5・3愛媛憲法集会 2013.5.3

記事公開日:2013.5.3取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 2013年5月3日(金)13時30分より、愛媛県松山市にある県民文化会館(ひめぎんホール)にて「5・3 愛媛憲法集会」が行われた。愛媛県出身の弁護士、宇都宮健児氏が、記念講演『憲法が危ない―憲法改悪を許さないために』と題する講演を行なった。宇都宮氏は「憲法は、施行66年目で、最大の危機を迎えている」と聴衆に語りかけた。

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  • 講演 宇都宮健児氏(弁護士、前日弁連会長)
  • 日時 2013年5月3日(金)13:30~
  • 場所 県民文化会館(愛媛県松山市)
  • 主催 2013「5・3愛媛憲法集会」実行委員会

 集会の冒頭、劇団子鹿座のメンバーによる詩の朗読のあと、実行委員の臼井満氏が、開会の挨拶をした。次に、5名の市民による「憲法に思う」意見発表が行われた。教育、原発、米軍基地、憲法、貧困問題などについて、おのおのの胸の内を訴えた。

 宇都宮氏は、はじめに自分の簡単なプロフィール、貧困やサラ金問題を30年扱ってきた弁護士としてのキャリア、日弁連会長を務め、都知事選出馬に至った経緯などを話した。「昨年の都知事選では、4つの基本政策『脱原発』『反貧困』『石原都政の教育行政の根本的転換』『憲法擁護』を打ち出した。なぜ、脱原発なのかというと、福島第一原発で発電した電力は、関東で消費されているからである。また、東京都は東電の大株主である。都知事になったら株主総会で東電を糾弾しよう、とも思っていた。改憲問題は、石原前知事のヘリテージ財団での尖閣諸島に関する発言など、右傾化が前から台頭していたので、平和憲法を主張していきたいと思っていた。しかし、落選した。準備期間と知名度不足など、至らない部分があった。また、国政選挙との抱き合わせで、(都知事選への)興味半減などもあった」と語り、敗北の理由について自己分析した。

 次に、昨年の国政選挙も併せて分析し、小選挙区制度の印象と得票の傾向を説明した。また、「50を超える勝手連など、市民グループとのつながりができたことは、今後の活動のメリットになる。名誉職である日弁連の会長になったことも同様で、貧困問題などの運動を広げるための手段でもあった」と話した。さらに、「出馬する際、自分は貧困弁護士だ、と伝えたら、選挙活動中はボランティアの皆さんが、とても助けてくれた。応援者の中には愛媛大学の学生がいたが、伊方原発の反対運動をしていた」など、知事選でのエピソードを紹介。「都知事選には惨敗したが、次回は猪瀬候補から200万票を奪取すればいい、というスタートラインとなった。現在、勝手連との連携や、猪瀬都政のウォッチングをしている。待機児童の問題、生活保護受給者のための保護施設建設の遅滞、日の丸君が代問題での教員処分、オリンピック招致の件など、注視していきたい」と話した。

 宇都宮氏は「立候補してみて、公職選挙法の不備にはじめて気づいた。候補者写真と名前の入ったビラは、30万枚しか配布できない。だが、名前と写真がなければ無制限だ。また、戸別訪問の禁止。選挙運動で、私のチラシをポスティングして逮捕された支援者がいた。その罪状は、住居不法侵入だった。この事件は、われわれのボランティア・スタッフの意欲に、かなり圧力になったと思う」と振り返った。

 続けて、「都知事選に出るには、300万円の供託金が義務づけられていて、獲得票数が有効得票数の10%以上なら供託金は返還される。ある人から、これは憲法違反ではないか、と訴訟協力を求められて調べた。国会選挙では、選挙区は300万円、比例区だと1人600万円必要。新規参入する政治グループは候補者10人が出馬する必要がある。ヨーロッパでは、ドイツ、フランスは供託金は不要。他の国でも微々たるものだ」と語った。

 次に、安倍新政権になり、改悪される問題について意見を述べた。「原発の維持、再稼働、新設すら言い始めている。貧困問題では、自助自立が基本の社会保障制度への改悪。生活保護費の大幅削減。3年かけて600億円削減するという。過去において生活保護費は、2003年に0.9%減、2004年に0.2%減、今回は6.5%削減で、世帯によっては1割下がる。生活保護は、憲法25条の生存権保障に裏付けられた権利である。また、消費税の増税も貧困や格差につながる」などと話した。

 さらに、憲法問題について、宇都宮氏は「安倍政権は、改憲の前に集団的自衛権を変えようと企てている。日米同盟のバックアップとして、米軍が攻撃された場合に、集団的自衛権を行使できるように、と。これにより、アメリカは10年間で軍事費を40兆円削減する計画だ。9条改正には直接いかず、段階的に96条を改正しようとしている。自民党の改憲草案の危険性に、立憲主義の理念の放棄がある。憲法は、ひとつの理念と3つの原則で成り立っている。理念は立憲主義。3つの原則は、国民主権、基本的人権の尊重、恒久的平和である。憲法は、国家権力の暴走にタガをはめるのが役割でもある。ところが、自民党改憲案では、国民にタガをはめようとしている」と懸念を表明した。

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