2013年6月7日(金)18時30分より、愛媛県松山市の愛媛県生活文化センターで、「緑の党えひめ連続講演会『エネルギーの未来を考える―原発に頼らない社会へ―』」が開かれた。
未来バンク事業組合理事長、非営利組織「ap bank」監事などを務める田中優氏が講演をし、上位下達の社会から、下から上にあがっていく自給自足的社会への転換を唱えた。
(IWJテキストスタッフ・阿部玲)
2013年6月7日(金)18時30分より、愛媛県松山市の愛媛県生活文化センターで、「緑の党えひめ連続講演会『エネルギーの未来を考える―原発に頼らない社会へ―』」が開かれた。
未来バンク事業組合理事長、非営利組織「ap bank」監事などを務める田中優氏が講演をし、上位下達の社会から、下から上にあがっていく自給自足的社会への転換を唱えた。
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まず、田中氏は「エネルギー問題は切り口がたくさんある。原発、石油資源、地球温暖化、戦争に繋がって行くという問題、貿易など。緑の党はよく単一のイシューのように思われ、『地域経済や貿易の問題は語れるのか?』という質問を受けるが、エネルギー問題は、すべての切り口に関わってくる」と念を押した。
田中氏は「今の世界は、上位下達の社会」だと述べ、「アメリカはイラク戦争で、100万人を殺してまで石油を奪いに行く。その石油が、ありとあらゆる原料となり、私たちはその下で働かされる。この仕組みのメリットは、全員から薄く広くお金をとれることで、例えば電気料金は1円値上げしただけで、1億2000万もうかる」と、多くの市民が受け身となるシステムを批判した。
対して自然エネルギーは、「実は、すぐあり余る。自分の家では太陽光で自給しているが、余った電気を使うために電化製品が増えた。電動芝刈り機を使って働くようになった。人々は『働かされる』から、自ら進んで『働く』に変わって行く」と、自らの経験をもとに語った。
「日本は、世界一高い電気料金を払っている」という田中氏は、「電力会社は、かかった必要経費に対し、3%の利益を上乗せできる。『総括原価方式』と言い、逆を考えれば、300億円の利益を手に入れたい場合は、設備に一兆円かければよい。100万キロワットを発電するために、原子力は5000億円かかり、ガスコンパインドサイクル発電は1000億円以内で済む。原子力は熱の33%しか電気に変えられないが、ガスコンパインドサイクル発電は60%。電気はガスに比べて1キロワット当たり5.3円などと、低コストが強調されるが、カラクリがある。発電方法の区分けを見れば、原子力は10.68円と、最もコストが高い。さらに、原子力は弱火ができないため、一年中100%で運転する。夜、余った電気の受け取り先として揚水発電を使用するが、これは発電とは言えない。余った電気で下の水を上に上げる際、10の電気を使い、上から下に下げる時に7の発電をする。トータルではマイナス30%。『蓄電所』と言った方がよい」などと、電力料金や宣伝方法の裏側を語った。
地球温暖化については、「よく、嘘だなどとも言われるが、話は簡単。地球に紫外線などで100の熱が入ってきて、90しか出て行かなかったら灼熱。110出て行けば凍り付く星になる。もともと、放っておけばマイナス15になるのだが、時間をずらして遅れて出て行くので、プラス15度程に保たれている。その役割を負っているのが二酸化炭素」と、わかりやすく解説した。
さらに、「家庭が排出している二酸化炭素は全体の5分の1で、実は軍事産業の出す二酸化炭素の量が圧倒的に多い。戦争を止めなければ、どっちみち地球は滅びる。M15戦闘機が全速力で8時間飛び続けたら、人間1人の生涯の排出量を超える」と話し、「軍事を止めない限り、環境問題を語っても無意味」と断じた。
また原発についても、「2011年、市民の82%は反対し、推進は8%だったにもかかわらず、東電株主の反対は14%で、89%が推進だった。市民がいくら頑張っても変えられない」と指摘し、「原発をなくしたければ、電力会社を株の保有で支える生命保険会社との契約を(皆さんが)変えること。電力会社に融資する三井、住友、三菱東京UFJ、みずほなどのメガバンクに開いた口座を(よそに)変えること。口で何を言おうが、金をどっちに預けたか、で未来は変わる。世界はお金で動いている」と厳しいアドバイスをした。
一方、田中氏は、お金で動く世界を変える試みも提言した。「自分たち自身が、エネルギーや食物を自給し、お金に頼らなくていい生活にする。下から上に上って行くシステムに変えて行こう」と、訴えた。