ガザで無期限の停戦が決まった。失われた命は戻らないし、破壊し尽くされた街やインフラの復旧はこれからだし、封鎖も解かれていない。支援物資が届くようにゲートが開いたこと、沿岸での漁ができるようになったことくらい。
これまで起きていたことがあまりにひどかったので、これだけのことでも喜んでしまう。もちろん、ミサイルが飛んでくる恐怖から一時的にであれ解放されたことは、喜ばしいに決まっている。でも絶対に忘れてはならないことは、イスラエルは、大規模な作戦以外でも攻撃を行ってきた事実。
(岩上安身)
特集 IWJが追う ウクライナ危機
※2014年8月31日の岩上安身の連投ツイートを再掲します。
ガザで無期限の停戦が決まった。失われた命は戻らないし、破壊し尽くされた街やインフラの復旧はこれからだし、封鎖も解かれていない。支援物資が届くようにゲートが開いたこと、沿岸での漁ができるようになったことくらい。
これまで起きていたことがあまりにひどかったので、これだけのことでも喜んでしまう。もちろん、ミサイルが飛んでくる恐怖から一時的にであれ解放されたことは、喜ばしいに決まっている。でも絶対に忘れてはならないことは、イスラエルは、大規模な作戦以外でも攻撃を行ってきた事実。
この問題については、ガザ報道の過程で一部議論にもなったので、きちんと検証しておきたい。特筆される侵攻以外にも、小規模な作戦は始終行われ、それらは西側のメディアにのることもあまりなく、忘れられがちだという。散発的な攻撃はこれからもあり得る。何よりも非人間的な封鎖が続く。
他方で風雲急を告げるのは、ウクライナ情勢である。これまでウクライナ政府らはロシア軍がついに国境を侵犯して進軍してきたという発表を繰り返し、その実、続報も証拠も示さず、から騒ぎ、という結果に終わることが繰り返されていたが、ロシアからの義勇兵がウクライナにいる、ということ、そして、プーチンがはじめて、ウクライナ東部の新ロシア派に対して、現在のテリトリーを維持すべきだとハッパをかけたことで、ロシアは親露派を支援する姿勢を明らかにした。ロシアはその前に、ウクライナとEUの連合協定に強い反発を示し、ロシアは莫大な経済的損害を被ると表明していた。
ウクライナ情勢をめぐるヨーロッパとロシアにまたがるユーラシア情勢は、風雲急を告げる大きな曲がり角に差し掛かっている。ゴルバチョフ元大統領は、「このままだと欧州大戦になる」と強く警告。ウクライナでの戦闘の中止と、関係国の自制を求めた。
他方、ウクライナのヤツェニュク首相は、ついに非同盟の立場から転換して、NATOへの加盟を求めることを明らかにした。実現すれば、バルト三国を別にして、旧ソ連を構成していた共和国の中からNATOへ加盟するのは初めてで、冷戦の終焉後、最大の地政学的転換点となる。
さらにNATOは、7ヶ国による特別編成部隊を編成することも発表。NATO加盟前から、ウクライナへの武力介入の準備が進んでいる。ロシアはクリミアの黒海艦隊を強化。
私は、以前から、ロシアはクリミアと自国との間の回廊を確保するためにも、ウクライナ東南部を手に入れようとするのではないか、という懸念を表明してきたが、事実上、そうした攻防戦に向かいつつある。読めなかったのは、キエフ政権が自国の一般市民の犠牲を全く厭わなかったことだ。
私はユーロマイダンの動きを懸念しながら注視し、これは単なる民主化運動などと呼べるような代物ではないことをずっと指摘してきた。同時に、キエフの出来事はベルリンからモスクワまでの空間軸で把握すべき、とも書いてきた。
実際にはベルリンよりはるかに西方のロンドンとワシントンまでを視野に収めなくてはならないし、東方はモスクワが主役ではあるけれども、さらに北京まで、いずれ関係してくることになる。その端に位置する日本も考えなくてはならない。集団的自衛権で流されては単なる道具にされてしまう。
冬の終わりに、雪解けの春は戦争の始まる季節だ、春から作戦を起こし、夏に激戦のピークを迎え、冬の来る前までに片を付けるものだ、と書いた。予感の通り、ウクライナ東部で激しい内戦が始まってしまった。全く予想外だったのは、マレーシア航空機撃墜。あんなことまで起こるとは。