「選挙が終わった瞬間、4年後の選挙が始まっている」 〜伊方町長選で破れた小田々豊氏、今後の展望を語る 2014.4.25

記事公開日:2014.4.25取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・荒瀬/奥松)

 「既存の政党がやれないこと全部を網羅する。実践的な取り組み方を通して、地方から政治を変えていく」──。

 2014年4月25日、東京都千代田区にある日本海賊党の事務所で、ゲストに「原発いらない人々」代表の小田々豊氏を迎え、「シリーズ『みんな、地方選挙に出よう』第4回」が行われた。「脱原発は政治参加から」と主張する小田々氏は、過去に国政選挙に3度出馬。先頃は、愛媛県伊方原発の再稼働反対を訴え、伊方町長選挙(4月13日投開票)に立候補して落選している。

 この日は、想田和弘監督の映画『選挙』『選挙2』に登場した山内和彦氏(元川崎市議会議員)らが聞き手となり、今年1月の東京都知事選で、反原発を掲げて戦った選挙陣営の課題や、支持者を増やすために有効なシステムについて意見を交わした。

 小田々氏は、選挙期間以外にもできる、人脈を活用した運動の重要性など、地方選挙を戦うための具体的手法を語り、「地方選挙をもっと身近に、市民が気軽にできる政治参加の手段として考えていこう」と呼びかけた。

■ハイライト

  • ゲスト 小田々豊(おだた・ゆたか)氏(原発いらない人々 代表)
  • 聞き手 山内和彦氏(元川崎市議会議員)/佐藤庄平氏(政治塾塾生)/兼久須美子氏(宇都宮選対サポーターズ)/斯波すみれ氏(宇都宮選対サポーターズ)ほか
  • 収録 2014年4月25日(金)21:00~
  • 場所 日本海賊党事務所(東京都千代田区)
  • 主催 日本海賊党コミュニティー

選挙と問題意識の共有は「別次元」

 小田々氏は、有機農業を営みながら、政治参加によって原発を止めるアプローチを、25年間続けてきた。これまでの選挙活動の経験から、「まず、選挙に出るというのは『普通ではないこと』と受け止められて、周囲に大反対される。一般の人が立候補しにくい選挙制度の問題もある」と話す。

 また、「脱原発などの市民運動をやってきた人が選挙に出馬すると、これまで一緒にやってきた仲間が去っていくようなこともある。『選挙と、問題意識の共有は別』と考えるべき」とし、「選挙となれば、それぞれの政党関係者が、そこ(運動団体)から票がほしいと考える。割れるのは当たり前。敵視せずに、そういうものだと捉えるべきだ」と述べた。聞き手たちは「この前の東京都知事選でも、そういうことがあった」と頷いた。

 小田々氏は「選挙技術というのはマーケティング、有権者とのコミュニケーションだ。日本人は義理堅い。『応援する』と約束してくれれば、言った以上は変えない。だから、できるだけ早く動いて、声をかけていくことが大事。選挙が終わった瞬間に、4年後の選挙が始まっているのだ」と力説。

 「市民運動系の候補者は、出馬を決めるのが、どうしてもぎりぎりになってしまいがちだ。『良いものだから、わかる人はわかる』というのは、職人気質、芸術家のやり方で、それでは勝てない。自民党などは、良くない商品(候補者)でも4年かけて売り込む」と笑いを誘った。

脱原発における地方自治の可能性とモデルケース

 小田々氏は、落選となった伊方町長選挙を、このように振り返った。「田舎の選挙はむずかしい。票が固定化しているから、1対1の勝負の場合は、特に遺恨が残る。だが、候補者が増えれば票が動く。新人でも当選の可能性が出てくる。自分は伊方ではよそ者だったが100票以上獲り、『あなたが、もっと早くから立候補を言ってくれればよかったのに』と言われた」。

 また、「今年11月の愛媛県知事選挙に向けて、『原発いらない人々』では、今、候補者を公募しており、28日に発表記者会見を行う」と話した。(これについては、結果的に応募がなかったため、4月28日、小田々氏自身が立候補を表明している。)

 小田々氏は、地方選挙に力を入れることについて、「日本の政治システムでは、県知事の持つ権限は大きい。県でなく、市町村でもよいが、メガーソーラーを入れてモデルケースを作り、『これが、脱原発の暮らし方だ』というのを示したい」と意気込みを述べた。

 来年の統一地方選挙については、「『原発いらない人々』としては、候補者を公募して、政策コンペを行い、それをイベントにしながら、誰でも参加できる開かれた選挙をやりたい。日本人は、政治に金も労力も出さないが、文句だけは言う。これを変えていきたい」と語った。

既成政党にできない、有効な選挙活動とは

 「古今東西、選挙運動の基本は戸別訪問」という小田々氏だが、戸別訪問に代わる電話かけのシステムについて、次のように述べた。「自民党に入れるのが当たり前になっていたお年寄りにとって、民主党への政権交代は非常に大きな転機になった。既存の政党でも、電話かけはしているが、プロが機械的に行っている。ボランティアが集まって電話をかければ、心の底から伝えようとするし、きちんと相手の話を傾聴する。それが、信頼や共感につながっていく」。

 また、ツイッターなどのSNSは、「併用することが大事だ」としつつも、「世の中は、ネットを見ている人ばかりではない。大事なことは、ネットでも、ビラでも、ポスターでも、統一した言葉を使うこと。何度も聞くと耳に入りやすくなる。いわば『刷り込み』を行っていくことが重要だ」とした。

 聞き手の佐藤氏は、選挙におけるデータ活用の重要性について指摘し、「『地区別の投票率』は、選挙管理委員会に問い合わせれば、誰でも入手することができる。地方選挙は、地元に密着した地域ごとのアプローチが欠かせない」と語った。

 山内氏は「映画『選挙2』で自分が出馬した選挙では、現実に、データ活用の重要性を感じた。周囲の人にも、まずは、出馬していることを知ってもらうことが重要だ」と話した。

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