「ねらいは辺野古の軍港化? 基地ではなくジュゴン保護区に!」 ~辺野古新基地建設 緊急報告会 2014.7.25

記事公開日:2014.8.8取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ/奥松)

 米軍普天間基地の辺野古(へのこ)移転を巡って、沖縄防衛局による辺野古の海底ボーリング調査が行われようとしている。10年前、同様の調査が反対派の抗議活動で中止に追い込まれているため、「今回は厳しい警戒態勢がとられている」と、大湾宗則(おおわん・むねのり)氏(京都沖縄県人会)は語った。

 「通常の米軍水域を拡大して、海岸線から2キロ四方を臨時制限区域としてブイを設置。そして、海上保安庁の監視船1252隻が取り囲む。ブイの内側への立ち入りは、日米地位協定に伴う刑事特別法違反になる」──。

 2014年7月25日、京都市下京区のキャンパスプラザ京都で、「ジュゴンの海に基地を作らないで 沖縄・辺野古新基地建設着工を許さない 7.25緊急現地報告会 in京都」が行われた。最近、多数のジュゴンの食み跡が見つかった辺野古沖で、海底ボーリング工事を進めようとしている現地の動きについて、ジュゴン保護キャンペーンセンター事務局長の蜷川義章氏が報告した。また、大湾宗則氏は、辺野古新基地建設を強行に押し進める安倍政権の真意を探った。

 絶滅危惧種である沖縄のジュゴンの保護に携わってきた蜷川義章氏は、2008年のサンフランシスコ連邦裁判所で、アメリカ国防総省に対するジュゴン訴訟において勝訴し、「沖縄のジュゴンに影響を与えてはいけないことになった」と紹介。一時休廷となっている裁判の再開を求めていくことを明かした。

■ハイライト

  • 日時 2014年7月25日(金)
  • 場所 キャンパスプラザ京都(京都市下京区)
  • 主催 ジュゴンの海に基地を作らないで!沖縄・辺野古新基地建設着工を許さない緊急行動 in 京都

沖縄防衛局による海底工事は違法

 2013年12月27日の仲井眞知事による埋め立て工事承認を経て、7月20日午前2時頃、沖縄防衛局は、工事範囲に張り巡らすブイを安定化させるための、ベース設置作業を開始している。

 しかし蜷川氏は、この強行工事の違法性を指摘。承認書の留意事項では「沖縄防衛局は、県環境生活部の了承を得ないと実行できない」としているはずが、「2013年11月の県環境生活部の意見では、環境保全への懸念を払拭できないとある」のだという。

基地建設がジュゴン生育にもたらす悪影響

 続けて蜷川氏は、辺野古新基地建設がジュゴンに与える影響について、問題点を列挙した。

 「(1)辺野古ダム周辺の切土による赤土流入。(2)海砂の搬入によるジュゴンのえさ場の横断。(3)県外からの購入土砂による外来種(アルゼンチンアリ)侵入の可能性。おまけに、キャンプシュワブ内の施設解体工事は、アスベスト問題でストップしている」。

 防衛庁による、調査会社の公募と漁港埋め立て承認の申請に対し、「部長級を危機対策課のトップに据えて、引き延ばす作戦で抵抗する」という名護市の姿勢も併せて紹介した。

辺野古を「基地ではなく、ジュゴン保護区」に

 最後に蜷川氏は、「辺野古を基地ではなく、ジュゴン保護区に」と訴えるとともに、9月7日投票の名護市議選挙と、11月16日投票の沖縄県知事選挙の行方にも言及した。

 名護市議選では、辺野古の新基地建設に反対する東恩納琢磨(ひがしおんな・たくま)議員の再選を願うとし、知事選については、「仲井眞現知事と、辺野古への基地移転に反対の翁長雄志(おなが・たけし)那覇市長とで、オスオプレイ配備撤回、普天間基地閉鎖、県内移設断念を要請したオール沖縄建白書の実行を争点とした戦いになる」と予測した。

 会場からの沖縄知事選への質問に対し、大湾宗則氏は「名護市長選で(稲嶺進氏が)勝った理由は、政党に頼らず、市民が中心になったから」と振り返り、今回の知事選は、「沖縄県民が辺野古新基地を、どこまで作らせたくないかという、その熱意にかかっている」と応じた。

安倍内閣は、なぜ、辺野古にこだわるのか

 大湾氏は、「海にカヌーを出して、ボーリング調査を中止に追い込んだ」と、2004年の辺野古沖での反対運動を振り返った。

 「通常の米軍水域(海岸線から50メートル)を拡大して、海岸線から2キロ四方を臨時制限区域としてブイを設置。そして、全国から来た海上保安庁の監視船1252隻が取り囲む」という形で、日本政府は、今回の警備を強化させている。ブイの内側に立ち入った者は、砂川事件で適用された、「日米地位協定に伴う刑事特別法違反」になるという厳しさである。

 安倍政権は、なぜ、ここまで辺野古にこだわっているのかーー。

 大湾氏は、海兵隊としての機能を総合的に運用するために、辺野古が必要であると指摘。

 「海兵隊訓練場のキャンプシュワブ、キャンプハンセン、辺野古弾薬庫、八重岳レーダー通信所、そして、2本のV字滑走路ができる。さらに、200メートル接岸埠頭ができて、佐世保にある揚力艦が移ってくる」。

 加えて、米軍のXバンドレーダー基地が建設予定の京丹後市の経ヶ岬付近も辺野古に似た状況であると解説。

 「近くの舞鶴軍港には、弾道ミサイルを迎撃するSM3を装備したイージス艦が配置。福知山に陸上自衛隊、滋賀県には饗庭野(あいばの)の海兵隊野戦訓練場、京都の桂と大久保には兵站基地があり、周辺一帯が日本海に向けた一大軍事要塞になるからだ」。

アジアの労働争議に派兵するための集団的自衛権

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「「ねらいは辺野古の軍港化? 基地ではなくジュゴン保護区に!」 ~辺野古新基地建設 緊急報告会」への1件のフィードバック

  1. @shikinohanakoさん(ツイッターのご意見より) より:

    保護区案に賛成!

@shikinohanakoさん(ツイッターのご意見より) にコメントする コメントをキャンセル

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