「国家権力に直接コントロールされ、政府の広報機関と化したNHK。このままでは、安倍政権の民主主義転覆の企てに共犯者として加わることになる」──。
2014年5月24日、京都市のキャンパスプラザ京都で、シンポジウム「NHKを憂え、市民の手に取り戻すつどい」が行われた。元NHKプロデューサーの津田正夫氏、元朝日新聞大阪本社編集局長の新妻義輔氏、NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ共同代表の醍醐聰氏が、籾井勝人NHK会長や経営委員らの発言で揺れるNHKの問題点を指摘し、本来の公共放送となるために、何をすべきかを議論した。
醍醐氏は「NHKが、真の意味で市民の公共放送局としての姿を取り戻すためには、経営者を変えるだけでなく、われわれ視聴者の力の怖さを見せつけることが必要である」と力説し、受信料支払い凍結運動を提唱した。
- 開会あいさつ
- リレートーク 津田正夫氏(元NHKプロデューサー、元立命館大学教授)「いま、NHKで何が起こっているか」
新妻義輔氏(元朝日新聞大阪本社編集局長)「マスメディアにおけるNHKの位置・役割」
醍醐聰氏(NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ共同代表、東京大学名誉教授)「異常なNHK会長、経営委員を生む構造的な問題」
コーディネイター 隅井孝雄氏(元日テレ報道記者、国際メディア研究者)
- フリートーク/リレートーク
- 日時 2014年5月24日(土)13:00~16:00
- 場所 キャンパスプラザ京都(京都市下京区)
- 主催 NHKを憂える運動センター・京都
国家が放送をコントロールするのは日本、北朝鮮、中国など
津田正夫氏はNHKの課題について、「籾井会長自身が、さまざまな倫理的な基準を自分で崩そうとしている。これだけ批判されれば、普通の人ならば辞めるところだが、辞めないのは彼のうしろで必死に支えている政治家たちがいるからである」と話す。
「もっとも強力な後ろ盾は、安倍首相だ。籾井氏の会長就任を直接頼んだと言われる、麻生財務大臣も必死になって支えている。したがって、籾井氏を辞めさせることが重要である一方、経営委員についてもを透明化を図っていかなければならない。公選制にしていくことも大事である」。
さらに、「放送通信行政を、権力が直接握っていることも問題だ。第三者の独立経営委員会ではなく、国家権力が直接、放送をコントロールしているのは日本、北朝鮮、中国、アラブの一部の国だけである。韓国や台湾、欧米諸国のように、独立行政委員会にしていかなくてはいけない」との見解を示した。
公共放送に関して、津田氏は「民放も、夜遅い時間帯にスポンサーなしで、良心的で公共的なドキュメンタリーを放送している。また、障害者向けの情報を被災地に送っている『目で聴くテレビ』がある。これらは明らかに公共放送にあたるし、被災地にでき上がっている30のコミュニティーFM局も、公共放送といえる。こういう点から、受信料というものはNHKの番組制作や職員の給料に使うだけではなく、多様な公共放送を支えていくために使うべきである。受信料が有効に使われていくように制度を変えないと、今の放送法ではやっていけない」と指摘した。
安倍政権に巧みに操られるメディア
新妻義輔氏は、メディアがこれまでにない危機的状況に置かれているとして、「安倍首相の側近らの相次ぐ暴言や、選挙で勝ったから何をやってもいい、と言わんばかりの安倍首相の政治手法に、非常に危機感を持っている。しかも、安倍政権はメディア対策を非常に重視し、メディア・コントロールは巧妙である」と述べ、次のように言葉を重ねた。
「NHKの中枢に安倍首相に近い人物を送り込んだだけではない。首相が出演する番組を選んで、メディアを分断している。そして、民放テレビ局や新聞社の社長らと頻繁に会食している。首相は5月15日に『解釈改憲による集団的自衛権の行使容認の政府方針』を出したあと、20時過ぎから、新聞社の論説委員長、編集委員、あるいはテレビ局の報道局長、メディアの幹部と、東京の高級すし店で2時間ほど懇談している。こんな首相は、今までいない」。
NHKは安倍首相の宣伝機関に成り下がった
「NHKはブラック企業の経営者に乗っ取られた?」 〜元NHKプロデューサーらが公共放送復活への道標を語る http://iwj.co.jp/wj/open/archives/141605 … @iwakamiyasumi
国家権力が直接、放送をコントロールしているのは日本、北朝鮮、中国、アラブの一部の国だけである。
https://twitter.com/55kurosuke/status/610031479041593344