7月7日から始まったイスラエル軍によるガザへの攻撃は、ハマスとイスラエル政府の間で停戦合意がいまだ実らず、泥沼化している。7月23日には、イスラエルを非難する決議案の採択するため、国連の人権理事会が特別会合を開いたが、賛成29、反対1の賛成多数で採択されるも、ヨーロッパ各国を始めとする17の国が棄権。日本もイギリス、フランス、ドイツと並び、棄権を表明した。
翌日24日、激しい雷雨の中、約40名の市民らが外務省前に集まり、イスラエルに加担するかのような日本政府の姿勢に対し、反対の声をあげた。
「これまで、パレスチナ問題に関しては、日本政府はいい仕事をしてきたこともあった。人道支援では金額にしても上位を占めていた。しかし、最近はイスラエルへの武器輸出は問題なしと宣言した。あまりにも恥ずかしい」
この日、抗議行動を呼びかけた火炎瓶テツ氏はこのように話し、イスラエルを「紛争当事国」とみなさず、武器輸出に意欲を見せている日本政府を批判。アメリカやイスラエルに追随した安全保障政策は、イスラムやアラブ諸国からの信頼を失い、国益を損なうことになると訴えた。
途中、シュプレヒコールがかき消されるほどの激しい雨と、雷の音に包まれたが、抗議に参加した女性の一人がマイクを握り、悔しさを滲ませた。
「外務省のみなさん、この雷の音が聞こえますか。いいお天気の時でも、ガザでは今、この雷とそっくりの音がずっと鳴っています。砲弾の煙もあがっています。そういう現状を見るべきです。ネットで配信されています。あなたたち役人は強いものの味方をしすぎる。弱いものの立場になってみてください」
25日、外務省はガザ地区への医薬品や食料などの緊急人道支援として、約5億6千万円の無償資金協力を行うと発表した。岸田外務大臣は記者会見で、「多くの罪のない市民が命を落としたり負傷したりしている事態に、わが国として人道的な見地からしっかり対応していかなければならない。わが国として停戦に向けてすべての当事者に自制を促していきたい」と述べたという。しかし、人道支援を行う一方で、武器輸出や集団的自衛権で米国やイスラエルと肩を並べる日本政府は今後、これまでのような信頼関係をアラブやイスラムの国々と保つことができるのか。現地で働くNGO団体などの間では懸念の声が広まっている。
イスラエルが紛争当事国でない?