東日本大震災から3年、被災地や被災者は、どのような現状に直面しているのか。NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」などの支援団体らが2014年4月23日、東京永田町の参議院議員会館で「被災地の生活困窮者支援を考える」というテーマで集会を開いた。
(IWJ・原佑介)
東日本大震災から3年、被災地や被災者は、どのような現状に直面しているのか。NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」などの支援団体らが2014年4月23日、東京永田町の参議院議員会館で「被災地の生活困窮者支援を考える」というテーマで集会を開いた。
■ハイライト
基調講演した福島大学准教授で「反貧困ネットワーク福島」共同代表の丹波史紀氏は、「福島の沿岸部の状況は震災から、今もあまり変わっていない。スタートラインに立てない地域もたくさんある」と現状を報告。「被災者のニーズを的確に把握できているだろうか。ハード面の損害は明らかになりやすいが、『貧困面』の実態は明らかになっていないのではないか」と問題提起した。
例えば、原発事故で避難を余儀なくされた福島県双葉地域の住民らの、震災後の避難に伴う家族離散率は2〜3割で、3世代家族の約5割が離散している。家族が担ってきた機能そのものが、維持できなくなっていると丹波氏は言う。
さらに、震災の前後で、多くの人の職業的地位に変化がみられることを説明。「会社員」の3割ほどが仕事を失い、「自営業、パート」は、6割から8割近くもの人が仕事を失ったという。「パート、アルバイトのほとんどが女性という意味でも、女性は震災の被害を受けやすいのかもしれない」。
丹波氏によれば、双葉町の住民意向調査の結果、68%以上の人が職を探していないことが明らかになっているというが、これは、「自分たちが住まいの問題や生活の再建をどこで行えばいいのかはっきりしないから、どこで仕事を再開すればいいのかめどがつなかい」ことに、大きな原因があるという。
丹波氏は、「一度仕事を失えば、再就職が困難な人がいるのも忘れてはいけない」と主張。「生存さえできていればいい、生活さえできていればいいということではなく、4年目は個人や家族の尊厳を回復していく必要がある」と述べ、道路や建物などのハード面だけでなく、ソフト面での支援、復興の必要性を訴えた。
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