「上意下達による社会構造からの転換を」 〜田中優氏講演会「原発のいらない世界を目指して」 2014.1.26

記事公開日:2014.1.26取材地: 動画
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(IWJテキストスタッフ・富山奥松)

 「私たちが大事にするべきものは、暮らしであって、お金ではない」──。

 2014年1月26日、愛媛県四国中央市土居町の土居町文化会館で、田中優氏講演会「原発のいらない世界を目指して」が行われた。田中氏は「今はピラミッド型社会構造の転換期にある」とし、一人ひとりの意識と行動によって、生活を自ら築いていくDIY精神が重要であると述べた。

■全編動画(13:33ごろ~ 2時間12分)

津波到達以前から、事故は起こっていた

 はじめに、田中氏は、3.11の東北地方太平洋沖地震によって、福島第一原発以外の、福島第二原発や女川原発でも、冷却電源の確保など綱渡りの作業が行われていた状況を説明した。

 また、東電事故調査報告書の中に、3月11日の17時19分の時点で、放射線測定器が高い値を示したため、作業員が1号機原子炉建屋に入れなかった、という記録がある点や、炉心に繋がる細い配管が地震で破損し、燃料の破損をもたらすドライアウトを起こしていた状況を解説。原発事故は、津波でなく、地震による炉心損傷が原因であり、津波到達の前の時点で、メルトダウンの可能性が考えられていたことを指摘した。

 続いて、「放射能による影響が出てくるのは、2017年頃からだろう」とし、内部被曝による危険性を解説した上で、食品の汚染値を測定することの重要性を語った。

今は、上意下達による社会構造からの転換期

 次に、現在のエネルギー問題の解決方法を語る中で、上意下達の社会構造が、エネルギー分野や食品分野に組み込まれている実態を語った。また、発送電設備費用を積み上げた分だけ、電力会社が儲かる総括原価方式の仕組みを挙げ、この仕組みが、不要な再処理工場の建設や、電気料金を高くしている問題を解説した。

 さらに、有価証券報告書から計算した発電コストでも、原子力発電がもっともコストが高く、「原子力発電の単価が安いというのは、嘘」と指摘した田中氏は、「現状で、東電の電力消費のピークを越える時間は、年間でわずか5時間だけである。わずか5時間のために、原発を推進する必要性はない。現在は、これまでの社会構造の転換の境目にある」と述べた。

 「電力消費のピークを上手に抑え、市民一人ひとりの自発的な動きによって、現在の社会構造を転換する事ができる」と語る田中氏は、「まずは、オール電化のような無駄を廃止し、省エネ家電を活用すること。その次の段階で、自然エネルギー発電を取り入れていくのが効果的である」とし、その具体的な実施例を紹介した。

 最後に、田中氏は「未来をどんな社会にしたいのかをイメージし、それを多くの人に伝える力を発揮することによって、社会は変えられる。私たちが大事にするべきは、暮らしであって、お金ではない」と力を込め、お金に頼る割合を減らして、生活を自ら作っていくDIY精神の重要性を説いた。

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