生活保護費の抑制策を盛り込んだ生活保護法改正法案が11月13日、参議院で可決され衆議院に送付された。同法案では、不正受給者に対する罰則規定が強化され、罰金が30万円以下から100万円以下に引き上げられた他、所定の書類提出を義務付けるなど申請手続きが厳格化された。
参議院での同法案の可決を受け、法改正に反対する集会が参議院議員会館で開かれ、約150人が参加した。参院本会議で反対票を投じたのは、社民、共産、無所属の糸数慶子氏と山本太郎氏の計16人。集会に参加した山本太郎氏は、「この法案は生活保護””改悪””。ひどいものであることを示すには、ロビー活動が効果がある」と参加者に訴えた。
- 開会宣言 和久井みちる氏(元生活保護利用者)
- 基調報告 小久保哲郎氏(弁護士、生活保護問題対策全国会議事務局長)「生活保護をめぐって何が起きているか」
- 当事者の声を聴いて~リレー報告(影響を受ける当事者・支援者の方々の声)
生活保護利用当事者の方/三輪隆氏(埼玉大学教授、研究者共同声明運動呼びかけ人代表)/安形義弘氏(全国生活と健康を守る会連合会会長)/久昌以明氏(全日本年金者組合副委員長)/岩森あかね氏(神奈川最賃裁判原告)/稲垣智哉氏(さくらんぼの会)/尾上浩二氏(DPI日本会議事務局長)ほか
- 閉会挨拶 稲葉剛氏(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長)
生活保護法改正に違憲の可能性
集会では、弁護士らで作る「生活保護問題対策全国会議事務局」の小久保哲郎氏が基調報告を行った。小久保氏は、昨年12月の衆院選で、自民党が生活保護費の「10%引き下げ」を政権公約に盛り込んでいたことに触れ、「10%削減という結論が先にあった」と指摘。
政府・自民党が生活保護費切り下げに前のめりであり、そのため生活保護基準部会での専門的な検証を経ていないことから、「厚生労働大臣の裁量権の逸脱・濫用」という理由で、今回の法改正は憲法違反にあたる可能性があると語った。
障害者への虐待、半年で1500件の事例
障害者インターナショナル日本会議事務局長を務める尾上浩二氏は、扶養義務の強化により障害者の自立が難しくなるとした上で、「障害者虐待防止法の施行から半年の間に、1500件の事例が報告された。そして3名の方が死亡されている」と過酷な現状を伝えた。