「安倍政権に対する危機もあるが、我々に共通しているのは、恥ずかしいという思いだ」――。
「政府が右というのを左とは言えない」、「(慰安婦制度は)どこの国にもあった」などと、公共放送のトップとして不適切な発言を重ねているNHKの籾井勝人(もみいかつと)会長。
「籾井氏は会長として相応しくない、恥ずかしい」という思いで一致した元NHKの職員らが21日、NHK経営委員会に対し、籾井会長に辞任を勧告し、応じない場合は放送法に基づいて罷免するよう求める要請書を、賛同する1500人の元職員の名簿と合わせて提出した。
会長の資格要件である「政治的に中立であること」、「NHKの公共放送としての使命を十分に理解していること」などに抵触していることを理由に挙げた。
- 出席 池田恵理子氏(家庭・教養番組ディレクター)、大治浩之輔氏(社会部記者・盛岡放送局長)、海南友子氏(報道番組ディレクター)、川崎泰資氏(政治部記者・ボン支局長)、小池晴二氏(美術デザイナー)、小中陽太郎氏(テレビ文芸部ディレクター)、永田浩三氏(教養番組部プロデューサー・衛星放送局統括担当部長)、村上信夫氏(アナウンサー)
「国際的に見れば、とんでもない人が公共放送のトップに」
要請書の提出後、呼びかけ人らが記者会見に臨んだ。
現役時代は家庭・教養番組ディレクターだった池田恵理子さんは、「(籾井会長は)女性の人権への認識がない。慰安婦制度をあらゆる占領地に長年にわたって作ったのは、日本以外にない」と指摘。「国際的な視点から見れば、とんでもない人が公共放送のトップになった。なんとしても辞めていただかなければ、NHK自体の信用が薄れてしまう」と危機感を表明した。
さらに、NHKの報道姿勢について、次のように言及している。
「第二次安倍内閣発足以来、『クローズアップ現代』は、秘密保護法を1回も取り上げなかった。集団的自衛権の閣議決定もそう。『ニュースウォッチ9』が与党の主張や協議内容に割いた時間と、反論や反対意見、官邸周辺のデモ隊の話題に割いた時間は、あまりの違いにびっくりするほど偏っている。与党側の放送時間が114分なのに対して、反対側の意見は77秒しかなかった」
池田さんは、「政府が右ということについて左と言えない」という、籾井会長の意向が反映された偏向報道に危機感を感じると話した。
「籾井会長はジャーナリズムのトップにいる資格はない」
「籾井会長はジャーナリズムのトップにいる資格はない」と話すのは、呼びかけ人の一人で、社会部記者、盛岡放送局長も務めた大治浩之輔さん。昭和10年の生まれで、10歳のときに敗戦をむかえた。
「それまで信じこまされていた教育というのは、日本は現人神の天皇がおさめる特別な国だということだが、8月15日を境に、(思想に)『拘束衣』を着せられていたという感じがはっきりした。そういうことを、最近、つくづく思い出す」
大治さんは、「秘密保護法もそうだが、国民の精神に拘束衣をはめようという動きが出てきている。ジャーナリズムはそれと対決し、権力の非違を摘発していくのが仕事。NHKは受信料でやっているから、なおさら責務が大きい」と持論を展開した。
安倍総理が受け継いだ佐藤栄作のメディアの論に関するDNA
政治部記者でドイツのボン支局長を務めていた川崎泰資さんは、「今の安倍政権は本当に危険な政権で、知らないうちに、とんでもないところに連れて行かれる恐れがある」とし、「安倍は岸のDNAを引き継いで右傾的なことを言い、メディアに関しては、おじさん(大叔父)の佐藤栄作のDNAを引き継いでいる」と展開する。
「どういうわけかというと、NHKを国政化する道へまっしぐらだということ。国営化の野望を、ほぼ満たしつつある。佐藤栄作は、『マスコミは国益追及に重点を置くべきだ』と言っている。国益とは言っても、それは佐藤内閣の利益のことで、今の安倍も一緒、安倍晋三の利益に重点を置く、ということだ」
「世の中に奉仕するNHKに立ち戻ってほしい」
教養番組部プロデューサーで衛星放送局統括担当部長だった永田浩三さんは、NHKを早期退職し、今は武蔵大学で社会学部の教授を務めている。
「NHKは世界一大きな公共放送局。その退職した職員が会見し、ものを申すことに、どういう大義があるかを考えた。これがただの自己愛で、世の中には通用しないものかとも思ったが、悲惨な状況を座してみているわけにはいかない」
永田さんは、「NHKは受信料をいただいており、知る権利に奉仕しなければならない。トップが公共性に疑問符がつく発言を繰り返しているのは許しがたい」と怒りを滲ませ、「今日、ここにくるときに現役のNHK職員の知人に出くわしたが、『NHK職員として恥ずかしい』と言っていた」と紹介。「世の中に奉仕するNHKに立ち戻ってほしい」と語った。
籾井氏個人の問題か、大手メディアそのものの問題か
「政府が右と言ったものを左と言えない」という籾井会長の発言は確かに問題だが、例えば「記者クラブ制度」は、法的根拠もなく各省庁や自治体などの一角を陣取り、常に公的な恩恵に預かっている。もし会長が籾井氏でないとしても、本当にいざというとき、NHKが、政府が右と言ったものを左と言うことはできるのか、疑わしい。
籾井氏という特異なキャラクター個人としての問題ではなく、大手の記者クラブメディアという大きな利権構造そのものが、籾井氏のような人物の就任を招いたと言えるのではないか。そうIWJは質問した。
川崎さんは、「記者クラブ制度と籾井の件は関係ない」としつつも、「長年記者をやっていたが、NHKの会長を総理大臣が決めなかったことは、ただの一回もない。それを経営委員会が決めたことにして発表している。そういうインチキを、記者クラブに所属している人間がきっちり書くべきなんだ」と現役の記者に苦言を呈す。
さらに川崎さんは、「菅官房長官は会見で、『総理大臣と思想信条をともにする者を選んで何が悪い』と開き直ったのに、記者は何も反応していないんだ。冗談じゃない。総理大臣と同じ思想信条を持った者で経営委員を固めたらどうなるか。そんなものは独裁だ」と声を荒らげ、「これはメディアの堕落だ。メディアの堕落の原因が記者クラブ制度にあるとまで言うのであれば、そのとおりだ。全く情けない。一人でも戦え」と力を込めた。
第二、第三の籾井氏が登場する恐れ
NHKに限らず、安倍総理は大手メディア幹部らを招き、歴代総理とは比較にならないほどの会食を重ねている。また、今月20日、広島では多数の死傷者が出るほどの豪雨に見舞われていた。にも関わらず、夏休み中の安倍総理は、しばらくゴルフを続け、そのゴルフのメンバーには、フジテレビ会長・日枝久氏も含まれていた。
籾井氏は営利会社の元社長つまり商人です。商人の行動原理は会社が儲かるようにすることで、最悪でも赤字は出してはいけない。以前所属した会社が儲ける為に“世論”を作ろうとしいるのではないか。現在一番効率の良い“世論”の作り方は、感情に訴えて思考を停止させて思考を伴う冷静な判断力を無くすことです。
武器や弾薬、食料や衣料品等戦争をすれば一部の商人は大儲けできるが、儲けになる原資は元はと言えば国民の多くにとっては学問を諦め、病気の治療を諦め、住まいを諦め身を削った血税です。
放送作家でもあった作家の百田氏を放送委員に据える等、魂胆が見え見えの人員配置を堂々とやっている点は非常に気になります。視聴者や国民をただの馬鹿だと思ってなめきっているとしか考えられない。プロジェクトエックスという番組で露骨に広告代理店と組んだ“成功体験”が“活かされている”のだろうか。
朝日新聞となんか似てないか?変だぞNHK!