私から何か言うことではない」と発言を避けた。

「審査の遅れはない、事業者の申請が遅れているだけ」

 今後の川内原子力発電所の審査の進め方について、工事計画認可は新規制基準になってから初めてのため、総力戦で行う一方、保安規定は他の審査もあることから、人数をしぼる考えを示した。具体的な体制について、米谷仁規制庁総務課長は、工事計画認可の審査は基本的に担当のBチームで行い、必要があれば他のチームから協力を得るという考えを示した。

 工事計画認可の変更申請は、当初の予定より遅れて10月8日に1、2号機全ての申請が整った。田中委員長は、遅れたのは事業者の申請の方であり、規制庁や規制委の審査にかける時間そのものは遅れていないという認識を示した。

今後の審査書案へのパブコメは未定

 川内原子力発電所の新規制基準適合性審査の結果を示す”審査書案”に対して、国民の意見を聞く意見募集(パブコメ)を実施した。今後、他のプラントでも審査が進み、審査書案ができた際に、同様のパブコメを行うのかという質問に、田中委員長は「検討中だ」と回答。

 川内原子力発電所は、新しい規制基準のもとで初めて審査が行われ、パブコメで1万7千件以上もの非常に多くの意見が寄せられた。ただし、パブコメを行う案件に寄っては、パブコメの意見数が少ないものもあることから、「パブコメが本当に意見の反映になっているかを検討する必要がある」と考え、今後どうするか少し検討するとした。「国民の意見を聞くのは原則」という考えに変わりはないという。

破砕帯の有識者評価会合はあくまでも参考

 10月28日の規制庁ブリーフィングでの質問に関連した質問で、破砕帯に関する有識者評価会合と、審査会合とは別物という回答があったことから、その意図を記者が改めて質問した。田中委員長は、有識者会合は「あくまでも参考」で、「それなりの重みを持った参考」だと回答した。参考にした上で、審査会合で審査するということだ。

保安検査、日常の検査に対する現場力強化の効果、体制はまだ不十分

 プラント現場で検査体制の強化策を実施した結果、どの程度の効果が出ているのか記者が質問した。田中俊一委員長は、「まだ体制は不十分、これから整備していく」と答えた。

 同時に、規制当局が全てを検査して御墨付を与える、「今までの方法で良いのか疑問だ」と漏らす。安全に対する第一義的責任は事業者にあるから、事業者も責任を分担し、自ら検査して、覚悟を持ってやってもらいたいという持論を示した。

扱いの浮いた汚染土、環境省が「きちっとしていかないといけない」

 福島県内の小中学校にある除染土の扱いについて、記者が質問した。一部報道で、中間貯蔵施設の対象にならない、法律ができる前の、法的に対象となっていない汚染土が、運び出せずに福島県内の小中学校に置かれている状況について、記者が「人、環境への影響観点から委員長の見解を」と訊ねた。

 田中委員長は「今の話は初めて聞いた」としながらも、後で特措法ができたとしても、環境省が対応しなければならない問題だと答え、「子供達がいるところだから、きちっとしていかないといけない」と答えた。

JAEA、もんじゅの課題、「頭の痛い所だ」

 JAEA(日本原子力研究開発機構)は、定期保安検査にて、規制庁が従前から指摘している”もんじゅに関する不適切事項”がいまだに改善されていない状況だ。田中委員長は、月に一度のペースで行う”安全文化向上への取組みに関する面談”は、将来のことについての意見交換で、もんじゅの件については、「今起こっていること」なので、別の意見交換になるという。

 JAEAは、2005年10月に日本原子力研究所と動燃が統合して生まれた。統合後10年近くが経過し、「組織全体として問題がでてきている」「少し頭の痛い所だ」と田中委員長は言う。しかし、「何としても立ち直ってもらわないと困る」と思い、トップと意見交換、トップの考え方を確かめたい考えだ。

 事業者経営層とは、安全文化向上の取組みに関して、各社順に月に1度のペースで意見交換を行うことが決まっている。これは、将来に向けた取組みに対しての意見交換だ。JAEAのもんじゅに関しては、”今起こっていること”で、この意見交換とは別に意見交換を行いたい考えだ。

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