「国家によるNHK乗っ取りは、現在進行中」~NHK籾井会長の問題発言をめぐる緊急集会開催 2014.2.22

記事公開日:2014.2.22取材地: テキスト動画
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(前文:IWJ・石川優 本文:IWJテキストスタッフ・阿部玲/奥松)

 NHKの籾井会長の一連の問題発言を話し合う場が設けられた。2014年2月22日、東京都渋谷区の代々木区民会館にて「緊急集会 NHKの危機、今、何が必要か~籾井会長発言が問いかけるもの」が開催された。

 NHK会長に就任した籾井勝人氏は1月25日の就任記者会見で、「従軍慰安婦は、戦争地域にはどこにでもあった」「政府が右ということを左と言うわけにはいかない」「(特定秘密保護法について)通ってしまったんで言ってもしょうがない」などと発言し、批判を招いている。国会に参考人として招致され、野党から追及を受けるに至っている。

 今回の集会では、この籾井氏の一連の発言や歴史認識などが話し合われ、問題発言のあったNHK会長就任記者会見のあり方を問う意見も上がった。NHK会長会見は、記者クラブに所属する記者しか参加が許されない。通常の会見はカメラでの撮影は許可されていないが、就任会見では許可された。

 集会に参加していたフリーランス記者の上出義樹氏は、「会長会見の様子はHPで要約だけ出している」と話し、NHK会長会見は広くオープン化するべきと訴えた。

■ハイライト

  • 発言
    池田恵理子氏 (元NHKディレクター、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」wam 館長)/小田桐誠氏(ジャーナリスト)/醍醐總氏(東京大学名誉教授、NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ共同代表)/田島泰彦氏(上智大学教授)/松田浩氏(メディア研究者)
  • 日時 2014年2月22日(土)13:30~16:30
  • 場所 代々木区民会館(東京都渋谷区)
  • 主催 放送を語る会

メディア・コントロールを狙っていた安倍首相

 主催の「放送を語る会」は、視聴者市民、放送研究者、放送労働者の3つの立場の人々が、放送について語り合い、研究し、発言する場を作ろうという趣旨で、1990年に発足した団体である。NHKのOBの数も多いという。最初に発言した池田恵理子氏もそのひとりで、NHKのディレクター時代には、ETVなどで、慰安婦問題の番組などを制作してきた。籾井会長の発言については、「ショックと怒り、そして『とうとう、ここまで来たか』という絶望的な気持ち」と表現した。

 「安倍首相は第1次政権の頃から、『慰安婦の強制連行はなかった』など、従来の政府見解を覆すような発言をしていた。『メディア・コントロールしたい』とも言って来ており、お友達を経営委員に入れるなど、今やっている動きは、彼がもともと目指していたもの。政府の意向を追随するような人が会長職に就くなどというのは、公共放送であるNHKにとって、あってはならない」と批判。前日の21日には、他の市民団体と共同で、百田・長谷川両経営委員を罷免する手続きをとるよう、内閣府に申し入れを行い、NHK経営委員会に対しては、籾井会長の辞職勧告をするよう要望したことを報告した。

厳しさを増す放送内容の「検閲」

 一方、NHK職員に対しては、「頑張ってほしい。今でも、中で頑張っている人はいるが、心ある人ほど苦しんでいる」と同情した。しかし、「(辞めてから)4年しか経っていないのに、『恵理子さんがいた時代とは違うんだよ』と言われる。放送内容の検閲が厳しくなってきて、ETVですら、局長クラスがチェックをするとのこと。若い職員は、自分が番組を作っているという意識が持てないようだ。『局内メールは追跡されるから、手紙でやりとりを』などとも言われる。自由な会話もなく、『会長が辞めても、どうなるんですかね』などという声まで聞かれる」と、深刻化する内部事情を紹介した。

 最後に、「私自身も、放送内容を変えられたりしたことは、何度か経験したが、最終的に助けになるのは視聴者の応援の声だった」と述べて、あきらめずに、NHKに対して意見を寄せることを提言した。

「受信料支払い留保」で抗議を

 ジャーナリストの小田桐誠氏は、「会長発言の件は、個人の資質の問題と、もうひとつは仕組みの問題がある。籾井氏に近い人からは『おしゃべりですぐムキになる』という人物評を聞いている。安倍首相のお友達人事は第1次政権の頃からあり、『公共放送を宣伝機関にする。そのためには、どうしたらよいか』ということを、彼はずっと考えてきた」と明かした。

 「2008年1月29日の経営委員会において、古森委員長は『委員会は、NHKに対する監督責任を持っており、放送内容に関与できないというのは違和感がある』などと発言している。こういった人事の問題に対する、われわれの抗議の仕方としては、『受信料支払いの留保』が考えられると思う。また、全国で開かれる『経営委員と語る会』に参加して、意見を言っていく。参加は抽選になるが、あきらめないで意見を伝えて行くことが、ブレーキになる」。

NHK報道の作為と不作為

 上智大学教授の田島泰彦氏は、2月14日から降り続いた大雪の報道に触れ、「自分の田舎の秩父は、1メートルの積雪を記録。それ以外の地域でも、多くの集落が孤立していた。それなのに、NHKはスポーツ紙でやるようなオリンピック報道を延々と続け、家族もみんな怒っていた」と、報道機関としての不作為を問題視した。

 さらに、「国営放送ではなく、公共放送なのだから、本来は権力を監視し、政治からは自立していなくてはいけない。イギリスのBBCだって、政府と軋轢を持ちながらやっている。しかし、現状は、組織の上層部に政権と関わりが深い人物を送り込まれ、より積極的に権力に迎合し始めた。『そういう段階に来たのだな』という感がある。秘密保護法には反対した大手マスコミも、共通番号法では賛成していた。『お上が管理』という点では同じであり、国家による介入、情報の統制が、すでに始まっている」と危機感を表明した。

すでに「国策放送」化したNHK

 東京大学教授の醍醐總氏は、「国営放送と、国策放送は違う。後者は、独立の放送という体裁を整えながらも、作為的に、政府の意向をポジティブに放送する。先日、安倍首相がロシアのプーチン大統領と会話する意義などを強調していたのが、これにあたる。不作為というのは、必要な情報を国民に知らせることをしないこと。原発報道などが、これにあたる」などと述べ、「NHKは、国策放送化している」と批判した。

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