ずさんな放射能測定の実態と一方的な政府の姿勢が明るみに~南相馬市の避難勧奨地域住民が経産省に申し入れ 2014.10.10

記事公開日:2014.10.14取材地: テキスト動画
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(IWJ・薊一郎)

 「住民の意見は、またしても無視されてしまうのでしょうか」――。

 福島原発事故により放射線量が高い「特定避難勧奨地点」に指定された南相馬市の一部の地域について、国は10月末にも避難勧奨地点を解除する方針を固めた。この問題に対し、避難勧奨地点の住民らが10月10日、国の解除の方針に反対するとして、経済産業省へ申し入れおよび政府交渉を行った。

 「特定避難勧奨地点」とは、福島原発事故後、警戒区域や計画的避難区域の外にも放射線量の高い地点が点在することから、2011年6月16日に原子力災害対策本部が、事故発生後1年間の積算線量が20ミリシーベルトを超えると推定される場所を、住居単位で特定避難勧奨地点として設定したものだ。南相馬市では、152世帯が避難勧奨地点に設定されている。

■ハイライト

  • 記者会見 「南相馬・避難勧奨地域の会」状況説明/「福島老朽原発を考える会」リネン吸着プロジェクトからのレポート/南相馬の住民からの発言
  • 経済産業省への申し入れ・政府交渉
  • アピール行動(参議院議員会館前)

特定避難勧奨地点解除は「時期尚早」

 解除に反対する住民らは、経済産業省への申し入れに先立ち、記者会見を開いた。

 南相馬・避難勧奨地域の会の小澤洋一さんは、福島県南相馬市の特定避難勧奨地点が、南相馬市小高区(旧警戒区域)や飯舘村(旧計画的避難区域)と隣接し、それらの地域と同等かそれ以上に放射能汚染されていると主張。

 さらに、特定避難勧奨地点の放射能測定の実態を報告し、測定自体が避難勧奨地点の設置を目的としたものだとして、その杜撰さを訴えた。

 「除染されて最も放射線量が低い玄関先や庭先ばかりを測定し、敷地四隅や屋内の放射線量の高さは考慮していない。独自の調査では、庭先より敷地四隅の方が7倍も高い線量を示した。このような状況下で、指定解除の暴挙は許せない」

 南相馬市原町区の行政区長の一人である藤原保正さんは、「国は一部分だけ測定し、見せつけて、解除しようとしている。農地除染後、もう一度測定し、部落内が安全・安心となれば反対はしない。その時、解除の話となるべき」だと語り、指定解除は「時期尚早」だとして反対を訴えた。

「南相馬市には1平方メートル当たり数十万ベクレルの汚染地帯がある」

 政府交渉に先立ち、住民代表から行政側出席者へ、安倍首相と小渕優子経済産業大臣宛の要望書が提出された。

 夫と子どもとともに避難生活を送っているという住民の女性は、要望書の内容に沿って、こう主張した。

 「政府が一方的に決めた年20ミリシーベルトという(放射線量が)高い基準と、そこから導き出された空間線量率に基づき、住民の意向を無視して、世帯ごとに特定避難勧奨地点が定められた。ところが、指定根拠となった(放射能)測定はいいかげんで、同じ汚染レベルでも指定されなかった世帯もあった。

 政府は、指定された152世帯について、早ければ10月中にも指定解除すると伝えて来たが、除染が済んだと言われる南相馬市は、依然汚染されている。1キロ当たり百万ベクレルの黒い(汚染)物質や、1平方メートル当たり数十万ベクレルの汚染地帯がある。

 そんな場所に帰還を強要するのでしょうか? こどもや孫を住まわせろというのでしょうか? 住民の意見はまたしても無視されてしまうのでしょうか?

 私たちは特定避難勧奨地点解除に反対する。住民の意向と汚染実態に則した避難勧奨の継続と地域指定を求める」

「年間100ミリシーベルト以下では健康被害は、無視できる」

 その後、住民と行政側出席者の間で質疑応答を中心に交渉が行われたが、行政側は「建前論」を主張し、住民との話し合いは平行線のまま終了した。行政側が主張する建前論とは、次のようなものだ。

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