【沖縄県知事選】「辺野古埋め立て、撤回確約なしの知事選突入は『仲井真の悲劇』の二の舞」 ~植草一秀氏がシンポジウムで緊急提言 2014.10.7

記事公開日:2014.10.15取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山)

 「11月の沖縄県知事選。辺野古基地建設に反対の県民は、埋め立て承認撤回を確約する候補者を連帯して支えるべきである」

 植草一秀氏は、このように主張し、前回の知事選で「普天間基地の県外移設」を公約に掲げて当選しながら、辺野古埋め立てを承認した仲井真弘多知事を例に挙げて、「確約なしでの選挙選突入は『仲井真の悲劇』を繰り返すだけ」と訴えた。

 2014年10月7日、沖縄県那覇市のぶんかテンブス館てんぶすホールで、「緊急提言『埋め立て承認撤回なくして、辺野古は守れない!』」が開催された。政治経済学者の植草一秀氏が基調講演を行い、後半のシンポジウムは、植草氏、沖縄知事選に立候補を表明している喜納昌吉氏(音楽家、民主党沖縄県連代表)、沖縄県議会議員の上里直司氏の3人が、争点となる辺野古の基地建設問題について語った。

 植草氏は、基地建設の現状は、菅官房長官の「辺野古は過去の問題」発言が端的に表しているとして、新知事が承認を「撤回」あるいは「取消」しても、建設進行を止めることは容易ではないとの認識を示し、「県が国から訴えられる可能性もある。政府と対峙する覚悟が必要だ」と力を込めた。

 また、立候補予定者の翁長雄志氏が、埋め立て承認の「撤回」「取消」を確約していない状態では、仮に翁長氏が建設阻止を訴えながら当選しても、結局は実効性のある行動を取らずに基地を認めてしまうことが危惧される、と植草氏は語り、「明確に『承認を撤回する』と確約をとることが何よりも大事だ」と重ねて強調した。

  • 基調講演 「埋め立て承認撤回なくして、辺野古は守れない!」 植草一秀氏(政治経済学者)
  • シンポジウム 植草一秀氏、喜納昌吉氏(音楽家、民主党沖縄県連代表)、上里直司(沖縄県議会議員)氏

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辺野古について、日米で進行している訴訟に注目

 植草氏は、辺野古埋め立て問題の訴訟が行われていることに言及した。「埋め立て承認については、取消し及び辺野古での工事の執行停止を求める申し立てが裁判所に提出されている。公有水面埋め立て法をめぐる争いだ。この裁判は、どのような決着を見るかはわからないが、仮にこの訴えが認められて違法性が認定されれば、知事による埋め立て承認そのものが取り消されることになる。そうすると、辺野古には基地は作れない」

 もうひとつ、植草氏はアメリカでの「沖縄ジュゴン自然の権利訴訟」を紹介した。「日米の環境団体、市民団体、個人らが原告となり、アメリカ合衆国の国防総省、国防長官を被告として、『辺野古基地建設事業の差し止め及びジュゴンの生息地を含む沖縄の自然環境への適切な配慮を求める』との確認宣言を求めて、サンフランシスコ連邦地方裁判所に訴訟が提起されている」

 この訴訟は、すでに2008年1月に原告側が第1審勝訴判決を得て、現在は上級審で係争中だが、この裁判に追加して、日米の自然保護団体などが米国防総省を相手取り、事実上の工事中止を求めた申し立てが受理されている。植草氏は「この判断は、半年以内に出る見通し」と述べ、その結果によって、辺野古の基地建設が差し止めになる可能性があることを示唆した。

 その上で、「しかし、米国の国防総省は、9月29日にサンフランシスコ連邦地裁に請求却下の申し立て書面を提出した。国防総省側も、この訴訟を差し止める働きかけをしている。辺野古問題は、新知事がどう行動するかが一番の核心であるが、それと並行する形で訴訟が進行している状況だ」と説明した。

アメリカは、日本の辺野古基地建設の強行について懐疑的だ

 植草氏は、沖縄タイムスによる米国議会調査局の報告書の報道について、「辺野古埋め立て承認は、日米両政府にとって重要な政治的ハードルだったと位置づけた上で、仲井真知事の承認にもかかわらず、県民の大半は政治的あるいは環境や生活の質などの多様な理由から、新基地建設に反対している」とアメリカが冷静に情勢を分析していることを伝え、次のように続けた。

 「アメリカ側は『辺野古における市民の抗議行動では、海上保安庁などを中心として違法とも思える小競り合いがすでに起きている』と認識している。『安倍政権は、仲井真知事の承認に必要な条件を満たすために巨額の投資や時間を費やしたが、工事に大幅な遅れを生じさせず、沖縄の市民を阻害することなく進めるには、さらなる政治的資本の投資が必要となるだろう』と先行きを困難視しているのだ」

 アメリカ自身は、辺野古に基地建設を強行できるのか、かなり懐疑的な見方をとっている、と指摘する植草氏。「むしろ日本政府の方が積極的に、『とにかく辺野古に基地を作ってしまえ』という動きを広げている」と懸念を示した。

翁長氏の出馬会見。記者に対する質問封じは言語道断!

 植草氏は、9月13日の翁長氏出馬会見での、読売新聞記者との質疑応答が衝撃的だったという。「質問は『政府は一貫して移設計画を進め、知事選の結果は移設計画に影響ない、という方針を示している。そういう中で、『反対したけれど、政府に強行されて基地を作らせてしまった』という結論になった時、有権者に対して『絶対に作らせない』と約束した部分を、どのように担保していくのか。選挙戦の前に、具体的なものをきちんと示していくのか』というもの。これは非常に的を得た質問であり、沖縄の有権者が一番知りたい部分だ」と評価した。

 「これに対し、質問の途中から大きなヤジが飛び、翁長氏はこれに乗じるように、『普通の人がそういう質問をすると、大変失礼になる』と暗に記者を罵倒した。これは翁長氏と会場の支持者が一体となった記者への圧力であり、質問封じである」

 植草氏は「痛いところを突かれたからと、立候補予定者が会場と一体になって質問を封じるなど、民主主義社会では絶対にあってはならない。記者が一番重要な点を質問するのは当然だ。それに対しては、説得力のある説明が不可欠である」とし、翁長氏の対応を批判した。

知事が公約を翻す「仲井真の悲劇」を繰り返してはならない

 植草氏は重要なポイントとして、菅官房長官の「知事による埋め立て申請承認がある以上、粛々と進める。知事選も関係ない」という9月10日の発言を取り上げ、「これに対してしっかりと楔を打って、実行性のある行動をとるには、公約として『知事に当選した場合には、法律の専門家と検討した上で、埋め立て申請承認について取消し又は撤回を行う』と、はっきりと確約することである」と指摘する。

 一方で植草氏は、仮に新知事が「撤回」や「取消」をしても、問題がすぐに解決するわけではなく、政府が県に対して訴訟を提起する可能性が高いとも語る。当然、それを織り込んで対応していくことが必要だとし、「でなければ、安倍政権が推進していることに待ったをかけるのは難しい」と述べて、このような厳しい言葉を口にした。

 「それくらい、辺野古の米軍基地建設を阻止することは容易ではない。ある意味、政府と対峙する覚悟が必要だ。だからこそ、『政府とうまくやりながら、辺野古の基地建設を阻止する』というのは、現実問題として不可能だ。単なるきれいごとで終わってしまう」

 さらに、「『撤回または取消し』を確約しないで知事選に突入することは、『仲井真の悲劇』を再現することになる。前回、仲井真知事は『基地は県外に』と言って当選した。にもかかわらず、結局、埋め立て申請を承認する行動をとり、県民を裏切った」と断じた。

 この悲劇を繰り返さないためには、知事選の告示までに、埋め立て申請承認の撤回または取消しを確約する統一候補者をただ1人定めて、県民が結束して、その候補者を支持し、当選させなければならないと、植草氏は力を込める。「これまでの流れを踏まえれば、翁長氏が、埋め立て申請承認を撤回または取消しすることを確約し、辺野古基地建設を阻止する県民が一致団結して、翁長氏を勝たせることである」

 そして、現在、確約がないまま選挙戦に入りそうな状況で、喜納氏が声を上げたことには意義がある、と植草氏。「辺野古を止めることが目的であれば、翁長陣営は、その声に真摯に耳を傾け、確約するべきだ。そうすれば、喜納氏は出馬を辞退するだろう。いずれにせよ、埋め立て申請承認に対する撤回または取消しを、選挙前に確約し、その上で有権者の支持を得るプロセスが必要だ」と重ねて強調した。

基地建設阻止には、候補者の選挙後の行動をはっきりさせること

 沖縄に新たに基地を作ってはならないという思いから、今回のシンポジウムへの参加を決意したという植草氏は、「基地建設阻止は、沖縄県民の総意、日本国民の総意として成し遂げていかなければならない」と述べ、「11月16日に投開票日を迎える沖縄県知事選は、決定的に重要な意味を持つ。辺野古の米軍基地建設を阻止しようと考える沖縄県民は、基地建設阻止を訴える候補者を1人に絞り込み、連帯してこの候補者を支えるべきである」との認識を示した。そして、「県民の多数が辺野古基地阻止を訴えても、票が割れれば、辺野古基地推進派が勝利してしまう」と危機感を表した。

 植草氏は続けて、候補者が辺野古基地阻止を公約に掲げ、それを県民が支持しても、選挙後に公約をどのように実行するかが最重要ポイントであると指摘。そして、今回の知事選に基地阻止を求める「オール沖縄」として出馬を表明した翁長氏について、「残念ながら、埋め立て承認問題について、撤回の公約を示していない」と指摘する。

 「この問題を本当に前に進めるには、翁長氏が『撤回あるいは取り消し』という公約を、選挙の前に明示すること。その明確な公約に基づいて県民が判断し、選挙後、公約通りに行動することをはっきりさせる必要がある」と強調した。

 一方で、現在の沖縄の印象について、「独特な空気がある」とも語る植草氏。「埋め立て承認撤回問題をあまり口にするな、表に出すなという感じ。曖昧なまま進んだほうがいい、という空気を感じる」と述べた。

撤回問題を避けたままでは、沖縄の民主主義に大きな禍根を残す

 シンポジウムに移り、上里直司氏は翁長陣営の選対責任者とのやりとりを報告した。「県民の要望である、承認の撤回あるいは取消しの明記を(翁長氏の)公約に盛り込めないかと尋ねると、『不可能』という返事で驚いた。その人は『あらゆる選択肢を検討していかなければならない。そのうちのひとつが、撤回であり取消しだ』と言った」

 こう述べた上里氏は、まず撤回・取消しを行い、そのあとで「ありとあらゆる選択肢」を考えることが、辺野古に基地を作らせない具体的な方法ではないか、との考えを示した。

(…会員ページにつづく)

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