『美味しんぼ』へ抗議するも法的措置はとらず/カジノ構想には意欲 〜松井一郎大阪府知事 定例会見 2014.5.14

記事公開日:2014.5.14取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ/奥松)

 「今回の『美味しんぼ』には、(震災がれきを焼却した)焼却場近くの住民に、目や呼吸器系などの不快な症状を訴える人が約800人いた、との記述があるが、大阪市此花区役所や保健福祉センターには、被害を訴える住民の声も、医師会からの連絡もなかった。此花区と府内6ヵ所にあるモニタリングポストの空間線量にも変わりはない。」──。

 2014年5月14日(水)14時から、大阪市中央区の大阪府庁で、松井一郎大阪府知事の定例会見が開かれた。注目される『美味しんぼ』への抗議について、松井知事は「府民の不安を煽り、風評被害を招く恐れがある」と語り、震災がれきの安全を確認して受け入れたことを強調。しかし、これ以上の法的措置などは考えていないことも表明した。

 質疑応答では、大阪府都市開発株式会社の株売却、法定協(大阪府・市特別区設置協議会)の動き、統合リゾート構想(カジノ)、児童虐待問題、大阪首都構想と住民投票など、多岐にわたる質問が発せられ、松井知事はそれぞれに答えていった。

 ホテル、ショッピングモール、国際会議場、カジノなどを含んだ複合施設である統合型リゾート(Integrated Resort=IR)には、大きな経済効果が期待される反面、さまざまなリスクも想定される。大阪ベイエリアへの5000億円から1兆円の投資規模というIR構想についても、記者から数々の質問が寄せられた。

 松井知事はカジノ誘致による税収増の見通しについて、「今の時点では何も言えないが、シンガポールも米国ネバダ州(ラスベガス)も、IRがあることで多大な税収はある」とだけ答え、「民間の投資はありがたい。ベイエリアをにぎやかにして、将来的には日本を引っ張っていきたい」と意欲を見せた。また、ギャンブル依存の増加や治安悪化の懸念に対しては、「昔のカジノと今のIRは違う。デメリットはない」とした。

記事目次

■ハイライト

  • 日時 2014年5月14日(水) 14:00~
  • 場所 大阪府庁(大阪市中央区)
  • 告知 知事の記者会見

高齢者の運転免許自主返納を促す取り組み

 松井知事は、まず、6月の環境月間にちなみ、大阪府で企画する数々のイベントを紹介。「6月7日には『知ろう!学ぼう!大阪南港エコフェスタ』を開催し、省エネ、リサイクル、自然保護、エコについて考える取り組みを促進する」と述べた。

 高齢者運転免許自主返納サポート制度については、「近年、高齢者ドライバーの事故死亡率の割合が高い。65歳以上で免許証を自主返納した人には、運転経歴証明書を配付する。これを提示すると、サポート企業や店鋪での割引優待、特典授与、タクシー6社の10%割引などを受けられる」と話した。

『美味しんぼ』が描くような健康被害の報告はない

 週刊ビッグコミックスピリッツ連載中の漫画『美味しんぼ』で描かれた、大阪府内における東日本大震災のがれき焼却の影響に関して、松井知事は「再度、マスメディアで、大阪府の正しい情報を発信してもらいたい」とし、大阪府が行った災害廃棄物処理について説明した。

 「東日本大震災支援において、大阪府は、岩手県宮古市の災害廃棄物を受け入れることになった。その際、放射線量を測定し、安全を確認した。空間線量の測定結果については、受け入れ前と後では変化がない」と述べ、廃棄物の陸揚げをした舞洲コンテナ埠頭、積み替え施設、焼却施設の舞洲工場、埋め立ての北港処分場での空間線量の数字を提示した。

 松井知事は「表現の自由を否定するつもりはない。原作者は、取材をしたと言うが、府民の不安を煽り、風評被害を招く恐れがあるため、版元の小学館に抗議をした」と述べ、さらに、この先の対応を問われると、「大阪府としての対応は、これ以上はしない。法的措置も考えていない」とした。

大阪府都市開発は南海電鉄へ売却

(…会員ページにつづく)

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