11月の愛媛県知事選挙で「原発」は争点になるか 〜伊方原発再稼動にNO ~伊方原発ゲート前座り込み抗議 2014.2.11

記事公開日:2014.2.11取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 2014年2月11日10時より、愛媛県伊方町の伊方原発ゲート前で、伊方原発の再稼働に反対する市民たちが、座り込みの抗議行動が行った。現在、原子力規制委員会では、新規制基準による原発の安全審査が進められており、伊方原発は再稼働の最有力候補といわれている。当日は強風が吹き荒れる中、市民たちは伊方原発ゲート前で座り込み、それぞれの思いをアピールした。

 四国電力の千葉昭社長は、伊方原発の安全審査について、「課題だった中央構造線断層の基準値振動が決まれば、一歩前進する。再稼働に全力を尽くし、原発の信頼回復に努めたい」と語っている。なお、再稼働には立地自治体の同意が必要で、愛媛県では11月に県知事選挙を控えていることから、伊方原発再稼働の是非が、選挙の争点となる可能性が高い。

■全編動画

  • 日時 2014年2月11日(火) 10:00~
  • 場所 伊方原発ゲート前(愛媛県伊方市)

内海に面した国内唯一のPWR型原発

 伊方原発は、四国最西部の愛媛県西宇和郡伊方町に位置する、四国電力唯一の加圧水型軽水炉(PWR)3基を備える原子力発電所。1977年、1号機の操業が始まり、現在は、2012年1月より3基すべてが停まっている。また、日本国内で、内海(瀬戸内海)に面した原発は伊方原発だけで、間近には、日本列島の半分近くを縦断する、巨大な中央構造線断層も走っている。

 四国電力は、すでに定期点検も終えた3号機の早期再稼働を望み、原子力規制委員会に審査を申請中だ。課題の27項目中、23項目を提出し、事務局とのヒアリングも実施できる予定だという。1月30日の定例会見で、千葉社長は「課題だった中央構造線断層の基準値振動が決まれば、一歩前進する。再稼働に全力を尽くし、原発の信頼回復に努めたい」と話した。

 四国電力では、原子力規制委からの要求で、中央構造線断層の長さを、当初設定していた54kmから480kmに伸ばしたため、基準値振動の解析に時間がかかっていた。これに、一定の目処がたったことから、千葉社長は「基準値振動が決まれば、他の課題も早く進められる」という。

舛添氏当選で拍車がかかった伊方原発の再稼働審査

 さらに、東京都知事選での舛添要一氏の勝利が影響する、という見方もある。なぜなら、昨年中に改定すべきだった、政府の「エネルギー基本計画」の閣議決定が、2月9日の東京都知事選の結果待ちだったのだ。事実、2014年1月10日の定例記者会見で、菅義偉官房長官は、閣議決定の先送りを示唆してもいた。

 しかし、舛添氏が当選したことで、「原発即ゼロ」は否定されたとみなす空気が政府内に流れ、昨年来、自民党内からも批判があり、修正する予定だった「原発を基盤となる重要なベース電源」と位置づけた原案を維持したまま、「エネルギー基本計画」は月内に閣議決定することになった。

 現在、原子力規制委員会には、7電力事業者9原発16基が再稼働を申請中だ。その中でも、伊方原発は、再稼働の最有力候補。ただし、審査を通っても、再稼働するためには立地自治体と協議し、同意が必要。原発に対する世論の反対、慎重論はまだまだ根強い。愛媛県では、11月に県知事選挙を控えていることから、伊方原発再稼働の是非が選挙の争点となる可能性が高い。

今度、原発事故が起これば……

 この日、伊方原発ゲート前では、強風が吹き荒れる中で、市民たちがマイクを通して「再稼働反対」を訴えた。原発推進に向かう安倍政権下での社会保障費削減や格差社会の拡大、さらに、安倍首相の選んだNHK経営委員の失言などについても、批判を連ねた。

 「今度、原発事故が起これば、日本は終わる。電力事業者は、自分の損得しか考えていない。今度、太刀魚が名産の八幡浜市内を、太刀魚キャラのコスプレも参加して街宣する。そこで、住民に再稼働の賛否を問いかけたい」。

 「東京で、世界最高のオリンピックをやるというが、一旦中止して、当たり前の生活を取り戻してから、また、オリンピックを開催すればいい」。

 「安倍首相が、『今後、健康被害は起こらない。放射能汚染水も完全にコントロールされている』と言って招致したのが、東京オリンピックだ。5000億円を投入するオリンピック関係の建設工事のため、福島には、復興に必要な資材も、人材も、お金も回らなくなる」。

 「福島の県民健康管理調査で、(25万4000人中)甲状腺がん(33人・1人良性)とその疑いが、合計75人になった。ますます、その数は増えるだろう。再稼働は、絶対許せない」。

 労働組合の関係者は「都知事選で、連合東京は舛添支持に回った。なぜなら、会長は東電労組出身者だったからだ。また、原発従事者の間でも、所得格差は広がっている」などと訴えた。 

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