元米国国家安全保障会議(NSC)高官のモートン・ハルペリン氏は、1966年から69年にかけて、米国防総省の上級担当者として沖縄返還交渉に関わり、日本側と交渉にあたった。ハルペリン氏はこの度47年ぶりに沖縄を訪問。この日の講演会では、その印象とともに、自身の沖縄返還交渉時の教訓を語り、沖縄における米軍基地について論じた。講演会は、新外交イニシアティブ (ND)と琉球新報社の主催により開催された。
ハルペリン氏は、47年前、「沖縄が返還されれば、数年後には米軍基地は無くなるだろう」と思っていたという。ところが今回訪問して、「米軍基地が当時と変わらぬ様子で存在したことに驚いた」と印象を語った。
また、ハルペリン氏は辺野古を訪問し、ボートで海に出たり、座り込みで抗議行動を続ける市民と対話した。大勢の報道陣に囲まれ、当地で開催したセミナーは大変な盛況だったと、同行した新外交イニシアティブ (ND) 事務局長の猿田佐世氏は語った。
- 基調講演 モートン・ハルペリン (Morton H. Halperin) 氏(元米国家安全保障会議〔NSC〕スタッフ、オープン・ソサエティ財団上級顧問)
- パネルディスカッション モートン・ハルペリン氏/猿田佐世氏(新外交イニシアティブ事務局長、弁護士)(コーディネーター)
- 日時 2014年9月19日(金)17:15~
- 場所 参議院議員会館(東京・永田町)
- 主催 新外交イニシアティブ (ND) (詳細)
沖縄の人々の思いと米国での沖縄への見方
ハルペリン氏は、「沖縄戦はまだ人々の心に生きている。戦争の悲惨さは人々の記憶に刻み付けられており、それだけに平和への強い思いがある」と沖縄での印象を語った。
一方、米国は全く違う見方をしているとハルペリン氏は語る。 「沖縄戦は米国の歴史の一部で、米国民が勇気ある戦いと犠牲で勝ち取った島である。あたかも返還されなかったかのように、自由に使える土地と認識されている」
ハルペリン氏が60年代に国防総省に勤務していた時、ある海軍将校に「沖縄には基地は存在しない。沖縄それ自体が基地だ」と言われたことがあったという。今回沖縄に行って、「まさしくその通りだと実感した」とハルペリン氏は語った。
「本土の日本人と同じ権利が保証されているはずの沖縄の人々が、このような状況で生活することを強いられている」と、ハルペリン氏は沖縄の現状に憤る。
「沖縄返還の教訓を、現在の基地問題へ活かせ」