田中優さん講演会~原発に頼らない社会へ 2013.1.24

記事公開日:2013.1.24取材地: 動画
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(IWJテキストスタッフ 齊藤/澤邉)

 2013年1月24日(木)18時30分から、兵庫県篠山市の篠山市民センターで「田中優さん講演会~原発に頼らない社会へ」が行われた。

 講演会の中で田中優氏は、衆議院議員選挙で反原発派は負けたが、失望する必要はない、「ナナメ」の運動を進め、新たな未来のイメージを共有することでこの社会を変えていこう、と呼び掛けた。

■全編動画

  • 日時 2013年1月24日(木)18時30分~
  • 場所 篠山市民センター(兵庫県篠山市)
  • 主催 憲法たんば、ひょうご丹波・憲法を生かす会

 田中優氏は、まず、電力会社が原発を進める理由として、無駄な設備を作れば作るほど儲かる電気料金の仕組み(総括原価方式)を挙げた。「地域独占である電力会社は、かかった費用の3%を利益とできるため、もし300億円儲けたかったら、費用を1兆円かければよいことになる。だから、100万キロワット発電するのに1000億円で済むガス・コンバインド発電所より、5000億円かかる原子力発電所をわざわざ造る。そのため、日本の電気料金は世界一高い。すなわち、原発を進めたことで日本の企業は国際競争力を失っている」と指摘した。

 次に、田中氏は、自然エネルギーを考える前に、まずすべきは、特に「事業所の省エネ・節電」だと指摘する。その方法を具体的に提案した後、事業所の電気料金を現状と逆の「節電すればするほど安くなる体系にすれば、電気の消費量は格段に抑制でき、必然的に原発は不要になる」と述べた。

 残りの電気需要を賄うために推進すべき自然エネルギーについて、日本には豊富なエネルギー源と技術があることを田中氏は具体的に例示した。「例えば、九州大学が開発した風レンズ風車。羽根の回りに輪っかがついており、鳥の衝突や低周波騒音を防げるという。これは現在、博多湾上で海に浮かせて実験中である。日本の面積は海を合わせると12倍にもなり、洋上風車によって、日本は電気輸出国になることも可能だ」と指摘する。

 先の衆議院選で自民党の一党独裁体制になり、脱原発が後退したが、田中氏は失望することはないと言う。運動には「タテ」(政治的手法)、「ヨコ」(署名運動やデモ)以外に「ナナメ」の方向がある。「ナナメ」とは、まったく別の仕組みを試す方法である。田中氏は「未来の当たり前プロジェクト」と称して、太陽光発電とバッテリーと電気自動車を組み合わせて、オフグリッド(送電線につながない)で電気を家庭が自給できる仕組みの構築を進めている。「電力会社は全体の38%しか電気の販売量がない一般家庭から91%の利益を得ているが、その91%の家庭が次々と電力会社に依存しなくなれば、原発を止めることもできる。さらに、石油社会から脱却することで、地域に雇用が産まれ、地球温暖化や戦争までもなくすことができる」と光射す未来のイメージを描いた。

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