「日本ペンクラブ」「自由人権協会」「情報公開クリアリングハウス」の三団体が市民と政府間の距離を近づけようと、「開かれた政府をつくるプロジェクト」を立ち上げた。7月7日、日比谷でキックオフシンポジウムが開かれた。
(IWJ・原佑介)
特集 秘密保護法
「日本ペンクラブ」「自由人権協会」「情報公開クリアリングハウス」の三団体が市民と政府間の距離を近づけようと、「開かれた政府をつくるプロジェクト」を立ち上げた。7月7日、日比谷でキックオフシンポジウムが開かれた。
■ハイライト
クリアリングハウスの理事長を務める三木由紀子氏は、特定秘密保護法の審議中に、「政府の秘密に対して反対だけでなく、どういう政府であるべきかというメッセージを市民側から発信すべきではないか」と考えたことが、このプロジェクトを立ち上げたきっかけであると話す。
三木氏は、「今の社会は情報があふれているが、一方で、政府の秘密がたくさんあり、情報は偏在している。政府が知らせたい情報と、私達が知りたい情報とが一致しているかといえば、そうではない。今は自分の意見や考えを表明するツールも多いが、前向きな議論につながっていない。開放的な反面、どこか窮屈だ」と指摘する。
その上で、「表現の自由をもう一度問い直す価値がある。単に保証しろ、というだけでなく、こちらでアイデアを出し、実行を求めていきたい」と語った。
日本ペンクラブの会長で、作家の浅田次郎氏は、政府の意思決定プロセスに危機感を示す。
「集団的自衛権という大変な問題がある。是非はともかく、密室で決められたことが問題だ。元自衛隊として個人的な意見はあるが、政治手続きが密室で決められるのは、大変危険なことだ」
浅田氏は、なぜ、開かれた政府が必要なのか、過去を振り返って次のように語った。
「憲法も原発もいろいろな意見があると思うが、手続きの問題はとても大切。『十分な議論がないまま、一部で物事決める』ということは歴史上いくらでもあったが、決して良い結果を生まないのは歴史が証明している。平和希求のためには、『開かれた政府』が存在することが大条件だ」
さらに、「今は昔と比べて世の中が物質的に豊かで、食べるものに困っていない。賞味期限が来たらものを捨てる社会では、なかなか危機感を持つのは難しい。だから、『開かれた政府をつくる』というプロジェクトを働きかけていく企画を、推進していきたいと考えている」と表明した。
同プロジェクトは、「開かれた政府」を実現するために、日本の「オープンガバメントパートナーシップ(OGP)」への加入を目標の一つに掲げる。
「OGP」とは、「透明・参加・協業」の三原則を掲げ、政府が情報公開を積極的に進め、国民に対して説明責任を果たすというものだ。加盟資格があるのは、各国の政府。現在64カ国が加盟しているが、日本政府は未加盟である。
米国防総省元高官で日本の秘密保護法に警鐘を鳴らずモートン・ハルペリン氏は、5月に来日した際、IWJ代表・岩上安身の前で、日本の「OGP」加盟の意義を説いている。そちらも参考にしていただきたい。
この日のシンポジウムで登壇した明治大学特任教授で自由人権協会理事のローレンス・レペタ氏は、「OGPの目的は政府がより市民に対して継続して透明性を確保し、政策のひとつひとつを説明し、責任を持つようになることだ」と説明する。
(…会員ページにつづく)
シンポジウムの内容がよくまとめられていて、さすがの記事だと思う。無料部分だけでも必見。