IWJ緊急レポート! 京都府警公安幹部にIWJが直撃取材! 京大への「潜入捜査」が発覚! 思想弾圧は進行中? 「第二のポポロ事件」の真相に迫る! 2014.11.4

記事公開日:2014.11.7取材地: テキスト
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(取材・記事:原佑介、文責:岩上安身)

 京都大学で11月4日、京都府警の公安警察官が許可なく大学構内に立ち入っていたことが発覚した。私服の警官は公務として潜入していたものと思われる。学生や大学側は、これを大学自治の観点から問題視。

 大学側は教室内で、約3時間にわたって警官を事情聴取したが、これに対し、警官の解放を求める京都府警側は、約100名の機動隊員を動員して大学周辺に待機させ、「威圧」するといった騒ぎに発展した。

▲学生が私服警官を取り囲んだこのような現場の写真は、またたく間にネット上で拡散した。この写真はツイッターアカウント@h_entai0さん、@Kktg25さんがツイートした。

記事目次

京都府警が大学に無断潜入し、バレたら100名の応援を呼ぶまでの経緯

 学生らは事件を受け、7日に京大内で記者会見を開き、当日の具体的な様子を説明した。

 11月2日、東京・銀座で行われた反安倍政権デモにおいて、京大の学生2名が「不当逮捕」された。これを受け、京大敷地内では11月4日昼、学生らが逮捕の不当性を訴え、即刻釈放を求めるビラなどを配る「救援活動」を行っていた。

 4日12時15分頃、学生らが救援活動をしている中、パーカーのフードを被り、救援活動の様子をうかがっていた不審人物に気づいた学生の一人が、「京大生ですか? 公安ですよね?」と声をかけたところ、不審人物はその場から逃げようとした。学生らは不審人物が逃走する前に取り囲み、12時30分、大学職員に通報。免許証、保険証から不審人物が京都府警の警官であることが発覚。不審人物のスマートフォンには、「LINE」で「離脱しろ!」というメッセージが届いていた。

 12時45分、学生らは職員とともに、大学側が用意した1号館の会議室に移動。学生らは私服警官から事情を聞くとともに、公安警察官が忍び込んでいたことを周囲に喧伝した。その情報を耳にした京大関係者のAさんも会議室へ駆けつけたという。会議室内には、多いときで20~30人が同時に私服警官を問い詰める一幕もあった。

 現場にいたAさんは当時の様子をこう振り返る。

 「公安は、抵抗などはせず、観念した様子でした。フードを深くかぶって、ふさぎ込み、学生が何を聞いても答えませんでした。学生側は、無理矢理フードをめくるなどの手荒な真似はしませんでした。共通認識として、『監禁にはならないようにやろう』といった配慮が現場にはありました」

 もともと、京大と府警の間では、大学自治の観点から、府警の警察官が学内に入るときは事前通告するという取り決めがなされていたが、これが破られていたということになる。

 14時頃、京大副学長・杉万(すぎまん)俊夫氏が会議室に到着。杉万副学長は「あまり大勢だと、監禁罪になる恐れがある」として、3 名の学生と、杉万副学長含めた大学関係者3 名の計 6 名のみで公安警察への追及を続行。それまで口をつぐんでいた私服警官が、14時45分頃、「杉万副学長と2人でなら話す」と述べたことで、学生らは全員、会議室を退室した。

 警官は杉万副学長に、京都府警警備第二課に所属していると明らかにした。しかし、潜入捜査をしていたとは認めず、「休憩中に自転車で通行していただけで公務中ではない」と主張したが、自転車を構内に駐輪し、学生らの写真を撮っていたうえに、発覚してから「離脱しろ!」というメッセージも届いていたことからも、その主張は疑わしいものだった。

 杉万副学長は「学生がただ普通に通行しているだけの人間を捕まえるはずがないし、何人もの学生らに目撃されている」と問いつめたが、公安警察はこれに明確な回答をしなかったという。

 15時頃、大学職員から「『警官を釈放しないと機動隊が突入する』と京都府警から脅されている」との報せが入る。このとき、大学の外には、5台の機動隊バスと公安警察が大学周辺に集まり始めていた。多いときで、配置された警官の数は100名近くにも上ったという。

 二人での話し合いもうまく進まなかった杉万副学長は見切りをつけ、16時頃、門前に集まった府警に、公安警察の身柄を引き渡した。府警の現場責任者に「本人は否定しているが、今回の件は公務だったと考えている。大学の許可なく構内で公務を行うことは、大学の自治に反し、京都府警と京大のこれまでの約束を破るものだ」と訴えたという。

 午後9時頃、杉万副学長は「本日、警察官が無断で大学構内に立ち入ったことが分かりました。事前通告なしに警察官が構内に立ち入ることは誠に遺憾です」とのコメントを発表。再発防止を求める申し入れも検討するとした。

▲京大内で7日に開かれた記者会見の様子(撮影・IWJ京都 北野ゆり)

 記者会見を開いた学生たちは「今回の事件と11月2日のデモにおける学生の不当逮捕は、一連のものだと考えています。大学内で、現在の政治のあり方を批判した学生が、公安警察によって日常的に監視され、まったくの微罪で逮捕勾留された怖れがある。学生として看過できない」と声明を発表した。

 さらに、「今回の公安活動は12月10日に施行される秘密保護法と一体で進む安倍政権による戦争国家体制作りの一環と捉えている」との見解を示した。

京都府警警備2課(公安)への電話取材で見えたもの

 京都府警はなぜ、大学とのこれまでの申し合わせを反故にしてまで大学内に無断で潜入し、監視活動と思われる活動を行ったのか。

 また、テレビ朝日では、「警察は、逮捕・監禁容疑事件として調べることにしています」と報じられている。京都府警が、非があるのは京大側であるかのような強硬姿勢で臨もうとしているというのは事実なのだろうか。

 IWJは6日、京都府警に電話取材した。

 京都府警の広報応接課は、「報道資料は記者クラブ用が対象ですので差し上げられませんが、今回の件に関しては、報道資料でも答えられることが少ないんです」という。広報応接課の警官は、「質問書を出してくれれば警備2課(公安)におつなぎしますが、答えられることはないと思います」と物腰が柔らかい。

 IWJは次のような質問書をファックスした。

  • 京大内で取り囲まれた警察官は公務中だったのか。
  • 京大と府警の間には、大学自治の観点から警察官が学内に入る際は事前通告するなどの申し合わせがあったというが、なぜ、申し合わせを破り、事前通告をせずに侵入したのか。
  • 1952年に発生した「東大ポポロ事件」では、裁判所が、「大学の自由と自治は『憲法23条』で保障されている」と認めている。大学の自治権についてどのようにお考えか。今回の警察官は、大学の自治を犯したと考えられないか。
  • 今回の学生らの行動について「京都府警では逮捕・監禁事件として捜査することにしている」と報じられているが、これは事実か。
  • 一方で、京都府警の捜査の違法性を指摘する声もあるが、こちらの捜査はしないのか。

 ようやく担当者と連絡がついたのは翌7日のことだ。警備2課の金子次席と電話がつながった。「京都府警の公安が無断で大学内に立ち入り、学生らに取り囲まれた件についてお尋ねしたいのですが、質問書はお読みいただけたのでしょうか」と質問した。

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「IWJ緊急レポート! 京都府警公安幹部にIWJが直撃取材! 京大への「潜入捜査」が発覚! 思想弾圧は進行中? 「第二のポポロ事件」の真相に迫る!」への1件のフィードバック

  1. あのねあのね より:

     警官を5台の機動隊バスと公安警察が大学周辺に集まり始めていた。多いときで、配置された警官の数は100名近く←この状態で、《「『釈放しないと機動隊が突入する』と京都府警から脅されている」》などということは民主主義の先進国としては絶対にに有ってはならないことだ。
     警官の《休憩中に自転車で通行していただけで公務中ではない》という主張は緒方さんの事件のときと同じですね。この同じパターンの主張というだけで組織的に関与が濃厚です。理由はマニュアル通りだからです。

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