憲法改悪NO 参院選前市民集会! 宇都宮健児氏講演 2013.7.3

記事公開日:2013.7.3取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2013年7月3日(水)18時45分より、神奈川県横須賀市のベルク横須賀において「憲法改悪NO 参院選前市民集会!」が開かれた。

 元日弁連会長の宇都宮健児氏が講演し、自民党の憲法改正案の問題点を解説した。また、トークセッションでは、第2次安倍内閣により対米従属の姿勢が加速している現状や、日米安保体制下の社会構造の問題について話し合った。

■全編動画

1分~ 一柳氏/9分~ 宇都宮氏/1時間6分~ トークセッション
  • 主催あいさつ 一柳洋氏(横須賀市議会議員)
  • 講演 宇都宮健児氏(弁護士、元日弁連会長)
  • トークセッション

 はじめに、宇都宮氏は「昨年の衆院選で改憲勢力が2/3を超えた現在、憲法は、1947年5月3日の施行以来、最大の危機を迎えている」とした。

 次に、在特会によるヘイトスピーチを例に挙げ、左翼が衰退する一方、領土問題を契機に国家主義的な傾向が強まり、第2次安倍政権の誕生と共に、普通の市民による新しい右翼的行動が広まっている点を指摘し、「こういったデモに参加するのは生活に困っている市民が多く、彼らは『自分たちが非正規雇用で苦しんでいるのは、在日韓国・朝鮮人が原因である』と、本気で思い込んでいる。このような右翼的行動の背景には、貧困による格差や、社会の閉塞状況があると思う」と述べた。

 集団的自衛権については、第2次安倍内閣の発足により、集団的自衛権行使の容認に向けた有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が再開された点に触れ、「この動きは日本独自のものではなく、イラク・アフガン戦争によって財政難に陥ったアメリカからの強い要請に基づくものである」と説明した。その上で、今年の通常国会で自公政権が、3年で670億円の生活保護費を削減する一方、11年ぶりに防衛費を400億円増額しようとしている点を問題視し、「問責決議で生活保護削減の法案は廃案になったが、場合によっては、参院選後に再び浮上するだろう」と指摘した。

 「憲法の原理の核には、国民主権、基本的人権の尊重がある」と述べた宇都宮氏は、「現在の自民党は、憲法の空洞化を図っている」と指摘。96条の憲法改正手続きを、国会議員の1/2の賛成で可能にしようとしている点については、「世界的に見ても憲法は最高法規であり、国家権力の暴走を防ぐためのものである」と述べ、「それを、権力者側が都合良く変えられるようになれば、人権は著しく侵害されるだろう。憲法改正については、国際的視点が必要である。現在の安倍政権の動きは、世界からは、過去の戦争の反省もなく、日本を軍国主義に戻そうとしている、と見られてもおかしくない」と危惧した。また、自民党の改憲草案が、日の丸尊重、君が代の強制、天皇元首を掲げている点に触れ、天皇の位置づけを強化する動きについて、「これは、天皇の政治利用である。その動きは、今年、サンフランシスコ講話条約が発効した日を『主権回復の日』とし、その記念式典に天皇皇后を出席させていたことからも、すでに始まっている」と話した。

 また、自民党の改憲案によって、自衛権の発動を妨げず、人権を制限し、集会・結社の自由さえも制限されかねない可能性について、宇都宮氏は「こういう事が認められてしまえば、それはもう民主主義社会ではない。自民党の憲法改悪を防ぐためには、この問題に無関心な人々に対して、どのように運動を広め支持を得ていくか、工夫が必要だ」とした。その上で「しかし、この状況は、憲法の精神や基本的人権の重要性を改めて考えるきっかけとなる。憲法を、社会に定着させるチャンスだと思う」と語った。

 トークセッションでは、改憲勢力が台頭する中、日本の対米追従姿勢が強まっている状況について話し合った。宇都宮氏は、日本で犯罪を行なった米兵を、日本の裁判所で裁くことすらできない日米地位協定について説明し、「同じ敗戦国であるドイツは、アメリカとの交渉を重ね、主権を回復してきた。日本においては、この協定に、今日まで一度も変更が加えられていない。現在の体制への根本的治療が必要である。われわれは、原点に立ち返って、戦争や憲法の問題を考える時期にきていると思う。われわれは微力であっても、無力ではない。一人ひとりの力で、社会は少しずつ変えていける」と語った。

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