「憲法改悪を阻止するためには、イデオロギーを超えてつながろう」 〜宇都宮健児氏講演「憲法改悪を許さない!あなたが輝いて生きるために」 2013.11.9

記事公開日:2013.11.9取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

特集 憲法改正

 「一人ひとりは微力であっても、決して、無力ではない」──。

 2013年11月9日(土)、札幌市北区のエルプラザで、元日弁連会長の宇都宮健児弁護士を講師に招いて、第47回はたらく女性の全道集会「憲法改悪を許さない!あなたが輝いて生きるために」が行われた。

 講演の中で宇都宮氏は、原発や貧困格差、自民党の改憲草案などの問題点について解説した。

■全編動画

  • 日時 2013年11月9日(土)
  • 場所 エルプラザ(北海道札幌市)
  • 主催 道労連女性部

厚生労働委員会や大臣は、生活保護利用者の痛みを理解せよ

 はじめに宇都宮氏は、放射性廃棄物の最終処分に対する回答を出さないまま、原子力政策を推進してきた政治家や官僚の無責任さを指摘した。最近、脱原発を表明した小泉純一郎元首相については、「彼の言動に関していろいろな評価はあるが、基本的に根は正直な人であると思う。彼のような考え方が、保守政治家の間に広まっていくのは良いことだと思う」と述べた。

 貧困格差問題については、労働人口の約4割が非正規雇用である現状や、相対的貧困率や所得分配の不平等さを測るジニ係数が、過去最悪の数字を示している点などを挙げ、高所得者との格差が大きく広がっている実態を解説した。

 また、第2次安倍内閣が、生活保護基準額を3年間で670億円削減する一方で、防衛費を11年ぶりに引き上げる決定をした点を問題視し、「厚生労働委員会や大臣は、生活保護費で半年は過ごすべきである。生活保護利用者の痛みを理解した上で、議論をするべき。国は、彼らの声をまったく聞こうとしていない」と指摘した。

 そして、増税の一方で、法人税と所得税が引き下げられてきた経緯を説明し、「国家財政が赤字になると、すぐ増税の議論になるが、なぜ、法人税と所得税についての議論が尽くされないのか。貧困格差をなくすためには、富裕層への課税と社会保障による再分配が必要である」と主張した。

今、もっとも必要なことは国民への情報公開

 また、国家戦略特区や秘密交渉で進められるTPPの問題について、宇都宮氏は「日本を世界一ビジネスをしやすい国にしよう、と安倍内閣は言っているが、企業が豊かになっても国民は決して豊かにはならない。現政権が行おうとしていることが、誰にとっての利益なのか、その見極めが必要である」と述べた。

 続いて、安倍政権が内閣法制局長官に集団的自衛権容認派の小松一郎氏を指名したこと、国家安全保障基本法によって、集団的自衛権の行使を法的に認めようとしている動きを危惧した。

 特定秘密保護法案については、「情報公開は民主主義の通貨である」という米国の社会運動家、ラルフ・ネーダー氏の演説を引用。この法案によって、権力側にとって都合の悪い情報が恣意的にすべて隠蔽されてしまう危険性を指摘し、「今、もっとも必要なことは、国民への情報公開である」と述べた。

自民党は一種のクーデターを起こそうとしている?

 宇都宮氏は、立憲主義を放棄しようとする安倍内閣の姿勢を懸念し、自民党の改憲草案を「前近代的考え方に貫かれた改憲案だ」と指摘。「自民党は、一種のクーデターを起こそうとしているのではないか。安倍政権の憲法改悪を阻止するためには、イデオロギーを超えて、この問題をどれだけ拡げられるかが重要である。一人ひとりは微力であっても、決して無力ではない。微力と微力をつなぎ合わせ、大きな力に変えられる能力が、現代の活動家には求められているのではないか」と語った。

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「「憲法改悪を阻止するためには、イデオロギーを超えてつながろう」 〜宇都宮健児氏講演「憲法改悪を許さない!あなたが輝いて生きるために」」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見より) より:

    あくまでも社会的弱者に優しく、権力者に厳しい意見を訴える宇都宮さん。この人が都知事になってればと思わずにいられない。

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